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『ストリートファイター6』ベガの正体を考察 同一人物だが別人格かもしれない

 バンダイ(BANDAI) S.H.Figuarts ベガ『ストリートファイターシリーズ』

 『ストリートファイター6』のDLCキャラクター、ベガの設定について。

 ストーリーモードやワールドツアーモードをプレイしたけど「結局何者なの?」と思った人が多そうなので、自分の考えを書いてみたい。詳しいことはWikiなどに譲るとして、ざっくりと。以下、ストリートファイターシリーズのネタバレ注意。

スト5までのベガ 乗っ取り能力

 まずスト5までのベガの経歴をサラッと紹介。

 犯罪組織「シャドルー」の総帥であり、世界征服を目的とした謎の人物。典型的な「物語の悪役」だと考えて間違いない。なにせ30年くらい昔のキャラなので、設定もそれなりにシンプル。

 「サイコパワー」という超能力を使うことができ、物体の破壊や人間を含む生物の洗脳ができる。ちなみに悪の力であるサイコパワーと対になる「ソウルパワー」の使い手も過去---------作には登場しており/-、こちらは未来視などが得意。

 さらにベガは、肉体が滅びても他人の肉体に乗り移ることで生きながらえる能力も持っているらしい。サイコパワー由来の能力なのか、それともシャドルーの研究の成果なのかは不明だが、一時期は優秀な格闘家であるリュウの肉体を乗っ取ろうと付け狙っていた。

 またジュリの上司であり、ストⅣで初登場したセスは、ベガの「スペアボディ」になるべくシャドルーによって作られた人造人間だったが反逆し、ベガと対立していた。

 シリーズのストーリー中ですでにベガは肉体の乗り換えを何度か行っているらしく、敗北するたびに復活できるのはこの能力のおかげだという。スト5で髪が黒から白髪に変わったのはスペアボディの調整がうまくいかず劣化していたためらしい。

スト6のベガは肉体も中身もベガ本人

 じゃあスト6のベガは何者なのか。

 ベガは記憶喪失になっており、PVでは「ベガの名は俺がもらおう」といった内容のセリフがあったため、別人なのではないかという噂が立った。

 しかしその後制作スタッフがインタビューの中で「肉体も中身もベガ本人」だと明言。噂を否定した形となった。

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 ネタバレになるが、ストVのベガはリュウに右腕から砕かれて敗北している。スト6のベガの右腕がひび割れているのが同一人物である有力な証拠だ。

 しかしストVで敗北したベガがどのような経緯をたどってスト6のベガになったのかについては、明らかになっていないことが多い。

 ストーリーモードでは記憶喪失の状態で街中で目を覚まし、その後導かれるようにシャドルー研究所に向かってジュリと出会い、自らをベガと名乗ることに決める、という流れが描かれる。

 なぜ記憶喪失になったのか? 様々な理由が考えられる。

 単純に敗北のショックからか。それは肉体的なショックだろうか、それとも「リュウに負けるなんて……」という精神的ショックか。確かにストVのリュウは弱かったしベガは強かったからショックを受けてもしょうがないよナー、ってそういう話じゃない。

 あるいは肉体が砕け散った際に精神だけがどこかに行ってしまい、その後精神の無い肉体だけが再生したのか。

 その場合、ベガの精神は完全に抜け去ったのか、それとも精神の「かけら」のようなものが残っており、それが肉体を動かしたのだろうか。

精神体吸収の意味 肉体と精神が再結合

 ワールドツアーモードで、ベガはシャドルー研究所にあったベガの「精神体」のようなものと出会い、それを右腕に吸収する。

 精神体は声優がストVまでのベガと同じであることも含めて「ベガの精神そのもの」だと考えるのが自然だろうか。

 しかしはたしてこの「吸収」が何を意味しているのかも、解釈が分かれるところだろう。

 「ストVで敗北したベガは精神体だけが抜け出たため記憶喪失になった。精神体を取り戻して再び元のベガの肉体と精神に戻った。ただし復活は不完全で、ベガの精神は右腕に封じられた状態にある」

 というような解釈がいちばんストレートだろうか。スタッフの「肉体も中身も同一」という発言とも一致する。

 ややひっかかる点として、ワールドツアーでベガが「自分はバックアップかもしれない」ととれる発言をしている。バックアップとは失われたときのための複製物という意味なので、スト6ベガが偽物であるかのような印象を受ける。

 ただこのセリフは、より正確には「自分がここに存在しているのはバックアップの仕組みのひとつかもしれない」というもの。

 ストVの時点でベガの身体がスペアボディであることと、別のセリフで「各地の研究所にベガの残留記憶が残っているかもしれない」と言っていることから、「研究所に残された残留記憶をベガのスペアボディに集めることでベガを復活させる」というシステムのことを「バックアップ」と呼んでいる、と考えるのが自然だろう。

 これは想像だけれど、「各地に残留記憶が残っている」というセリフから、ベガは精神体を分割することもできるのかもしれない。『ハリー・ポッター』の分霊箱のように。

 しかし今のところは、ワールドツアーで取り込んだベガの精神体の「コア」のようなもので、記憶と力だけが各地に散らばっている、と考えたほうが、存在しない設定を考慮せずに解釈できるだろう。

「スト6ベガの人格は誰なのか」問題 精神か、肉体か

 最後にスト6ベガの人格はストVまでのベガそのものなのか? という疑問が残るが、これもハッキリしたことは言いにくい。

  • 記憶を失ったストVベガそのものの人格=ストVベガの精神体の人格
  • ストVベガの肉体(スペアボディ)の人格

 という2パターンが考えられるからだ。

 ワールドツアーで吸収された精神体がストVのベガの精神そのものだとすると、ストーリーモードで目覚めた時点のベガの肉体には精神が入っていない「からっぽ」状態なハズで、肉体そのものの人格によって動いている、と解釈したほうが自然かもしれない。吸収後も人格が変わっていないように見えるし。

 スペアボディの肉体に人格は存在するのか? という問題については、セスなどの例があるので、ストリートファイターの世界ではありうる、ということになる。

 しかし「スト6ベガが肉体の人格によって動いている」ということを示す描写は今のところゲーム内には無いっぽいので、推測の域を出ない。

 あるいは肉体と精神の人格が混ざり合っている状態も考えられる。

  • ベースはベガ(精神体)だが、記憶喪失によって肉体の人格が強くなっている
  • ベースは肉体(スペアボディ)だが、体に残った精神体の「かけら」のようなものに影響されている

 というように。

 そもそもベガ本人も「己が何者かわからぬ」みたいなことを言っているし、メタ的なことを言うと、制作スタッフとしては今後どのようにでも話を転がせるようにあえて設定をぼかしているのかもしれない。



 今の自分の結論としては「スト6ベガは肉体も精神もストVベガと同一人物だが、人格は別人(スペアボディ)の可能性がある」という感じ。

 さらに短く一言で言うなら「肉体はストVと同じ、中身は謎」と考えておけば間違いないと思う。

 あまり厳密に考え過ぎると「なにをもって『ベガそのもの』と言えるのか?」みたいな、もはや哲学的な領域に踏み込んだ問題が出てきてしまう。格ゲーの設定でこんな深い話になるとは。

 個人的には「実は馬にベガの精神が移っていて……」みたいな設定だったら面白いな、と思う。馬がストシリーズ初のプレイアブルキャラクターになる可能性もワンチャンある。必殺技はサイコギャロップとかで。