rh日和(仮)

モノ、ゲーム、PCなどについてのブログ。

MARVELドラマ『インヒューマンズ』を観た感想

 Dライフで放送していたMARVELのドラマ『インヒューマンズ』を観たのでその感想をば述べたい。ドラマの概要についてはWikipediaなどを参照されたし。

良かったところ

 さすがキャラクターづくりに定評のあるMARVEL実写作品だけあって、キャラの描写は全体的に良かった。

 まずブラックボルト。その能力ゆえに言葉を発することが出来ない設定が、王としての、国民や女王とのディスコミュニケーションを象徴しているキャラづけ。苦み走った表情と硬い所作から王様らしさが出ていて良かった。マーベルキャラのお約束としてやたらと格闘が強いのもカッコよかった。

 メデューサは髪を操る能力を持つのだが、序盤で髪を丸刈りにされてしまう。基本的にはいい人なんだけど、女王ゆえにやたらと高飛車な感じと周囲のギャップがコメディを生んでいて面白かった。ただ全編を通してやたら強いだけの坊主のおばさんになってしまったのは少し残念。そもそもバリカンで刈られてしまうような髪の毛で敵と戦えるんだろうか。

 マクシマスの小悪党感も実に良かった。身分制を廃止するという、一見良いことをしているように見えて、実際はまるで自分のことしか考えていないと典型的な悪役だった。

 カルナクの能力描写が非常に斬新だった。敵にやられたと思ったら「残念!シミュレーションでした!」というチートキャラ。アクションも冴えていた。

 ゴーゴンの蹄をなるべくハッキリ描写しないようにしていたあたりに、制作側の予算削減の努力が垣間見えた。そりゃあんなのを毎回履いてたら時間かかるしアクションもしづらいよね。明らかに普通の靴だったシーンもあったけど。

 王女クリスタル。胸がデカい。正直彼女が出ているシーンはおっぱいにしか目が行かなかった。奇抜な髪の模様もステキ。見た目だけかと思いきや演技も良かった。

 オーランが上司であるマクシマスの乱心を軽蔑の目で見るシーンがやたらと印象に残っている。目力がスゴかったからか。


 キャラだけでなく画作りも全体的に努力と工夫が見られた。コンクリート打ちっぱなしの建物で月っぽさを出すという発想の勝利。ハワイがロケ地なので景観も良い。IMAXのカメラを使っているおかげもあるのだろう。多分。

 勧善懲悪ではない筋書き自体も悪くはなかったと思う。ブラックボルトは決して善人ではない。前王からそのまま身分制を引き継いでしまったし、事故で親を殺してしまった過去も持つ。対する弟のマクシマスは身分制の廃止を掲げて蜂起する。ヒーロー物としては異色の設定と言える。

良くなかったところ

 ストーリーがパッとしない。これに尽きる。

 まずストーリー進行が遅いし、そもそも一話から最終話まででストーリーがほとんど動いていない。「追放された王族が終わり」って感じ。映画に一本分程度のボリューム。

 特にブラックボルト側が全員合流してからのグダグダがひどい。本来の王が戻ったのならブラックボルト側につく人がいても良いはず。しかし終始ブラックボルトと仲間たちVSアティラン全部みたいな構図が続く。

 かといってブラックボルト達が国民に嫌われているような描写も無い。狡猾に国民の感情をコントロールするマクシマス、みたいなの演出があってもよかった。

 どこでも自由にワープできてしまうロックジョーの存在によって、中盤からストーリーの緊張感が薄くなっていたのもよくなかった。自由に四次元ポケットが使える劇場版ドラえもんみたいな感じ。せっかくカルナクの能力は弱体化させたのに。

 予知能力を持つ少年やゴーゴンの復活など、物語的に必要性が薄い展開が散見される。原作再現なのか続編のための伏線なのかわからないが、見ている方は退屈。

 クライマックスの盛り上げ方が微妙。ラストはブラックボルトとマクシマスが戦うのかと思いきや、パンチ1発でKO。拍子抜け。

 他にもしっくりこなかったシーンはあるが、最後にひとつ。すみれ(石田純一の娘)が退場するシーンがいくらなんでも唐突すぎる。制作上の都合があるのはわかるけど。演技自体は普通、っていうか特に見せ場も無かったし。

まとめ

 キャラクター描写に引き込まれることは結構あったが、肝心なストーリーに乗れなかった。せっかくのマーベル作品なんだからもうちょっと頑張ってほしかったというのが正直なところ。

 元々この作品は映画として作る予定だったのがドラマになり、第一話を映画館で上映したものの、あまり話題にはならなかったらしい。本国アメリカでの評価も高くないという。

 ちなみに原作コミックではサノスと絡みがあるらしい。ドラマ終盤で「月にアティランを作ったのは強大な敵と戦うためだった」という話が出てくるが、その敵がサノスなのかもしれない。

 とすると、映画「インフィニティ・ウォー」でサノスが地球に攻め込んできたのはアティランが消滅したからである可能性もある。今後映画に登場することがあるのだろうか。微妙。

インヒューマンズ (ShoPro Books)

インヒューマンズ (ShoPro Books)

  • 作者: ポール・ジェンキンス,ジェイ・リー,ケン・ローズ,川田達也
  • 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
  • 発売日: 2018/03/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る