文章を書くなら僕の文章を書きたい。僕の文体で書きたい。
つまり、僕が普段使っているような言葉を積み重ねて書きたいということだ。
でも文章を書くからにはどうしても文語的になってしまう。
というか、文章という物は、もう既に決まった方という物を持っている。書き言葉にはそれ独特の型があって、それに則って書けば苦労が少なくて済む。
それは文章を書く事の利点であるが、同時に弱点でもある。
文章は書いた人の個性を消しやすい。
例えば会話なら、言葉そのもの以外の情報も伝達されている。言葉以外の、その人の人間性が、身振り、格好、声質、しゃべり方の癖などに表れる。
しかし、文章ではそういったものは全てをそぎ落とされる。
確かに文章にも個性は表れるが、書かれた個性と、書いた人の個性は不可分ではない。
文章でなら容易に他人になりすますことが出来る。
その事から何が言えるだろうか。
ただ思った事を、そのまま書いただけでは、伝わらないこともある、ということだろうか。