思考だだ漏れノートG

モノ、ゲーム、PCなどについてのブログ。

 その男は袋を持っていた。一枚の帆布で作ったような、薄汚れた袋。それを担いでひたすら歩き続けた。

 彼には目的がない。理由もない。あるのは、その袋を持ち続けるというルールだけだ。

 男は時折がらくたを見つけ、袋に入れた。必要なときに必要な物を袋から取り出し、人にあげたり、何かに用いたりした。

 ある日、街の公園で、男の死体が見つかった。あたりには彼の袋と、その中身とおぼしき物が散乱していた。

 強盗に襲われ、ナイフで刺されたのであろう。何かが持ち去られた形跡は無かった。袋の中身は取るに足らない物ばかりだったのだろう。

 やがてその公園では、人々が誰からともなく、各々の必要無くなった物を置いていくようになった。必要とする者は、勝手に持っていってよい。そういうルール。

 あの男が何者であったか、知る者はいない。だが、彼の存在は、未だ生き続けていると言えるのかもしれない。