rh日和(仮)

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PBX Funicular Intaglio Zone/John Frusciante 感想

PBX Funicular Intaglio Zone【高音質SHM-CD/ボーナストラック2曲/解説/歌詞対訳/ポスター付】

PBX Funicular Intaglio Zone【高音質SHM-CD/ボーナストラック2曲/解説/歌詞対訳/ポスター付】

 優れた芸術とはなんだろう、という、ずいぶんと難しそうな問題について、ついつい考えてしまう。考えたりする。考えることもある。
 芸術に優劣は無く、優劣を決定づける基準もまた存在しない、と言い切ってしまえば話は簡単だ。でも、そんな無難な回答では満足できない自分もいる。
 いや、そもそも僕のような人間が芸術を解することなど可能なのか?とか。芸術作品そのものよりも、その作品とので相方のほうが大事なんじゃないか?とか。悩みは尽きない。



 僕がジョン・フルシアンテを知るきっかけとなったのは、中学時代に聴いた『カリフォルニケイション』。それまでロックといえばグレイかラルクしか知らなかった僕には、そりゃ衝撃でした。衝撃でしたよ。今までに聴いたことがないほど複雑な演奏。しかも歌はラップ。ぶっ飛びましたよ。

カリフォルニケイション

カリフォルニケイション

  • アーティスト: レッド・ホット・チリ・ペッパーズ,ジョン・フルシアンテ,アンソニー・キーディス,フリー,チャド・スミス
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1999/06/09
  • メディア: CD
  • 購入: 1人 クリック: 6回
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 そっから現在に至るまでの話は、長すぎるので省略しましょう。
 2006年の『ステイディアム・アーケイディアム』の後、長らくアルバムを出していなかったレッチリ(多分、この間ライブばっかやってたのが嫌になってジョンはレッチリを抜けたんじゃないか、というのはあくまで想像)。そんな中で2009年にリリースされたジョンのソロアルバムが『ザ・エンピリアン』。 
Empyrean【高音質SHM-CD/ボーナストラック2曲/解説/ロングインタビュー/歌詞対訳付】

Empyrean【高音質SHM-CD/ボーナストラック2曲/解説/ロングインタビュー/歌詞対訳付】

 出た直後に買って聴いたときは、「ずいぶん内省的だな」と思った。が、2011年あたりに改めてしっかり聴いてみたら、ものすごーく心に沁みることに気づいた。あるいは、ちょうどその頃から僕の私生活がより内省的な感じになったからかもしれないが。
 内省的だけれど底の方に希望がある、静かだけれど奥が深い、そんな風にこのアルバムを受け取った僕は、主に毎夜寝る前に、ほぼ欠かさず聞くようになった。
 そんな中で発表されたジョンの新譜が『Letur-Lefr』というEP。発表というか、ジョン名義のメールアドレスから直接新作の情報が送られてくるという、憎い演出があった。
Letur - Lefr【高音質SHM-CD/解説/歌詞対訳/ポスター付】

Letur - Lefr【高音質SHM-CD/解説/歌詞対訳/ポスター付】

 聴いたときは、「あ、新しい方向性、模索してんなコイツ」と思った。が、エンピリアン程の共感は正直言って無かった。ただ、電子楽器メインの曲作りや、ラッパーをメインにした楽曲など、今後の方向性への布石のようなものが感ぜられて、好ましくもあった。
 そして発売された『PBX Funicular Intaglio Zone』。あ、やっと本題に入った。
 聴いてすぐに「お、エンピリアンっぽい」と思った。もちろん、楽曲のスタイルはガラっと変わっている。ジョンの言葉を借りれば「シンセ・ポップ」である。
 しかし、メロディづくりにはジョンのギターっぽさが如実に現れている。何より、繊細さと静かさが同居していて、なんていうか、夜の静けさに合っている、みたいな感じ。
 というわけで、このアルバムも僕の「夜聴き」リストに加えることになると思う。ちょっと短いのが難点だけど。
 あと、僕が買ったのは日本版だけど、日本版のボーナストラック二曲のうち、一曲はアルバム内の曲のアカペラバージョンで、もう一曲はジョン・フルシアンテの公式サイトから無料でダウンロードできる。アルバムとしての統一感で言うと、あえて輸入盤を買うのもありかもしれない。