- 発売日: 2013/11/26
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昨夜、突然「何か映画を見ようかな」と思い立ち、さっそくAmazonプライムビデオを覗いたら、以前ウォッチリストに入れていた『ウォッチメン』が目に留まったので見始めた。ダジャレじゃないよ。
見始めたところで2時間半超えの長い作品ということに気づいたのだが、すっかり引き込まれてしまい全部試聴。そして結局朝方就寝。生活リズムの乱れを巻き起こしてしまった。
そもそもなぜこの映画をウォッチリストに入れていたかというと、『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』というラジオ番組の映画評論コーナー「ムービーウォッチメン」の元ネタになっているという情報をあらかじめ知っていたから。
原作はアメコミの大傑作で非常にシリアスな内容、という前情報とウィキペディアチラ見しただけでの事前知識で視聴したのだが、見た直後の感想としては「かなり面白い」という感じであった。
で、視聴後に本作の情報をネットで漁ったのだが、どうもこの映画、手放しで賞賛されているという感じではないらしい。
その意見の筆頭が上記のライムスター宇多丸氏であり、制作陣の努力は十分に認めているものの、「原作からの改変がハマっていない」「キャスティングに難あり」「細かいが重要な伏線が無い」といった難点をあげている。のをゴニョゴニョして聴いた。
実際自分の感想も「めちゃくちゃ面白い」ではなく「かなり面白い」だったわけで、その理由が宇多丸氏のレビューを聴いて腑に落ちた部分も結構ある。
特に完璧超人の「オジマンディアス」と最底辺の「ロールシャッハ」の対比が上手く描けていない、という部分はかなり同意見。というかそもそも自分はこの二人が対極に居ること自体に気づかなかったし。
しかし原作未読かつ特段の映画好きでもない自分にとっては、テーマの重さ、世界観の作り込み、プロットの緻密さなどの美点を持つ本作に対しての「かなり面白い」という感想は今のところ変わっていない。仮にそれが原作の美点そのままだとしても。
ヒーロー映画といえば、なんだかんだで最後にはヒーローが勝利しハッピーエンドと言うものが多いが、本作はハッピーでもバッドでもない展開からそのままエンディングを迎える。
ヒーローとはいわば人類の代表であり、ヒーローの活躍を描くことは「人類ってスバラシイ!」と言うようなものだ。
しかし本作が問いかけるのは「人類って本当に素晴らしいの?」という問いで、本作の舞台となった冷戦時代はその問いが最も表面化した時代だったのだろう。
「人類なんてクダラナイ」という悲観主義に陥るのはある意味一番カンタンだけれど、その裏で今日も人類は色々と頑張っている。
もちろんその頑張りは、必ずしもキレイごとばかりでは無い。むしろ汚いことの方が多いかもしれない。本作でヒーローの汚い部分描かれるのは現実の写し絵だ。
みんながそれぞれの頑張りをしたにも関わらず、その帰結として時に悪としか言いようがない事態がもたらされる、なんてのは現実ではよくある話。
そんな本作の物語の最後のカギを握るのは、ヒーローパワーでもなければ愛や勇気でもなく、「真実」だったりする。それはなぜだろう。なんでなんだろうね。
それはもしかすると、真実こそが人を、人類を、別のステージに移し替えてくれるという「普遍的事実」を描きたかったのかもしれない。それが良いか悪いかは分からないにしても。
真実が明らかになるか忘れ去られるか、そのどちらが良いのかも、やはり誰にも、もしかすると神にすらもわからないのだとしても。
そんなようなことを考えるに至った映画『ウォッチメン』。今ならAmazonプライムビデオで無料! 未だにそれを無料と言っていいのかどうかもわからないけども。
ソフト版の方にはかなり長めの特典映像が入ったバージョンがあるらしいので、ガッツリ味わいたい人はそっちのほうがいいだろう。自分は原作のコミックスが読みたくなった次第。
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