rh日和(仮)

モノ、ゲーム、PCなどについてのブログ。

Steamのゲーム『Papers, Please』をプレイ 入国審査官になりきる異色作

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 Steamで『Papers, Please』がセールだったので購入しプレイした。

store.steampowered.com

 2014年に日本語対応した頃から名前は知っていたのだが、プレイするのは初めて。そーいえば『The Talos Principle』というゲームにこのゲームのパロディがあったなぁ。

rhbiyori.hatenadiary.jp

 ゲーム内容は「架空の共産主義国『アルストツカ』の入国審査官になってひたすら業務を行う」という、やたらとトガッたもの。グラフィックはドット絵のみでクラシカル。そんな異端のゲームでありながら、公開直後から多くのプレイヤーに高い評価を受けた、まさに怪作である。


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 メインの業務パートでは、次々にやってくる渡航者から書類(Papers)を受け取り、名前、顔、出身地などの書類情報が入国基準をクリアしているかどうかチェックする。全てクリアならパスポートに「APPROVED(承認)」、そうでなければか「DENIED(拒否)」のいずれかのスタンプを押していく、というのが基本的なゲーム内容。はっきり言って純然たる事務作業である。

 しかも朝令暮改を地で行くように、日毎に入国基準の要件が変更・追加されていく。業務員(=プレイヤー)への負担などお構いなしに。最終的には一度に5枚ほどの書類とにらめっこしつつ、昨日までの基準では「拒否」だった人を「承認」にしたりしなければならない。脳みそがパンクしそうになる。

 ひたすらに集中力を削られるので、疲れてくるとミスを連発しがちになる。そんなときはしばらく休憩した方がいい。本当に事務仕事みたいだ。

 業務中にちょくちょく起こるイベントは「共産国家シミュレーター」といった趣きで、小説『1984』のようなシビアな世界観が楽しめる(?)。

 強権的な政府、反国家組織、そしてそんな社会ならではの人間ドラマが繰り広げられる。国家に忠実に生きるもよし、革命の士として国家転覆を目指すもよし。


 業務が終わると家計管理パートになるのだが、共産主義国であるにも関わらず給料が出来高払いのため、のんびり仕事をしていると生活費が赤字になり、食費や暖房費を賄えなくなる。アルストツカ国民は食わねど高楊枝、というわけにはいかず、金が無くなれば家族が飢え、病気になり、やがて容赦なく死んでしまう。全ての家族が死んでしまうと「国民失格です」的な手紙が届き、即解雇=ゲームオーバー。現実は非情である。

 オマケにアルストツカの治安はあまりよろしくないため、ちょくちょくテロリストによる襲撃や自爆テロが発生する。そうなるとその日の業務は終了してしまい、当然実入りも減ってしまう。中盤からはテロリストを撃退する業務も追加され、麻酔銃での狙撃に成功すると特別報酬が貰えるのだが。

 とにかくいかに正確かつ早く渡航者をさばけるかが攻略のカギとなる。作業効率化のためにはあまり問題発生の頻度が高くない箇所(パスポートの発行地域など)はスルーするなどの工夫が必要。あるいはゲーム外でメモを取ったりカンニングペーパーを用意する(ネットで検索すればすぐに見つかる)のも手である。

 また、「家族が死なない程度に食費・暖房費を減らす」というのも有効なテクニック。自分は一日おきに食事と暖房を交互に抜いたが、クリアまで誰も死ななかった。病気になることもあるが、薬代の方が安上がりで済む。生かさぬよう殺さぬよう、などという言葉が頭をもたげるが、背に腹は代えられない。

 ここまでだとただの作業ゲーのように聞こえるかもしれないが、自分なりのルーチンを構築し、より効率よく渡航者に対処できるようになると、得も言われぬ面白さがにじみ出てくるようになるから不思議。その独特の中毒性はなかなかのものだ。


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 ストーリーモードでは最大31日間の業務を行うことになる。途中の選択や仕事の成果によってエンディングが変わるマルチエンディングとなっており、渡航者の頼みを叶えることでアイテムを貰うというコンプリート要素もある。

 自分はとりあえず最終日まで頑張って到達し、数種類のエンディングを見ることができた。

 のだが、本音を言うと、全エンディングを目指す気力は今のところ残っていない。

 なぜって、スッゲー疲れるんだもの。主に目と頭が。しばらくはパスポートの「パ」の字も見たくないよ。でもそのうち突然またやりたくなりそうなのがコワイ。

 もしかするとこのシンドさは、共産主義国々民のシンドさをシミュレートしているのかもしれない。だとしたらスゴい。違うと思うけど。

 いわゆる「人を選ぶゲーム」であることは間違いないが、このゲームでしか味わえない体験が確かにある。一度は試してみることをオススメしたい。「アルストツカに栄光あれ!」となるかはアナタ次第。

 ちなみにiPad版もある模様。机の上に置いてプレイすれば、まさに気分は事務作業、になりそう。

Papers, Please

Papers, Please

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  • ゲーム
  • ¥960