とある動画を見ていたら、なぜ格闘ゲームにおいて「フレーム」が重要なのかについて一度アウトプットしておきたくなったのでしておく。
なるべく初歩的なことだけに絞ってまとめた。一応、書きたいことは大体全部書けたが、より読みやすくする努力が必要だなぁ、と思う一方、「多分動画とかでもっとわかりやすくまとめてる人がいるんじゃね?」と想像するとその努力が辛く苦しいので、そのまま載せることにする。前も同じようなことを書いた気がするがそういうのも気にしない方向で。
フレームとは時間の単位
フレームという言葉自体はただの時間の単位であり、それ以上でも以下でもない。なので何も身構えなくていい。
ほとんどすべての格闘ゲームは毎秒60回の情報処理および映像切り替え*1をしている。
これを秒間60フレームと呼ぶ。
- 60フレーム=60/60=1秒
- 6フレーム=6/60=0.1秒
- 1フレーム=1/60=約0.016秒。
とても簡単な計算。
1フレームを略して「1フレ」と言ったり、あるいは「1F」と表記する。
格闘ゲームは1秒間に60枚の紙芝居やパラパラマンガのように動いていると考えていい。あるいは動画編集などをしたことがある人はすぐに理解できるだろう。
ある1フレームにおける状態は、前の1フレームにおけるお互いのキャラクターの状態と、プレイヤーの入力によって決定される。
たとえばお互いのキャラが離れた状態でプレイヤー1がパンチボタンを押すと、キャラクター1が次のフレームからパンチの動作に入る。
しかし必ずしもコントローラーのボタンを押した瞬間に攻撃が出るわけではない。
キャラクターそれぞれの技には「ボタンを押してから攻撃が出るまでの時間」が決まっている。
「ボタンを押してから攻撃が出るまでの時間」のことを「発生フレーム」とか、単に「発生」と呼ぶ
例。ストVのリュウの立ち中パンチは発生5フレーム。紙芝居で言えば、ボタンを押してから紙5枚目で攻撃が相手に当たるイメージ。
同じように「ボタンを押してから技が終わるまでの時間」を「全体フレーム」と呼ぶなど他の用語があるが今回は割愛。
フレームを言葉で説明するのはかなり難しいので、もうここまででチンプンカンプンになっている人もいるだろう。なので早くも1回要点をまとめておく。
- フレームは時間の単位
- 格闘ゲームは1秒間に60回動いている。なので60フレーム。1フレームは1/60=およそ0.016秒
- キャラクターの全ての技は、ボタンを押してから技が出るまでの時間が設定されている。これを「発生フレーム」と呼ぶ
- 例えばリュウの立ち中パンチは、ボタンを押してから5フレーム後に技が出るので、発生5フレーム。
格闘ゲームでは「有利フレーム」「不利フレーム」がものすごく重要
で、なぜ格闘ゲームでフレームが重要なのか? というと、それは主にキャラクターが行う行動の「有利フレーム」「不利フレーム」がものすごく大事なゲームだから。結構長くなるがそのことを説明していく。
攻撃をガードしたキャラクターは一定時間動けなくなる。この状態を「ガード硬直」と呼ぶ。
同様に、攻撃がガードされずにヒットしたときもやはりキャラクターは一定時間動けなくなる。この状態を「ヒット硬直」と呼ぶ。ちなみにほとんどの場合ガード硬直よりもヒット硬直のほうが数フレーム長い。
なおヒット硬直は他にも「やられ硬直」とか「のけぞり」など、いろいろな呼び方があって若干統一されていないが、この記事ではヒット硬直と呼ぶ
そして全ての技にはパラメータとして「ガード硬直」と「ヒット硬直」が設定されている。特別な場合を除き硬直が長くなったり短くなったりすることはなく、常に一定。
例。リュウの立ち中キックのパラメータは、
- ガード硬直=-2フレーム
- ヒット硬直=+2フレーム
となっている。数値がプラスだとガードおよびヒットさせた方が先に動ける。逆にマイナスの場合はガードおよびヒットさせた方が後に動ける。
トレーニングモードのフレーム表示をしたときに出る数字は、ガード硬直またはヒット硬直のフレームを表している。
なおストリートファイターVの具体的なフレームの数値は全て「SFVノート」などのWebサイトにまとめられており、今回もそちらを参照している。数値が間違っていたら自分の転記ミスです。
硬直がプラスの状態を「有利フレーム」あるいは単に「有利」「有利フレ」と呼ぶ。
逆にマイナスの場合「不利フレーム」あるいは「不利」「不利フレ」と言う。
具体的な使い方として、
-リュウの立ち中パンチはガードさせて2フレーム有利
-リュウのしゃがみ強パンチはヒットしても7フレーム不利
などという。
この有利、不利という用語は、おそらく格闘ゲームが存在する限り未来永劫使われるハズなので、ぜひ頭に叩き込んでおきたい。
自分のキャラが1フレームでも有利な状態で、自分のキャラと相手のキャラが同じ発生フレームの技を出すと、100%有利な方、つまり自分が勝つ。
例えばお互いのキャラがリュウで
- 自分のリュウが相手に立ち中パンチ(ガードされて2F有利)をガードされる
- すぐに自分のリュウと相手のリュウがお互いに立ち中パンチを出す
という流れがあったとすると、必ず先に自分のリュウの立ち中パンチが相手にヒットする。
要するに早く動けるほうが出した技が先に当たる、というだけの話で、ものすごく当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれない。
しかし他のジャンルのゲーム、例えばスマブラの場合、ガードさせられた側がガード硬直中にジャンプしたり、さらにそこから別の技を出したりできるなど、行動の選択肢がかなり多い。なので細かいフレームが「紛れる」ことが多い。
一方格闘ゲームは、ガード中のキャラクターはごく一部の行動を除くと完全に動けなくなってしまう。
なので、今自分のキャラが有利フレームなのか不利フレームなのかが勝敗を大きくするのだ。基本的に上手いプレイヤーは、なにか技をガードするたびに「今は有利か不利か」を常に判断している。そうしないと、自分が不利なのに技を振ってしまって相手の技を喰らうから。逆に、不利なのにあえて技を振ったりすることもある。それがいわゆる「読み合い」。
有利不利を知れば「確定反撃」が当てられる
もうひとつ、非常に重要な概念として「確定反撃」がある。
例。リュウのしゃがみ強キックはガードされて-11Fも不利。めっちゃ不利。「大幅不利」などと呼んだりする。
なので近距離でしゃがみ強キックをガードされると、その後に相手が最速で出した攻撃を確実に食らってしまい反撃される。
これを「反撃が確定している」とか、「確定反撃を当てる」などという。
ガード硬直やヒット硬直のフレームを知ることで、確定反撃を当てて確実にダメージを奪うことができる。ゆえにフレームの理解が強さに繋がる。
フレームを知れば自分でコンボを作れる
コンボを決めるためにもフレームは非常に重要。
技をヒットさせられて動けないとき、つまりヒット硬直中はガードが不可能。なのでヒット硬直中に次の攻撃を喰らうと、それも必ず連続してヒットする。それが「コンボ」。
例えばリュウの立ち中パンチはヒット硬直が6フレームなので次に出す発生6フレーム以内の技は連続ヒットしコンボになる。だから「立ち中パンチ→立ち弱キック」などが連続ヒットしコンボになる。
なお、発生が10F以上の竜巻旋風脚を立ち中パンチの後に連続ヒットさせることができるのは「キャンセル」というテクニックを使っているからなのだがその説明は省く。
ヒット硬直のフレームを理解すれば、自分で次に当てる技を考えることが可能になり、トライアルモードにある以外のコンボを決めることもできるようになる。
以上のことをまとめると、フレームを知ることで、自分が有利なのか不利なのかを知ったり、確定反撃を当てたり、自分でコンボを考えることができるようになる。
他にも「ガード硬直フレームを利用して投げを最速で当てる」「無敵技の発生フレーム前にジャンプ攻撃を当てることで安全に起き攻めできる」などのテクニックが、フレームを知ることでより深く理解できるようになるのだけれど、それらはかなりの応用編なので追々理解していけばいい。
実際のところ、上位のプレイヤーでさえ細かいフレームの数値を全て頭に叩き込んでいるわけではなく、「この技は有利or不利か」「この技をガードしたらどの技で反撃が確定するか」「この技をヒットさせたら次にどんな技が連続ヒットしコンボになるか」といった情報のうち、より優先度の高いものを、知識として自分および相手キャラクターごとに覚えている。
そしてその情報を確かめるためにフレームの数値を利用している、といった感じ。だから「格闘ゲームはフレームを覚えなきゃいけないから大変」などと気負う必要は全くない。知りたい情報を一つずつ覚えていけばいい。
*1:ここ数年で、PC版の格闘ゲームは60フレーム以上の映像出力に対応したタイトルが増えている。しかしキャラクターの動作を決める情報処理は依然として60フレームのものがほとんど。