『Fallout4』をプレイした。1ヶ月半ほどみっちりと。今回がいわゆる2周目のプレイだった。
1周目のときは、他にプレイしたいゲームがあったので、メインストーリーを駆け足で進めて無理矢理終わりにしたのだけれど、それが心残りだった。ドラマ版配信と同時にゲーム版がセールになっていたのでこの機会にやりたい分だけやりつくすことにした。やりつくしておくべきゲームだと感じたから。
2周目の今回は、なるべくサブクエストを見尽くせるようにじっくりと進めた。メインクエストは特に進めたくなかったので、敵対する直前のところまで4つの勢力のクエストを進めた。
大半のサブクエストをやりきって、ただそのへんを散歩して敵を倒して素材を集めて居住地をクラフトするだけでも楽しかったのだけれど、さすがにキリがなさすぎるので止めることにした。他にやりたいことがなければあと1ヶ月くらいプレイできそうな気がする。
楽しかった。最後までめちゃめちゃ楽しかった。
個人的な話をすると、最近はゲームをやるより本を読むほうが楽しいなぁ、と思うようになっていたのだけれど、その読書時間を大幅に削って荒廃した連邦に入り浸ってしまった。
しかし、なにがそんなに楽しいのかを言語化するのがどうにも難しい。
面白い要素を個別に挙げることはできる。でもそれがここまでの「ハマり」を生む理由が、プレイしていてもよくわからない。
クエストをこなし、素材を拾い集め、敵の装備も売り飛ばして素材を買い、その素材で居住地をクラフトしていく。このフローがとにかく楽しい。
コンクリートの壁で拠点を囲って要塞化しているだけで楽しい。スキマなく壁をしきつめるために設置位置を微調整しているだけで時間が無限に溶けていく。
いろいろな武器を強化して使い勝手を確かめていくのも楽しい。でもPerkが無いと性能を十分に発揮できないのはちょっと楽しくない。
先日の次世代機アップデートで長らく使えなかったMODも使えるようになった。
ゲームバランスを変えるMODはなるべく使わない主義なので、必要最小限のMODしか使わなかったが、それでもバニラよりはかゆいところに手が届くようになったのが嬉しい。
居住地でスクラップにできるオブジェクトを大幅に増やすMOD。邪魔なゴミや枯れ草を取り除ける。掃除するのが好きなプレイヤーにはたまらない。スクラップは解体せずワークベンチにしまうようにすれば素材は増えないのでゲーム性も壊れない。このMODのせいでプレイ時間が倍増したと言っても過言ではない。
フィールドの植物をより緑っぽくにするMOD。殺風景な景観がだいぶマシになる。色を変えるだけなので動作も軽い。
水を透明にするMOD。デフォルトだと水中の視界が悪くて辛いので。
ピッキングとハッキングを簡単にするMOD。長時間プレイすると単純作業になってしまうそれらの苦痛を軽減してくれる。
コンパニオンを色々いじるMOD。「Basic Companions Helper」。パイパーをデフォルトの場所に戻すためだけに導入。PSでの動作は保証しない、と書かれていたが問題なく動作した。
Fallout4はゲームバランスが考慮されたゲームとは言い難い。いわゆる攻略を楽しむようなゲームではない。
ストーリーは、ツボを突くようなシブ味こそあるものの、目を見張るような派手な展開があるわけではない。そもそも攻略サイトで保管しないとストーリー自体を把握するのが結構難しい。Fallout4大辞典が更新終了してしまったのが惜しまれる。
しかし「ロールプレイの土台」としては優れている。ロールプレイに必要な世界設定が高度に練り上げられており、そこを生きる楽しさをプレイヤーが自然に見出すことができる。それがベセスダだが作るFalloutシリーズ(今作が初プレイだけど)や、The Elder Scrolls(TES)シリーズ(OblivionとSkyrimしかプレイしてないけど)の最大の魅力だ。
TESシリーズは比較的ベーシックなファンタジー世界が舞台だが、FalloutはIF設定を含んだ核戦争後の未来。史実のアメリカの事物が登場するのも特徴。
今作ではフェンウェイ・パークをモチーフとした街がメインストーリーに登場する。他にも独立戦争の有名な戦場となったバンカーヒル、ヘンリー・デイヴィッド・ソローが自給自足生活をして『森の生活』を執筆したウォールデン池なども出てくる。
日本人の自分からすると「アメリカ史の勉強」という感覚だが、当のアメリカ人にとってはどんな感じなんだろう。東京ドームとか関ヶ原がゲームに出てくる感じか。
以上のようにさんざんハマった上で言うのもあまり説得力がないかもしれないが、今後のベセスダのRPGにはかなり先行き不安なものを感じている。
そもそも作り上げられた冒険の舞台だけを用意しておいて、残りはプレイヤー側のロールプレイとMODでどうにかしてください、というゲーム性が、今後のゲーム市場で同じように受け入れられるか、という問題がある。
他にユーザーフレンドリーなゲームがいくらでもある今のゲーム界隈で、これほどプレイヤーの働きかけが必要なゲームがこれからも「ウケる」ことが可能なのだろうか。
シリーズ特有のバグや不親切な仕様を、既存のプレイヤーは「ゲームの味」として許容しているが、新規プレイヤーがそれを受け入れられるか。
実際、最新作である「宇宙版ベセスダRPG」の『Starfield』は評価がイマイチだった。あちらは惑星の作り込みがあまり良くなかったという事情もあるみたいだけれど。PS5持ってないからプレイしてないけども。
ただでさえFalloutシリーズやTESシリーズは制作期間が長い。膨大な世界設定をオープンワールドのクエストに落とし込むのにはよほどの労力が必要だろう。その作業量はゲームがリッチになるほど増大していくに違いない。
その間にも他のゲームタイトルは進化していくし、ゲームジャンルも多様化していく。ある程度ニッチなジャンルとしてベセスダRPGが生き残る可能性は十分あるが、そうなると今度は膨大な開発費をペイできるのかという問題が生じる。素人目に見て、勝算が思い浮かばない。
勝算があるとすれば、GOTYを獲得したバルダーズゲートのように、ニッチなジャンルであっても単純に高いクオリティで多くのユーザーを獲得することだろう。
と、そんな素人のゲームプロデューサー目線は置いておくとして、Fallout4のゲーム性には本当に捨てがたいものがある。クラフトが楽しすぎる。似たようなゲーム性のゲームはないものか。
人間やモンスターを銃で撃つのが好きじゃないので、そういう要素が無いのが欲しい。っていうかもしデス・ストランディングにFallout4のクラフト要素があったら永久にプレイしてしまうと思う。2がそういうゲームになっていたら嬉しい。ある意味怖い。