とあるゲーム配信者がRPG*1の動画配信しているのを見ていたら、自分も無性にRPGをやりたくなってきてしまった。
手軽に遊べてコツコツレベル上げできるクラシカルなRPGはないだろうか、と考えて思いついたのがRPGツクール製ゲームの投稿サイト「ゲームアツマール」で探すこと。最近「RPGアツマール」から改名したらしい。
ランキング上位の中から良さそうなものを選んで見つけたのが「ぶきあつめ」というゲーム。
まさに今の自分が求めていたようなコツコツ系RPGだったので、ほぼ丸一日かけて全エンディング解放までやりこんでしまった。まさかここまでハマるとは……。
ゲームシステムのベースはターン制のフィールド探索型RPG。ものすごく平たく言うと、「不思議のダンジョン」のようなターン制で、2Dの「ゼルダの伝説」のようなフィールドやダンジョン探索を行うゲーム。
装備の部位が武器のみだったり、HPの回復方法がストックした薬草をワンボタンで使用する仕組みだったり、薬草や武器の持ち替えをしてもターンが経過しなかったりと、いろいろな面でカジュアル化のための簡略が図られていて好印象。
ストーリーの目的は、一流の武器屋を目指す主人公の「うぇ子(妹の「ぽん美」と合わせると「ウェポン」)」として伝説の武器「ツヨスギテ=クサハエル=ソード」を見つけること。
以上の筋書きから分かる通り、ギャグ寄りの作品。キャラデザインも日常ファンタジーギャグマンガっぽくて良い。
本作独自の要素として、タイトル通り、剣や斧のような通常の武器だけでなくフィールド上にあるオブジェクトをほぼ「なんでも」武器として装備可能。
どのくらい「なんでも」かというと、とりあえずスコップやツボのような本来武器ではないものも装備できる。ツボなんかは威力が高いかわりに壊れやすかったりと、武器ごとに個性がつけられていて面白い。
さらに草や木といった、どう考えても武器に適さないものも装備可能。そのへんにたくさん生えているので、いくらでも武器の現地調達が可能だったりする。
あげくの果てには「ダブルベッド」や「自宅」のような本来手に持つことすら困難なものや、「妹」や「スライム」といった人間やモンスターまで武器として扱える。妹が店主として切り盛りする店で、妹を売却することができる。もはやシュールレアリスムである。
なぜこんなことが可能なのか? というストーリー的な説明は特に無い。「うぇ子」は父の遺言に従い、あらゆるものを武器として使い戦うことを自らに誓った、という説明が一応あるが、それは動機の説明であって理由の説明ではない。
しかしナレーションで語られる主人公のモノローグや、ほのぼのしたタッチのキャラクターイラストが、破天荒な世界観とマッチして妙な納得感を生んでおり、脱力系ギャグとして一定の成果を挙げていると言えるだろう。
と、なんだか持って回った言い回しになってしまったが、わかる人には「昔のツクールっぽいノリ」と言ったほうがわかりやすいかもしれない。もちろん良い意味で。しかもゲーム性は現代的によりブラッシュアップされて気軽に遊びやすくなっている。
一度手に入れて使用した武器鑑定済となり図鑑に登録されて経験値が手に入るので、図鑑完成を目指してやり込むこともできる。
自宅である武器屋に武器を持ち込むと、店主である妹が販売してお金に替えてくれるので、大金持ちを目指すのもいい。
ひたすらレベルを上げ、武器を集め、お金を稼いでいくという程よい作業感が、今の自分の気分にピッタリ合っていた。
ゲームバランスに関して言えば大味な面はややある。
まず、なんでも武器になることに気づいたプレイヤーの多くが序盤に手に取るであろう「自宅」の攻撃力・攻撃範囲がかなり優秀で、ちょっとしたバランスブレイカー。中盤までのボスもレベルをちょっと上げて自宅で殴れば殴り勝てるし、より強い家に持ち替えていけばラストまでクリア可能だろう。家を持ち替えるってどういうことだろう(哲学)。
またゲーム開始直後からきわめて低コストで武器の耐久度を減らなくする「メッキ」を行うことが可能なので、実質的に耐久度が無意味なパラメーターになってしまっている。一応終盤に装備武器のメッキをはがす攻撃をしてくるモンスターがいるが、そこまでゲームが進めば他に対抗手段がいくらでもあるのでどうにでもなる。
さらに自宅の裏に落ちている「倒れた木」という武器に「90%の確率で敵を1ターン行動不能にする」という効果がついている。ちょっとゲームをやったことがある人なら一目でヤバそうな効果だとわかると思うが、なんとこの状態異常、ほとんど全ての敵に対して有効。少なくとも自分がプレイした限りでは一度も効かない敵はいなかった。
よって「倒れた木」と、敵を石化させる必殺技「斬り捨てゴメン」を組み合わせれば、1対1のボス戦ならほぼボスを行動させずに倒し切ることができてしまう。正直言ってボス戦があまり面白くなくなったので、初回プレイでは使わない方がいい戦法かもしれない。
一方、遠距離から魔法を撃ってくる敵が状況次第でかなり凶悪。こちらは防具で耐性をつけたりできず、遠距離攻撃手段が乏しい。オマケに魔法が得意な敵は魔法耐性が高いのでこちらの遠距離魔法が通りにくい。魔法は他の敵を貫通してくるので壁にすることも出来ない。クールタイムやMPといったシステムもなく魔法を連発してくるので、2体の魔法モンスターに近づかれるだけで詰み状況になりかねない。
しかしそういった要素も、ファミコンゲームの裏技を発見するような楽しみがあったので、ゲーム全体としての大きな欠点にはなっていないと感じた。
クリアしてから気づいたんだけど、本作にはSteam移植版もあり、上記のバランス面に関しても調整もなされているとのこと。無料でこれだけ楽しめたのでSteam版もいずれ手に取りたいところ。
今回のように突発的に「RPG欲」が湧いたらゲームアツマールを覗くようにしたいと思う。なんでもつい最近RPG 2000および2003で作った作品がゲームアツマールに対応したらしいので、今後懐かしのあのゲームなどが遊べるようになるかもしれない。Elonaがスマホに移植されたりもしたので、フリーゲームがまた盛り上がってきている感がある。
*1:某野田ゲーParty収録の「オニオンクエスト」