毎年恒例Steamサマーセール! というわけで最初に買ってクリアしたのは『Return of the Obra Dinn』。手を付け始めたら止まらなくなり、1日でクリアしてしまったよ。
知る人ぞ知る怪作『Papers, Please』の作者の新作インディーズゲームということで発売時から注目していた。にしてもこの人、「怪作」を作らないといけない呪いにでもかかってるんだろうか。もちろん良い意味で。
舞台は1800年代のイギリス。航海中に行方不明になり無人で漂着したオブラディン号で起きた事件を調査する。主人公の保険調査官は、死体を調べることで死の瞬間を見ることができる不思議な懐中時計を駆使し、船員の名前と消息を記した手記を完成させていく。
3Dなのにモノクロという「偽レトロ」なグラフィックが最大の特徴。よく見えないからこそ逆にかき立てられる恐怖感。ホラー演出の王道。
最新のグラフィックだったら生々しくなりすぎたであろうシーンもほどよく抑制が効いており、より万人向けになっているのが良い。
そんなシンプルグラフィックのためか3Dゲームにしては動作が非常に軽く、10年前から使っている我がオンボロPCでもほぼ60FPS張り付きだった。早期にPS4やSwitchに移植されたのはそのおかげもあるのやも。
サウンドには大変凝っており、セリフはフルボイス。登場人物の国籍が様々なため言語も多彩。日本語翻訳もバッチリ。効果音もこだわりが感じられ、甲板の軋む足音や波の音が情緒をかき立てる。木造船ってなんか良い。
プレイ感覚は新手の推理パズルゲームといった印象。100%理詰めでなくてもクリア可能なバランスがちょうどいい。逆に完全にロジカルなパズルを求める人にはちょっと物足りないかもしれない。
自分は全て自力でクリアしたが、システムを利用したゴリ押しに頼った場面もわりとあった。
「人物を特定する」というゲーム性でゆえに、ゲーム内では明示されない一般教養的な知識が求められる部分も少々ある。結構大人向け。
ゲームとしての謎解きを解くほどストーリーの謎が明かされていくサスペンス性により、プレイする手が止まらない。これほど入り組んだ謎解きとストーリーを組み上げた力量に感嘆する他無い。間違いなく名作。
なるべくネタバレを避けてストーリーの感想を言うと
- 海って怖いなぁ
- 船長、強いなぁ
って感じ。子どもか。
最初は船員の死に際ばかり見せられることになるので若干気が滅入ったが、一通り死体を調べ終えて推理をやり続ける内にドンドン面白くなってくる感じだった。
独特なグラフィック、入り組んだストーリー、死んだ瞬間に戻るという斬新なシステムは他では味わえない。謎解き好きもそうでないゲーマーも、一度はプレイすることをオススメしたい。