rh日和(仮)

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プリズナートレーニングというトレーニング本の話

プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ

プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ

  • 作者: ポール・ウェイド,山田雅久
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

 プリズナートレーニング。それは、アメリカの監獄に収容された囚人の身でありながら、監獄内で独自にトレーニングを研究し、やがて他の囚人たちのコーチングも行うに至った「という」人物が書いた、トレーニング本である。表紙はグラップラー刃牙の「ビスケット・オリバ」。内容にはピッタリだ。

 アメリカで人気のあった本らしく、最近出たこの日本語訳版は結構な頻度で本屋で見かける。また翻訳以前から「囚人筋トレ」などの名でネット上では話題になっていた模様。そして続編も発売中。

プリズナートレーニング 超絶?グリップ&関節編 永遠の強さを手に入れる最凶の自重筋トレ

プリズナートレーニング 超絶?グリップ&関節編 永遠の強さを手に入れる最凶の自重筋トレ

  • 作者: ポール・ウェイド,山田雅久
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2018/03/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

 内容をざっくり言えば「トレーニング器具が無いのに囚人たちがマッチョなのはなぜか? それは自重トレーニングを極めたからだ!」という感じで、様々な自重トレーニングを紹介している。

 ここ数年自宅で筋トレをしてきた自分もちょっと前から本屋で見かけて気になっていたので、Kindle版を買ってみた。


 著者のポール・ウェイドはペンネームであり、その素性は不明。はっきり言ってしまえばちょっとうさんくさい。刑務所武勇伝みたいな話も出てくるが、内容は眉唾もの。

 しかしトレーニング内容の方には結構説得力を感じる

 そもそも人間の体は何万年やら何十万年やらの間、「重力に逆らって自分の体をコントロールすること」を主たる目的として進化してきた。ゆえに自重トレーニングが人体に最適なのは自明である、的な話もなんとなくそんな気にさせられる。


 ではなぜ著者だけがこの時代に自重トレーニングの技術を知ることが出来たか。

 というのは問いの立て方が逆で、太古の昔から近代までは、むしろ自重トレーニングが肉体を鍛えるための主流的なメソッドだった。

 しかし資本主義・科学主義の台頭によって、ジムで行う様々な器具を使ったトレーニングが隆盛になり、体一つで出来る自重トレーニングは日陰に追いやられ、やがてその技術が失われてしまった。

 そのようなトレーニングは見かけの筋肉を肥大させるには役立つが、運動能力の向上にはつながらないことが多く、ケガのリスクも高い。

 だが器具や設備のない刑務所の中で、自重トレーニングの技術は脈々と受け継がれていたッ!(刃牙風) それを研究しまとめたのがこの本である。

 と、いうのはあくまで著者の主張


 本書ではトレーニング内容を6つの種目「BIG6(プッシュアップ・スクワット・プルアップ・レッグレイズ・ブリッジ・ハンドスタンドプッシュアップ)」に分類し、さらにそれぞれの種目を10レベルに分割している。

 例えばプッシュアップ(腕立て伏せ)なら、レベル1が壁に手をついて行う「ウォール・プッシュアップ」、レベル2が台などに手をついて体軸を地面から45度にして行う「インクライン・プッシュアップ」といった具合。

 そして最終的には最も難しいレベル10の「ワンアーム・プッシュアップ(片手腕立て伏せ)」が出来るようになることを目標とする。

 すでにトレーニングの経験を積んでいる人も、レベル1から順に続けていくことが推奨されている。そのほうが筋力や柔軟性が培われるからだそうな。


 本書がアメリカや日本で支持を受けているのは、自重トレーニングの利点について語る際の説得力と、少しずつトレーニング内容をレベルアップしていくというわかりやすさが理由だろう。

 たとえトレーニングのような最もフィジカルに見える行為であっても、重要なのはやはりストーリーテリングなのだな、と気付かされる。消費者は物語を消費する。

 また、見せかけの筋肉だけでなく、運動(刑務所の中で言えばそれは「喧嘩」などに当たるわけだから)に使える健康的な体作りを推奨しているのも、今までのトレーニング本に無かった点と言えるだろう。

 本書の原題は「コンビクト(囚人の)・コンディショニング」。つまり体を太く大きくすることよりも、コンディションを整えることが最大の目的となっているのだ。

 しかもトレーニングの大半は器具を使わず室内で行える。プルアップ(主に懸垂)に関しては鉄棒のようにぶら下がれるものが無いと出来ないのだが、他は自宅にあるものを使えばなんとかなるだろう。プルアップバーなんてものもあるらしいし。


 とりあえず自分は、これまでやって来たトレーニングに適度にプリズナートレーニングを取り入れてみている。ブリッジや逆立ちなんかは今まで全くやってこなかったのでかなり新鮮。しばらく続けて効果を見てみたいと思う。