『オーバーウォッチ2』の話。最近何かと辛い対戦が続いている。サポートロールの辛いところについて書いてみる。
「やってる感」や「共闘感」が薄い
サポートロールはおそらく現在最も不人気なロール。マッチング予想時間が常時1分で、バトルパスのXPボーナスが貰える対象になり続けているのがその根拠。以下のようなニュースサイトの記事もある。
なぜ不人気なのかというと、おそらく「試合の勝敗に関与している感覚が薄いから」ではないかと思われる。
ひたすら味方をヒールし、タンクやDPSが敵を倒して状況有利を作るのを待つ。そういう感覚を終始抱き続けることになる。特にメインヒーラーと呼ばれるヒール重視のサポートキャラを使っている時はそれが顕著。
実際のところ、サポートロールの腕前は試合の勝敗に直結している、と思う。味方へのヒールと自己生存を両立させること。各種アビリティを適切なタイミングで使うこと。ソンブラやトレーサーといったフランカーを撃退すること。それらがうまく出来るほど勝率が上がっていく。
しかし多くの場合、プレイヤーにとっては客観的事実よりも感覚の方が大事だったりする。その点でやはりサポートは達成感や爽快感、平たく言えば「やってる感」が薄いのではないかと感じる。
もちろんゼロというわけではない。例えばアナのスリープダーツやビンは効果が強力で、結構やってる感がある。現バージョンでアナが強いと言われているのは、実は単純なキャラパワーというより、戦局を左右している感覚が強いからなんじゃないかと訝しんでいる。
強力なウルトもやってる感を味わえる瞬間。新キャラのキリコのウルトは鳥居が出現する派手な演出もあって爽快。両手からビームを放つモイラのウルトも王道的な気持ちよさ。そのせいで敵を攻撃したがるモイラが増えているのではないかと思うほどに。
しかしサポートロールは敵との戦闘能力という点ではタンクやDPSには大きく劣っており、それらの相手ヒーローと向き合った瞬間にやってる感が激減してしまう。敵フランカーと出くわしたら、ひたすら下がり撃ちしながら味方の援護を待つ、なんてことになりがち。
OW2になってタンクが1人になったことで、サポートを守ってくれるキャラが減ってしまった。味方DPSに守ってもらいたいところではあるがそのぶん敵への圧力が減ってしまうので必ずしもそれが正解とは限らない。結果的にサポート同士でお互いを守り合うのが基本的な戦術になる。
これがサポート側の「共闘してる感」の薄さを生んでいると感じる。タンクは前線を押し引きする。DPSはキルを狙う。その後ろでサポートはお互い身を寄せ合いながらひたすら味方全体をヒールする。サポートばかり意識の矢印が味方の方を向いていて、こちらには返ってこない。疎外感。
ひたすらタンクを見つめる作業
タンクが1人になったことで、サポートがひたすら1人のタンクを集中してヒールし続ける、という構図が生まれやすい。
これをやっているとだんだん自分がタンクの活躍を注目し続ける一般人、傍観者になっているような気分になることがある。ルシオ、ゼニヤッタは味方への注視が必要ないが、味方の位置を意識し続けなければヒールできない点は同じ。
もちろんただ見つめてヒールし続けるだけでなく、敵がどこにいるか、他の味方のHPが減っていないかを適度にチェックしなければならない。
しかしあまりタンク以外に意識を持って行き過ぎると、今度はタンクから「回復が必要だ」のラジオチャットが飛んでくる。
「回復が必要だ」のラジオチャットで叱られる
よく考えたらこの「回復が必要だ」のチャットもちょっといびつさがある。
本来は単純に「HPが減ったので回復して欲しい」という時に使うもの。
しかし「あなたの回復が足りないので敵に倒されたんですけど?」というようなニュアンスで、HPが満タンだったり、拠点にいるのに飛ばしてくる人がいる。
だったらサポート側も「前に出すぎなのでヒールできません」とか「あなたがダメージを出さないので前線が崩壊しました」みたいなラジオチャットが使えないと不公平ではないか。
OW2になってからDPSが回復連呼することは減った印象。タンクにヒールを回す必要性を理解している人が多いからだろうか。
一方、HPが残りわずかになっても後ろに下がりもしないようなタンクに限って回復連呼してくることが多い。正直言って「なんでそんな人のためにヒールしてあげなければならないんだろう」と感じる自分を抑えることが出来ない。
サポートばかりが味方に命令される構造になっているから「ヒール奴隷」などと呼ばれてしまうんじゃないか。
オーバーウォッチ2ではテキストチャットがオフにできるようになった。オーバーウォッチ3ではラジオチャットもオフにできるようにして欲しいところ。そうでないと心が持たない。わざわざ心を砕いてまでゲームしたくない。
サポートを楽しむ方法を考える
と、やっぱり愚痴っぽくなってしまった。
こういうことを書くと「お前がちゃんとヒールしないからだ」という意見が飛んできかねない。そしてそれはそれなりに事実だったりする。
また、いくらベストなプレイをしても文句を言ってくる味方はいるんだから我慢するなりスルーするなりしかない、という協力型対戦ゲームにおける正論もある。
そういった正論を踏まえれば、自分はただ辛いことを辛いと言っているだけに過ぎず、それってやっぱりただの愚痴なんだろう。
じゃあなんでそこまでしてオーバーウォッチをやるかと言えば、キャラクター、操作感、スピーディーな試合展開が他では味わえないものだから。
でもロール制というシステムの都合上、どうしてもプレイフィールの格差が生じやすい。おそらくそれはオーバーウォッチの永遠の課題なのだろう。
そういったストレスを乗り越えてプレイし続けられる人がオーバーウォッチというゲームにおける真の勝者なのかもしれない。果たして自分がそうなれるかどうか。
どうにかやり続けるにはやはり楽しさを見つけるしかない。
ヒールで味方を救うことが出来た時、ルシオだったらスピブで味方に駆けつけて共闘したり前線を押し引きしたり。ゼニヤッタやアナであれば味方をアシストできた時。
あるいは敵が来そうな場所を予測してポジショニングし、敵の出現をピンで味方に知らせることが出来た時。
そういう細かい成功を喜ぶメンタリティを培う。
最近スラムダンクをYouTubeの公式配信で見ている。魚住の名言「お前は鰈だ 泥にまみれろよ」を思い出す。
サポートは鰈なのである。味方を引き立ててこそ輝く。あえてサポートロールを選ぶならそういう覚悟が必要なのかもしれない。
回復要求をされないためには全力でヒールを回すしかない。
攻撃や自分の生存を犠牲にしてもヒールする。もちろん最低限のプレイングは必要だが。
アナやバティストだったら味方のHPが満タンでもヒールを打ち続けるといいかもしれない。流石にモイラでそれをやったらトロールになるけど。
リロードが挟まるため多少効率は悪くなるが、味方に煽られて心を砕くくらいなら負けたほうがマシ。それくらいの図太さが必要だろう。