PSプラスエクストラで『Stray』をプレイ。
猫ゲー。猫が可愛い。猫で冒険する。なので猫が可哀想な目にもあう。辛い。ひじょーに辛い。だからこそ猫を助けてあげたくなる。
同時にロボゲーでもある。荒廃した地下都市で暮らすロボットたち。限られた場所でも独自の文化を作って暮らしている。猫とロボの触れ合い。
アクションアドベンチャーゲームとしてまずまず手堅い作り。アイテム集めや人探しが中心の探索パートと、リニアに道を進んでいくパートがある。
主人公が小さくて身軽な猫なので、細かい足場を上り下りする縦軸の移動がこのゲームならではの要素。
一昔前にsteamインディー界隈で「〇〇シミュレーター」なるバカゲー群が流行ったが、それらと比すると本作はバカゲー感が全く無い「猫シミュレーター」といったところ。
ところ構わず爪を研ぐ、特に意味もなく机の上のものを落とす、麻雀卓をムチャクチャにするなど、猫のワンパクさを自らの操作で味わえる。それらがゲームの攻略に役立ったり役立たなかったりするのも愉快。
睡眠できるスポットもあり、それらがいかにも猫が好みそうな丸い座布団の上などなのが実に「わかって」いる。
人類が滅びたらしき世界観もよく練られており、ディストピアものが好きな人なら満足できるだろう。
他のゲームと比べてしまうと惜しいところはそれなりにあり、もうちょっと終盤が盛り上がって欲しかった(猫ならではの要素で難曲を打開するとか)のと、肝心の猫の造形があんまり本物に似てない感はある。
ロードもやや長く、エラー落ちしたことも2度ほどあった。PS4版をプレイしたがゲームオーバーごとに10数秒のロードが挟まった。
しかしそれ以外にプレイ感覚を損なうようなストレス要素は無く、ボリュームも中編程度(クリアまで6時間ほど)でよくまとまっていた。
ラストの余韻も素晴らしい。なぜあのラストになったのか、つくづく考えてみたのだけれど、「いつかどこかに行ってしまう」という猫の儚さを表現するのにあれ以上のものは無かっただろうなと今は思う。製作者の深い猫愛がしみじみと感ぜられる。