rh日和(仮)

モノ、ゲーム、PCなどについてのブログ。

アーケードスティックの遅延と格闘ゲーム

 アーケードスティックの遅延について、つらつらと書いてみようかなぁという、そんな気分。前半はわりとどうでもいいので読み飛ばしていただいて構わない。全体がどうでもいい可能性もあるが、その点については平謝りするしかない。

『遅延』とは

 アケステにおける遅延とは、簡単に言えば「ボタンを押してからボタン入力が受け付けられるまでの時間差」のこと。ボタン入力が受け付けられてからゲーム内で処理されるまでの遅延や、ゲーム内で処理されてから映像としてモニタに表示されるまでの遅延も存在するが、そちらは今回割愛。
 当然のことだが、遅延はあらゆるアケステに存在する。なぜか。あなたが家を出てコンビニに行くのに時間がかかるのと同じことだ。ボタン入力を受け付けるためには、ボタンからゲーム本体まで電気信号を伝達させる必要がある。電気信号は電気回路や電線を通じて伝達されるが、電流が流れるのにはどうしても時間がかかる。よって遅延が発生する。
 ただし、電流が抵抗の小さい電線などを流れる速度はものすごく早い。光速(=一秒間に地球四周半)の何十%くらいの速度らしい。つまり、アケステとゲーム機を繋ぐケーブルを1mにしようが1000mにしようが、両者の遅延の差は人間が認識できるレベルをはるかに下回っている。

なぜ遅延が起こるのか

 じゃあなぜ遅延が発生するのかというと、アケステの場合、「信号変換をしているから」という点に尽きる。
 アケステのボタンやレバーの入力は、そのままの形でゲーム機に送られるわけではなく、そのゲーム機に適した信号に変換されている。PS3のアケステがXbox360で使えなかったりするのは、この信号の規格が違うから。規格を統一しないのは大人の都合。
 この信号変換には、電気回路上のICチップ等を使うのだが、ここで微弱電流だとかインダクタンスだとかいう、個人的には「学生時代こんなこと習ったなー、すっかり忘れたけど」な要素によって、より大きな遅延が発生する。多分。さすがに専門的なことまでは僕にもわからない。

遅延はどれほど問題なのか?

 最近、アケステの遅延を機種ごとに比較した動画などが、ネット上のごく一部で話題になっている。機種によって遅延時間の差が出るのは、機種ごとに異なる電気回路を積んでいるからだ。
 どの機種の遅延が小さく、どの機種の遅延が大きいのかは他のサイトを当たれば大体分かる。ここでは、アケステの遅延が主に格闘ゲームにおいてどれだけ問題となるかについて考えてみたい。
 まず、動画などを見ると、遅延の差は「数回に一回、おそらく1フレーム」発生していると見られる。
 このことから、二つの仮定が導けると思う。

  1. 遅い方のアケステは、常に0.数フレームほど遅延している
  2. 遅い方のアケステは、ランダムに数回に一回の割合で1フレーム遅延している

 果たしてゲーム機の入出力がどのような仕組みで管理されているのか、よく理解していないし理解できるとも思わないのだが、あくまで素人の考えだと、前者のほうが妥当なのではないかと思う。なぜかというと、ランダム、というのはちょっとありえないんじゃないかなぁと思うから。繰り返すがあくまで素人考えである。
 で、もし前者だった場合。
 前提として、もちろん遅延は少ないに越したことはない。しかし、こと格ゲーに関しては、ほんの少しの遅延の大小は、勝敗にほぼ影響しないんじゃないかと思う。なぜか。
 遅延によってまず何が起こりうるか、と考えて真っ先に浮かぶのは、同時にボタンを押したのに、遅延の多いスティックだと刺し合いに負ける可能性がある、という点ではなかろうか。
 しかし、ちょっとでもまともに格ゲーをやったことがある人なら、「技を後出ししたお陰で刺し合いに勝ちうる」ということを知っているだろう。相手の技の戻りに技を差しこむ場合は早すぎてもダメだし、ごく単純に、全く同じ無敵技がカチ合った場合、基本的にほんの少し遅かった方が勝てる。
 そのように「早いほうが勝てる」場合と「遅いほうが勝てる」場合があることを考えたら、刺し合いに限って言えばほんの少しの遅延はほとんど影響しないと考えていいのではないかと思う。
 次に遅延の影響として考えられるのは、「反応」の問題。例えば相手が飛び込んできてこちらが対空技を打つという状況。あるいは確反状況を確認してから確反を入れに行く状況。シビアな状況で遅延があると、こういった状況で不利になりうる。
 確かにこの問題に関しては、「少ないに越したことはない」と言える。
 しかし。もし上の仮説が正しいとしたら、遅延はほんの0コンマ数フレームである。確かにこの遅延が問題となる状況は起こりうる。可能性として起こりうるから遅延の問題は厄介なのだが、しかし果たしてこのような状況がどれほどの確率で実際に起こりうるだろうか。知覚出来ないほど短い遅延が、直接ミスに繋がることはそれほど多くないだろうし(あくまで予想だけど)上に書いた「遅いせいで勝つ」という状況を考慮すれば、全体として遅延の影響は誤差の範囲に入るのではないかと思う。

遅延でアーケードスティックを選ぶべきか?

 遅延が小さいアケステと遅延が大きいアケステ。遅延だけで考えれば、もちろん遅延が小さいスティックを選ぶべき、と考えるのが当然だ。
 しかし個人的には、現在市場に出回っているアケステの遅延に関しては「誤差の範囲」だと考えている。何しろ複雑な設備を用意しなければ確認できないほど、遅延は小さいのである。もちろん「遅延は少ないに越したことはない」と考えているのも確かだ。
 「遅延がどうしても気になる」「精神衛生上よくない」と思う人は、とにかく遅延を最優先にしてスティックを選べばいい。ただ自分としては「安定感があってズレにくい」とか「使っていてテンションが上がるか」といった遅延以外の要素も、遅延と同じかそれ以上に勝敗に影響すると考えているので、そういった要素を重視するのも十分アリなのではないだろうかと思う。