Amazonプライムで映画「コマンドー」を観た。プライム会員特典で無料。いつものことながら太っ腹である。ところで「Amazonプライムで無料」って微妙に齟齬がある気がするんだけど、もっと適切な言い回し、ないかな?
- 発売日: 2015/04/24
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「コマンドー」はシュワルツェネッガー主演のアクション映画である。世間的にも一定の評価を受けている作品だが、日本のネット界隈では特殊な人気がある。
その人気の主たる理由は翻訳と吹き替えの秀逸さにある。
特に人気があるのはシュワちゃんの声を玄田哲章が当てているバージョン。翻訳でありながらセリフにインパクトがあり、「痛快アクション映画」というコンセプトに見事にマッチしている。「筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ」や「何が始まるんです?→第三次大戦だ!」といった名言が頻発する。
ゆえにニコニコ動画などではファンによる大量の「コマンドーMAD」が製作され、かくいう自分もそこからこの映画を知ったクチなのだが、映画本編をちゃんと見たことは無く、この度Amazonプライムで玄田哲章吹替版を発見し、今回視聴に至ったのだ。
とりあえず観た上での一番の感想は、最初から最後までムチャクチャやってる映画だな、ということ。だがそれがいい。
リアリティなどというものは初めから度外視されており、最初から最後までツッコミどころを挙げればキリがない。
まずオープニングはタンクトップで丸太を担ぐシュワちゃんから始まるのだが、そんな格好で木こりをやったら肌が危ないだろうとか、虫刺されも怖いだろうとか、そんなことが気になってしまう。
続いてシュワちゃんが娘と暮らしているシーンが連続で流れるが、そのハシャギっぷりたるや、わざとらしいなんてもんじゃない。こんな家族がいたら逆に怖い。親父は筋肉モリモリだし。
他にも、離陸寸前の飛行機から飛び降りて無事だったり(Yahoo!知恵袋によるとジェット機の離陸時の速度は260km/hほどだそうな)、太めのチェーンを腕力のみでこじ開けたり、クレイモア地雷で建物が吹っ飛ぶほどの大爆発が起きたり、丸ノコの刃をぶん投げて敵兵の頭部を削ぎ落としたりと、トンデモ描写のオンパレード。もはやまともなシーンを探す方が難しい。
ラストシーンは水陸両用飛行機での帰還なのだが、なぜわざわざぶんどった飛行機を使うんだ。米軍のヘリが来てるのに。
しかしそもそもこういった脳筋アクション映画でそのようなツッコミは野暮というものなのだろう。大事なのはノリと勢い。つまるところ、シュワちゃんがマッチョならそれでオールオッケーなのである。こいつ洗脳されてんな。
ひたすらテンポが良いので見飽きない(ショッピングモール?のシーンは若干冗長だが)。ストーリーもわかりやすい勧善懲悪で安心して観ていられる。
ただ思っていた以上に残酷描写も多い。軽快なセリフ回しに隠されがちだが、バイオレンス映画の趣もある。どちらかと言えば子どもに見せたくない作品である。
そして期待していた翻訳はやはり面白く、予想していた以上に密度の濃い名言が連発される。こりゃネタになるわけだ。
とにかく最初から最後まで「筋肉モリモリの大男が大活躍する(しすぎる)映画」であり、それ以上でも以下でもないのだが、その枠内では大変良くできた映画だと思う。いや、見る人が見れば深い映画なのかもしれないけど、そういうのはそういう人にお譲りします。はい。