rh日和(仮)

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アサシンクリード3 クリア後レビュー

アサシン クリードIII【CEROレーティング「Z」】

アサシン クリードIII【CEROレーティング「Z」】

 アサシンクリード3。クリアしましたよ。オフラインの全要素をコンプリート。いやー、ほんっと、大変だった。
 せっかくなので、レビューまがいのことを書いてみたいと思う。あくまでも、一プレイヤーの意見ということで。
 ちなみに、以前にもいくつか感想記事を書いているので、よろしければそちらの方もご参考下さい。
 アサシンクリード3 プレイ三日目レビュー - 思考だだ漏れノート
 つれづれとアサシンクリード3日記 - 思考だだ漏れノート
 結論から言えば、全体的に見て、良いところと悪いところが両方あり、人によって評価が分かれるだろうな、という感じ。

良かったところ

 いい部分には、今までのシリーズで培ってきた良さと、新要素の良さの二つがある。
 グラフィックの美しさ、マップの作り込み、フィールドを自由自在に駆け回れる爽快感などは、前作までと同じ、もしくはそれ以上と言っていいと思う。
 前にも書いたが、とにかくあれだけ美しい自然の中を、ただ単に動き回れるだけでなく、アサシンクリードの操作感で、木々を伝い、川を泳ぎ、草原を駆け抜けることが出来るというのは、本当に素晴らしい。
 自分は以前から、「スカイリムの世界をアサシンクリードのフリーランで走り回れたらなぁ」と常々思っていたのだが、今作はちょっとそれに近い部分があった。
 そのフリーランの操作性が改善されたのも嬉しい。前作までとは操作方法が少々変更されたことで賛否両論があるようだが、個人的には改善されたと感じる。Rトリガーで走り、Aボタンでジャンプ、という今作の操作は、より直感的で無駄がない。
 他に良かった点を挙げるとすれば、やはり海洋ミッションだろうか。
 今作では、帆船を操って敵船と戦ったりするミッションがあるのだが、このミッションの完成度がひじょーに高い。船の挙動がとてもリアルで、舵を切ったり、帆を張ってスピードを上げたりするのだが、船体の軋みや波の揺れが伝わってくるような錯覚さえ覚える。出来れば次回作では、海の上を自由に探索出来るようにして欲しい。
 それから、ホームステッドという自分の村を持ってそれを発展させるという要素があるのだが、この辺の設定・設計は個人的に好き。今までのアサシンクリードでは少なかった、普通の人々との関係を描いたのはなかなか面白い試みだったと思う。村人は、昼は農作業などそれぞれの仕事をし、夜は宿屋に集まり酒を飲んだりと、時間帯によって行動パターンが変化するため、生活感が演出されている。
 それから、ゲームエンジンが変わったおかげで、一度に画面に表示出来る人数が増えたらしい。特にコナーが戦場を駆け抜けるミッションでは、数えきれない程の敵兵が、きちんと一人一人動いているのが確認できる。技術の進歩ってすごい。

悪かったところ

 ただ、今作には、プレイしていて首を傾げざるを得ない点が多々あったのも確か。
 まず、前作までにも増してバグが多い。フィールドを走っていて、オブジェクトの間に挟まって動けなくなったり、オブジェクトの隙間から落っこちて落下死することが何度かあった。「狼を狩る」というミッションで、狼が大木の中に埋まって狩猟不可能になったこともあった。
 また、サブミッションの場所などが、地図上に表示されなくなるというバグもあった。おかげで広大なマップからミッションが始まる場所を探すのは非常に苦労した。
 他には、コナーの代名詞であるアサシントマホークが消失して装備出来なくなるというバグが発生。あと、装備している銃がマップを移動するたびに変わってしまう、というバグも頻発した。
 これらのバグは、ゲームの進行そのものに支障があるわけではない。ハマってしまっても、リセットすれば大抵直るし、装備が変わっても普通に戦闘は可能。しかし、オープンワールド系にバグはつきものとはいえ、前作までよりは確実にバグが増えている。
 さらに、細かい部分で作り込みが甘いと思う部分が相当多かった。あまりに多いので箇条書きにする。

  • フルシンクロの条件が厳しすぎ。初回プレイでフルシンクロしようとすると、何度もやり直すハメになって非常に苦痛。
  • RBボタンによる装備変更時の、画面切り替え速度が前作までと比較して遅くなった。純粋な改悪。
  • 交易システム。動物の皮等の素材からアイテムを生産して売ることが出来るのだが、インベントリの操作性が最悪。生産がめんどくさい上に、売るアイテムを一個ずつ選ばなければいけないため非常に時間がかかる。しかも、アイテムを生産して売却するより、動物の皮を直接売却した方が資金稼ぎの効率がいい。
  • 狩猟に関しては、小型の草食動物なら、弓で射るか適当に走って直接倒せるし、大型の草食動物や肉食動物は向こう側から襲ってくるのを倒せばいいので、罠や囮を使うメリットがイマイチ無い。
  • 戦闘中に、カメラが木等のオブジェクトで隠れて見えなくなり、一方的に殴られることがたまにある。理不尽。
  • マップが前作までの白黒ではなく、レーダーみたいなグリーンになって見づらい。既に行った場所とまだ行っていない場所の区別がつきづらい。
  • 敵兵がかなりしつこく追いかけてくる。前作までは、建物の上に登って走れば簡単に逃げることが出来たが、今作は高い建物が少ないことも相まって、どこまでも追いかけてくる。
  • ムービー時の台詞の頭が切れることがある。ストーリーが重要なゲームでこれはあり得ない。
  • 地下道探索そのものに存在意義を感じない。
  • アサシンを各地に派遣することが出来るが、「前作にあったので今作でもつけました」レベルで、こちらも存在意義をあまり感じない。

まとめ

 これは予想だが、アサシンクリード3になって、多くの部分をゼロから作り直したために、詰めの甘い部分が多くなってしまったのではないかと思う。テストプレイをしていれば容易に気づけるであろう不備が放置されているというのは、怠慢なのか、販売時期などの大人の事情なのかは知らないが、プレイヤーに取ってはいい迷惑である。
 色々書いたが、今作は、アサシンクリードというゲームの根幹部分(美しいグラフィック、華麗なアクション、歴史考察に基づいた細かい作り込み)自体は、キチンと盛り込まれている、ということは強調しておきたい。
 その上で、ゲームとしての作り込みが甘い部分が多いことは認めざるを得ない。個人的な印象で言えば「アサシンクリード3=ものすごくボリュームの多いアサシンクリード(初代)」といった感じ。料理で言えば、素材はいいけど調理法を間違えている。
 もし次回作が出るとしたら、初代→アサクリ2くらいの進化や洗練が欲しい、というのが今の一番の感想であろうか。