格ゲーが衰退したのは難しすぎて初心者お断りだからだ、というような話がネットで話題になっている。
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ずっとネットを見てきた人間としては「その話題何回目やねん」とエセ関西弁でツッコミたくなってくるが、そういう話題について語りたがるのが格闘ゲーマー、あるいはマニア的な人全般のサガなのだから仕方ない。自分を含めて。
せっかくなので、ちょっと話は逸れるかもしれないが格闘ゲームの「難易度」と「人気」について考えてみたい。専門家でもなんでもない、いちゲーマーとして。
まず「難しくて努力しないといけないから格ゲーが衰退した」という意見は正しいんだろうか。
結論から言えばそれなりに妥当だとは思う。
実際、何も知らない人がゼロから一人で格闘ゲームを始めるのはあまりにもハードルが高い。
しかし「完全に妥当」だとは言えない、とも思う。理由は2つある。
まず、各種スポーツや将棋などは実力が勝敗に直結する競技であるにも関わらず、大衆的に人気がある。なので難易度の高さと敷居の高さはイコールではない。
さらに格ゲーの技術介入度、つまり実力と勝率の比例度は、格ゲーの元祖と言われる『ストリートファイターⅡ(スト2)』の頃からそれほど変わっていない。
むしろ最新作の『ストリートファイターⅤ』の技術的な難易度はシリーズ中でもかなり低い部類にある。
よく「格ゲーはどんどん複雑になったから人気が無くなった」と言われるが、少なくとも現在においてそれは成り立たないハズ。
あらゆる競技と呼ばれるものには技術的な障壁があるし、同時にライト層というものも存在している。その意味で格闘ゲームだけが問題点を抱えているようには思えない。
世の中の大半のコンピューターゲームは、悪く言えばちょっと指先を動かすことができてちょっと頭をつかうことができれば誰でもクリアできるように設計されている。そのようなゲームと格闘ゲームを同列に捉えてしまうからズレが生じてしまうんじゃないだろうか。
かといって格闘ゲームがその他の競技と全く同じ競技性を持っているかといえばそうも言い切れない面がある。各競技に使用されるタイトルが企業の作った商品であることや、およそ1年単位でゲーム性が調整されることなど。それは話が逸れすぎるので割愛するけども。
もう一つ、冒頭の問題提起に対する違和感として、個人的には「格ゲーが衰退した」という前提自体が完全に、とは言わないもののやや的外れだと考えている。
格ゲー人気のピークが『ストリートファイターⅡ』だったのは周知の通り。
なぜスト2が爆発的な人気を獲得したかといえば、相手と一対一で格闘するというゲームデザイン自体が斬新だったこと、およびグラフィックスやサウンドなどの諸々が優れていたためだろう。
さらに当時は(ジャンル自体が生まれたてだったので当然だが)、プレイヤー全員が初心者だったため実力の格差が生まれにくかったのも大きい。
自分はリアルタイム世代ではないのだが、スト2時代は全国各地のゲームセンターにそれぞれの「自称上級者」が存在し、それぞれ「自分が一番強い」と思いこんでいたという。現代の観点からすれば井の中の蛙だが当時はインターネットもオンライン対戦なんてものも無かったのだから彼らに全く非はない。
そんな格ゲー最初期のスト2人気と比べてしまうと、現代の格ゲーは衰退しているように見えるかもしれない。
しかし実際のところ、格闘ゲームの人気は『ストリートファイターⅣ』の登場やオンライン対戦の普及でかなり盛り返した感がある。そこからもう一度人気が低迷したという感覚は少なくとも個人的には無い。ちなみに『ストリートファイターV』の世界売上は210万本。
むしろスト5以降の「eスポーツ」的なメディアによるプッシュのおかげで、一般層への知名度が上がってきている感もある。「eスポーツ」というものへの是非は措くとして。
じゃあなぜ「格ゲーは衰退した」と言われるかといえば、ストリートファイター4以前にネット上などで言われてきた過去のイメージを引きずっているからだろう。
実際かつて主戦場だったゲームセンターにおける格ゲーが、音ゲー等に押されて衰退しているのは確か。ゲームセンター自体の数も激減しており、大きめの駅近くの店舗以外は大体潰れてしまった印象。ストⅤのアーケード版が当初リリースされなかった(来年稼働予定)のも大きい。しかし現在では格ゲーの主戦場は完全にオンライン対戦に移行している。
では今後さらに格闘ゲームの人気を上げるためどうすればいいだろうか。
今回問題になった難易度という点に着目して、操作やシステムの難易度を下げる、というのは一つの方向性ではある。実際既にスト5などはその方針をある程度取り入れている。
ただ闇雲に難易度を下げてしまうと、これまでの格闘ゲームファン層が離れてしまうという懸念もある。一部プレイヤーの間でスト5のゲーム性はあまり評価が高くないし。
難易度が高いからやりたくない、という人がいる一方で、実力がダイレクトに反映されるという点を好んで格闘ゲームをプレイしている人も一定数存在している。競技性を下げてしまうとそういった層を切り捨ててしまうと競技自体が成り立たなくなる。競技性を下げずに敷居だけ下げる、というゲーム性を目指すのが理想なのだがなかなか難しいだろう。
『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズのように、1体1のシリアスな対戦モードとは別にある程度運要素が絡むモードを用意するべき、という意見もよく見かける。
とはいえそういう人々が想定しているのは「身内とワイワイ対戦する」ようなシチュエーションなんじゃないかと思うが、そういう状況であれば現状のスト5格闘ゲームでも同じように楽しめるんじゃないかという気がする。
もう一つ、野球、サッカー、あるいは将棋などと同じように、eスポーツやプロプレイヤーなどの大会シーンを盛り上げることで一般層へリーチしていくという方向性もある。これも現在各メーカーが公式の大会を開くなどして取り組んでいる。
この記事の結論をまとめると、格ゲーは競技だから難しい、そして今のところそこそこ人気があって衰退はしてないと思うよ、となるだろうか。なんかあんまり中身がない。いつものことだけども。
ここでもう一度冒頭に戻って、「格ゲーは勝てないからつまらない」と言われたらなんて返すのが正解なんだろうか、と考えてみる。
自分だったら「努力して勝てたらすごく面白いよ」と言うだろう。
そこで「努力なんてしたくない」と返されたら「だったら勝ち負けを気にしなければいいんじゃないかな」と答えるしかない。それでも満足しないしてもらえないなら、もうどうしようもない。
実際、自分にとって格闘ゲームはめちゃくちゃ面白い。やればやるほど自分の成長を実感できるものなんて世の中にそうそうないし。まぁそこに至るまでが結構大変だったのも確かなんだけれど。「勝ち負けを気にしない」「トッププレイヤーと自分を比較しない」みたいな精神的なことも含めて。
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