PSP版『エビコレ+ アマガミ』をプレイ開始。オリジナルは2009年に発売されたPS2の恋愛シミュレーションゲーム。同ジャンル内ではかなり知名度が高いタイトルだ。
- 出版社/メーカー: 角川ゲームス
- 発売日: 2011/03/31
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そんな10年前のゲームに興味を持ったきっかけだが、そもそも数年前にとあるプレイ動画を見てからずっと気になっていたところに、つい最近某プロゲーマーのプレイ配信を見たことで「気になる」が「プレイしたい」に進化し、ついに自分の手でやることを決意。
なにせ古いゲームなのでプレイするハードのことから考えなければならなかった。最新バージョンはPS Vita移植版だがハード未所持。PSPは持っているがACアダプターを引っ越しの時に紛失してしまった。PS2も持っているもののAV端子やD端子を使えるモニターが自室に無い。
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中古屋を巡ったりして検討したところ、PS Vitaは安い中古本体だけでも6~7千円。PSPはソフト2千円+アダプタ500円。PS2はソフト3千円に加えAmazonなどで中国製と思しきHDMIコンバーターを2千円ほどで買う必要があるという感じ。
諸々を勘案した結果、PSP版をチョイス。寝る前にベッドでできそう、ということもあり。ついでに、もはや女子高生が大写しのソフトをレジに持ち込むことに対して大した恥じらいも感じていない自分を発見した。
そもそもPSPがちゃんと動いてくれるか不安だったが、昔モンハンのやりすぎで壊れたスティックを交換するために分解した影響で、下部のボタンがちょっと効きにくいことを除けば問題なし。
なんせ解像度が480×272なので画質は相応で、音質もベストではないがプレイには支障なし。時々ロードで画面が止まりUMDがジーコジーコ鳴ることがあるが、ピックアップが古くなっているせいだろう。
そんなこんなでプレイ開始。プレイ動画を見る限り、見た目と声は森島はるか、性格は棚町薫が好みだったが、まずはメインヒロインの絢辻詞から順番に攻略することに。
そもそも恋愛シミュレーションゲームが完全に初めてで、強いて言えば「実況パワフルプロ野球」のサクセスモードで彼女を作った経験があるくらい。
なので最初は色々なキャラの見たいイベントを優先してしまい、どうもこのままだと絢辻ルートに入れなさそうだったので、改めて最初から絢辻一筋でやり直した。
で、この絢辻さんという女。そもそもキャッチコピーが「天下無敵の仮面優等生」であることから、一筋縄では行かないことはある程度予想していた。
しかし攻略するうちに明らかになるバックボーンがやたらと重い。そして罵倒が多い。そもそもの成り立ちからして、従来のギャルゲーのメインヒロイン像に対するイメージを逆手に取ったキャラだそうである。
が、プレイしていくうちにその人物描写の深みにどんどん心を奪われていってしまった。まさに製作者の思惑通り。恋愛ゲームでこんな気持ちになるとは予想もしていなかった。
そして無事に絢辻スキBESTルートでエンディングに到達。その余韻は一遍の長編小説を読み通した時のようであった。果たしてこれは本当にBESTエンドなのか? 二人の未来は明るいのか? なんだか映画『卒業』のラストのようではないか?*1 そんな疑問も浮かびつつ。
ちょっと予想外だったのは、そもそもギャルゲーってもっとヒロインに対してドキドキするものだと思ってたんだけど、割合で言うと「怖い7:好き3」くらいの感じでドキドキがやや少なかった。
他のヒロインのイベントが恋人のようにイチャイチャするシチュエーションが多かったのに対して、絢辻さんの場合、彼女の内面に迫りつつ関係を深めていくという方向性が主だったからかもしれない。ある意味リアルではある。単に絢辻さんの愛が重すぎて若干引き気味だっただけかもしれないけども。
実を言うと発売当初からアマガミというゲームの存在自体は知っていた。愛聴していたラジオ『さよなら絶望放送』でたびたび取り上げられていたから。
しかし10年ほど昔の自分は硬派を気取っており、大してわかりもしない文学作品等を嗜み、ギャルゲーって疑似恋愛ごっこするためにヤベー奴がやるもんでしょ? くらいに思っていた。本当に申し訳ない。
それが少し変わったのが、冒頭に書いたアマガミのプレイ動画を見たから。その中でも特に各キャラの「スキBADエンド」に感銘を受けた。
バッドエンドという言わば失敗ルートにも関わらず、やけにストーリーが練られていて、特に絢辻ルートにはなかなかの衝撃を受けた。トラウマになった、と言ってもいいだろう。このゲームにはなにかあるぞ、と感じた。
そして今回改めて、絢辻さんのベストエンディングに至るまでの過程を経て彼女の内面を知ったことで、スキBADエンドの顛末の真の重大さを知り、こう思った。
辛い。あまりにも。
世にあるほとんどの小説や映画はエンディングが1つに定まっている。余談だが小説家でゲーマーでもある宮部みゆきはラジオ『マイゲーム・マイライフ』の中で「マルチエンディングの小説を書くこと」を今後の目標に挙げていた。*2
しかしアマガミのマルチエンディングには「BEST」や「BAD」はあれど「TRUE」は無く、いわば多次元宇宙のように全てのエンディングが並行して存在していることになる。
つまりスキBADエンドの絢辻さんもまた、ゲーム内世界には確実に存在しているのである。そのことが辛い。いや、ゲームにのめり込み過ぎだろう俺。いやでもやっぱり辛い。なんとか今からでもスキBADエンドの絢辻さんを救済するルートを作ってくれないだろうか?
そんな事を考えていたら、心に重いものが残った。
それに加えて、おそらく人生で最も沈んでいた10年くらい前の自分の心境、大好きだったさよなら絶望放送の終了、PSPに入ったMHP3のUMDディスク、そういえばこのブログを本格的に書き始めたのもMHP3の記事にアクセスが集まるようになったことがきっかけだったなぁ、などといった思い出が押し寄せてきて、大変メランコリックな気分になってしまった。
でもそんなような心のダメージを受けることを、アマガミをプレイし始める前の自分はなんとなく予想していたような気がする。そしてこの心のダメージは自分にとってそれほど悪いものじゃないように感じている。思い出を整理するためのものとして。
そんなこんなで初めての恋愛ゲーム、初めてのアマガミで色々なことを考えすぎてしまい、ちょっと続きをプレイするのをためらっている自分がいる。印象的な小説を読むとしばらく考えに耽りたくなることがあるが、それに似た感じ。なので少し時間を置いて気が向いたらまたプレイ再開したい。
後から知ったことだけど、今年の7月にアマガミ10周年記念展覧会が開催され、Webラジオも配信されたりしていたらしい。ちょっとだけ遅かった。ラジオはまぁ、アレをアレしてアレしました。
あといろいろ調べていたらコミカライズ版の『アマガミ precious diary』が白泉社のアプリ『マンガPark』で(毎日回復するスタミナ消費で)無料公開中なのを発見。基本は原作に忠実に、かつマンガとしての流れを重視した改変がなされていて良かったです。そんなこんなで今日の記事は終わり。
*1:なお筆者は映画『卒業』を観たことが無い。今読んでいる町山智浩『映画の見方がわかる本』であらすじを知っただけである。このにわかめ。