rh日和(仮)

モノ、ゲーム、PCなどについてのブログ。

『Sifu』をプレイ 成長を実感できる硬派なカンフーアクション

Sifu: Vengeance Edition -PS5-

 PS Plus3月のフリープレイの『Sifu』をプレイ。危うくもらい忘れるところだったのを3月末にギリギリで気づいたのだった。あぶなかった。

 本格カンフーアクションゲームとして話題になった本作を、PSプラスならフリープレイで遊べるというのだからありがたい。


 まずオープニングからちょっとした裏切りでプレイヤーを驚かせてくれる。意図したものかはわからないが、なんとなくゲーム性を知っていてもなお驚けるストーリー展開になっているのは、上手いなと感じた。

 カンフーを駆使して敵を倒していくステージクリア型の3Dアクションゲーム。弱攻撃、強攻撃、回避、パリィなどを組み合わせて戦う、比較的オーソドックスな操作性。殺された師匠の敵討ち、というストーリーも実に王道カンフーものらしい。

 敵にやられると不思議な硬貨のパワーにより、年齢を重ねて復活できるシステムが大きな特徴。

 年齢を重ねるごとに攻撃力は上がるかわりに体力が減少する。ただ弱体化するだけではないというあたりが面白い。もちろん見た目も変化する。青年拳法家から白髪白ひげのシブい老師へ。

 主人公の寿命が尽きる前にすべてのステージをクリアするのが目標。要するに年齢がコンティニュー回数のかわりになっているのである。


 これだけだとクラシカルなアーケードゲームライクなゲーム性になりそうだが、そこに「挑戦前の年齢でステージをやり直せる」システムが加わることで、一味違ったゲーム性に仕上がっている。

 繰り返しプレイすることでプレイヤー自身の腕前が上がり、より低い年齢でクリアできるようになる。

 なのでノーデスを目指してひたすら同じステージをやりこんでもいいし、ある程度のデスは許容して先に進んでもいい。しかしあまり年齢が上がると後半のステージが辛くなるので、結局序盤のステージに戻ってやりなおさなければいけないかもしれない。

 言ってみればゲーム進行の自由度がプレイヤーにゆだねられている。そしてその過程で、繰り返しプレイが自然にうながされている。ちょっと似たシステムのゲームが思い浮かばないかもしれない。

 ゆくゆくは「ノーデスやりなおし無しクリア」みたいなやりこみプレイもできそうな予感。まだ未クリアだからわからないけれども。

 同じステージを繰り返しプレイすることで経験値を稼ぎ、技やアクションを増やすこともできる。デスした後も経験値が残るタイプのローグライクにちょっと近いプレイフィールで、どんどんアクションが増えていくのが楽しい。

 しかし本作は「いかに敵の攻撃をさばくか」が重要な、アクション要素の強いゲームであるため、ゲーム内の経験値よりも現実のプレイヤースキルを求められる比重がかなり大きい。

 とにかくプレイヤーの腕前一本で進んでいかなければならず、救済措置などもない(難易度選択は可能、アプデで追加されたらしい)ので、アクションゲームが苦手な人はちょっと厳しいかもしれない。

 そのぶん、自分の成長が実感できるつくりになっている。硬派なアクションに挑戦したい人にオススメ。


 完璧主義気味の自分は、ひたすらステージ1を繰り返しプレイする初日&2日目を過ごすことになった。

 ステージ1にどうしても解放できない要素があって攻略サイトを見たら、ある隠し要素の存在を知ってしまい、さらにハードなやりこみをすることになってしまった。完璧主義の弊害が出ている。

 でも全然飽きない。小気味良いコンボと、パリィや回避を主体とした防御システムが、爽快感と成長の喜びを味わわせてくれる。ステージシステムは一風変わっているが、3Dアクションゲームとしてはかなりの正統派。

 カンフーを題材としているだけあって技の種類が豊富なのが実によい。スムーズに敵を倒すことができればまるで映画のワンシーンのようなスタイリッシュさ。倒せれば、の話だけれども。

 これは結構長く遊べそう。カンフーマスター目指してやり込んでいきたい。

パルワールドについて考えた色々なこと

 今話題の『パルワールド』についてちょっと色々なことを考えた。

 公開範囲を限定したいのと、一度くらい有料機能を使ってみたかったので、有料記事にしてみた。ものすごーく興味のある人は買って読んでいただきたい。今後有料記事を書くことは多分無いと思うが、先のことはわからない。




 最近、パルワールドについて考えるのが楽しい。買ってないけど。配信を見る気もしないけど。

 ワンチャン、ゲームやるより楽しい。

 他の様々な新作待ちだからこそ、考える時間がとれている面もある。つくづくリリースタイミングが良いな、パルワールドは。

2の予習に『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』をクリアした感想 とりあえず触って損はない

 『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』のPS4版をクリア。スクショを全然撮っていなかったので、画像はプレイ中盤のもの。

 (※記事後半に多少のネタバレあり。)

 年末年始にプレイするゲームを探していたら安かったので目に留まったタイトル。

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 ちょうどもうすぐ続編の『ドラゴンズドグマ2』が発売されるので、その予習になるだろうとの意図もあり手を出した。まったり1週間くらいプレイしてクリアまで到達できた。


 一言で言えば「アクションゲームに定評があるカプコンがオープンワールドRPGを作りました」という内容だった。

 アクションやパーティー編成がなかなかに奥深く、楽しかった。

 特に大型モンスターに張り付いてガンガン殴れるのが、同じカプコンのモンハンなどには無い爽快感。

 クリアまでは攻略サイトを見ないようにしたおかげで、装備やジョブの組み合わせを試行錯誤をするのが面白かった。

 ポーンシステムも、非同期型のオンライン要素としてよく出来ていた。


 一方、RPG要素はやや淡白だと感じた。

 オープンワールドが十分活かされているとはやや言い難く、自由に探索してなにかを発見するという楽しさは乏しい。むしろマップが広くて移動が長いのがちょっと辛かった。

 グラフィックが3Dになっているだけで、RPG要素はファミコン世代のゲームくらいのシンプルさだと感じた。「オープンワールド版ドラクエ3」をやっているような気分だた。

 いちいち地面のアイテムをゴソゴソ拾うのも、昔のモンハンのようで懐かしさすらあった。

 このあたりのシンプルさは、同時期や後発のオープンワールドRPGと比べてしまうとどうしても弱い。

 ただ、本作を他タイトルとつい比較してしまいがちなのは、「オープンワールドRPG」というジャンルがその後大流行したからでもあり、そこまで詳しく比較しなければあまり気にならない点も多いのかもしれない。それらをかなり遊んだ今の自分が比較抜きで評価するのはほとんど不可能だけれど。


 シンプルさは、良く言えばとっつきやすさでもある。

 昨今のアクションRPGに慣れている人なら、本作はかなり気軽に遊べるだろう。

 続編が気になる人は、とりあえず本作を予習でプレイしても損は無いはず。価格も安いし。


 パーティーのジョブ遍歴をメモる。

 主人公はファイター→ミスティックナイト(途中まで)→ウォリアー→アサシン。

 大剣の見た目に惹かれて、ミスティックナイトのレベル2くらいでウォリアーに乗り換えたが、技の出が遅いわりに範囲も威力もそこまで強くないので、とにかく戦いづらかった。というか片手剣の一閃突きが便利すぎた。

 ウォーリアーをマスターした後にアサシンに転職したことで、俄然アクションが楽しくなった。アクションを楽しみたいなら遠近両方こなせるジョブが適しているかも。

 メインポーンはファイター→ウォリアー→ストライダー→レンジャー→ファイター。

 近距離ジョブから遠距離に順当に転職していったが、後半はサポートポーンがダウンすることがあまりに多かったので、ファイターにして盾役をやらせた。

 サポートポーンはヒール・サポート役のメイジと魔法アタッカーのソーサラーで後半は固定になった。

 回復は、メイジを使うより、アイテムで補ったほうが強いんだろうなと感じた。終盤で癒しの泉の水を無限に汲めることに気づいたあとは特に。でもそれもロールプレイ的に味気無いのでメイジ入りパーティーで最後まで通した。


 ドラゴンの生贄のキャラはセレナだった。森のイベントのときにちょっと贈り物を送ったので好感度が上がった模様。

 好感度によってキャラが変わる、という情報だけはなんとなく知っていたので、マデリンの好感度を上げたかったのだが、生贄決定フラグが立った後にマデリンを逃がすイベントをやったせいで選ばれなかった。ラストにはマデリンが出てきた。
主人公を女性、ポーンを男性にしたため、ラストのアレの違和感が凄かった。

 オリジナル版では宿屋のおっさんの好感度がめちゃくちゃ上がりやすく、生贄に選ばれやすかったらしい。ムービーのアレはどうなっていたんだろう。


 最後まで涸離宮に入れなかったが、どうやら王妃関連のイベントを見逃していたせいらしい。

 というかクリアするまで王妃に一度も全く会わなかったので、クリア後に存在自体を知らなかった。自由度が高い。


 全体として、最後までダークファンタジーをやろうとして、実際にやり切っているのは素晴らしいと感じた。

 その真っ直ぐな感じに好感を抱いた。

 ただ、もうちょっと展開にひねりが欲しかった気持ちもある。

 単に古いゲームだからストーリーがストレートに感じられるのか、それとも当時からそういう評価だったのかはわからない。

 めちゃめちゃ心に残るゲームだったか、というと、正直そこまでではないが、なんとなく良いな、という感じは残った。なんとも言えない味わいのゲームだった。

年末年始は『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』をプレイ 今遊ぶとシンプルさが際立つオープンワールドRPG

 年末に遊ぶゲームをPSストアで探していて見つけたのが『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』

 2012年にオリジナル版が出たときから、本作の存在自体は知っていた。Xbox 360を持っていたし、同じカプコン製のモンハンも散々プレイしてたし。

 でも手を出そうとはしなかった。なぜかは覚えていない。過去記事によるとどうやら『スカイリム』や『アルティメットマーヴルVSカプコン』などをプレイしていた模様。


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 いかんせん10年以上昔のゲームなので、ゲーム性全般の古さは否めない。ちなみに続編の『ドラゴンズドグマ2』が来年発売予定とのこと。10年以上経って続編が出るのもスゴイ話。間にオンライン版があったらしいけども。

 「オープンワールドアクションRPG」という超人気ジャンルゆえに、ゲーム性の陳腐化も早い。PS3、Xbox 360世代のゲームゆえ、3D表現がかなり地味なのが特に気になってしまう。


 しかしその「古さ」を差し引けば、シンプルでとっつきやすいアクションRPGとして楽しめている。

 基本行動は通常攻撃とスキルの2つ。スキルは自動回復するスタミナを消費して発動。3人のNPCとパーティーを組んで戦闘。と、変にヒネった要素がない。

 昔ながらの古式ゆかしいRPGの文法をきっちり守っているのもわかりやすいポイント。お金を稼いで装備をバージョンアップ。ダンジョンを探索すると宝箱から強いアイテムが手に入る。「誰がこんなところに宝箱を置いたんだろう?」などというツッコミは野暮である。


 アイテムを地面からゴソゴソ拾う感じや、大型ボスとの戦闘など、色々なところにモンハンっぽさを感じる。正確に言うと「10年くらいのモンハン味」である。

 鉱石を掘るのにわざわざピッケルを持たないといけないあたりは、完全に昔のモンハン。ピッケルは『MHW』で廃止されたので最近のプレイヤーは知らない人も多いかもしれない。

 モンハンの「乗り」よりも早く、本作には「しがみつき」という要素が実装されている。しかも乗りより自由度が高く、モンスターの好きな場所にしがみついて攻撃できる。

 ストーリーやムービーのアッサリ感も、昔のモンハンっぽさみたいなものだと考えれば、ゲームプレイ部分に集中しやすい長所とも言える。オープニングの「ドラゴンに襲撃されて力に目覚める」という1mmの捻りもない王道展開が逆に清々しい。


 とりあえず主人公はファイターで始めた。一閃突きがものすごく強い。なぜか一閃突きを強化する指輪が倉庫に入っていて、それを装備したらますます強くなった。

 メインポーンもファイターにしてみたが、これは失敗だったかもしれない。お下がりの装備を着せようと思ったが。他のジョブにしたほうが装備を使い回せることに後から気づいた。

 転職できるところまで来たので魔法ジョブに転職させてみようか。


 年末年始はまったりドラゴンズドグマをやっていきたい。グラブルリリンクが出たらそっちに移行する予定。

 来年までセールで500円以下なので、ゲームの歴史を味わいつつアクションゲームを楽しみたいならオススメ。

 ちなみにDDもグラブルも「最初に登場する味方の女騎士のCVが沢城みゆき」という共通点がある。だからどう、というわけではないけれど。

PS4版『PowerWash Simulator』をプレイ ただ洗うだけで心が磨かれる(気がする)

PowerWash Simulator (輸入版:北米) - PS4
 今月のPSプラスのフリープレイになった『PowerWash Simulator』を、ここ3日ほどプレイしている。

 ハマっている。それはもう、ハチャメチャにハマり倒している。

 元々、配信などで見ていて、気になるゲームではあった。こういう作業系のゲームをプレイしたくなるときが、周期的にやってくるので。

 しかし、こういう言い方はちょっと失礼かもしれないが、あえて手を出そうとするほどでもなかった。時間つぶしの方法はいくらでもあるわけだし。

 そんな中でのフリープレイでの配布。ありがたくプレイさせていただくことに。


 実際に自分でプレイしてみると、予想以上の中毒性。

 高圧洗浄機で車や家や建物をひたすらキレイにしていく、というだけのゲームなのだけれど、「だけ」だからこそ、無限にプレイできてしまう。特に目的もなく梱包材のプチプチを潰しているときの、あの感覚に近い。

 手を動かせば、動かしたぶんだけ確実にモノがキレイになっていく。それ以外に余計なことを考える必要は一切ない。さながら禅の境地である。ものを磨くことで、己の心を磨くこともできるのかもしれない。いや、よく知らないけど。

 依頼をこなすほどお金が溜まっていき、より高性能な洗浄機やアタッチメントを買うことができる。おそらくデフォルトの洗浄機にいくつかのアタッチメントだけでもクリア自体は可能だろうが、だいたい今のものに慣れたあたりで新しいものが使えるようになるので、飽きが起こりにくい。そのタイミングがちょうどいい。


 PS4版のコントローラーだと、右スティックでの視点操作がやや大変。PC版ならマウスが使えるのだけれど。

 モーションセンサーによる操作(Switchで言うところの「ジャイロ操作」)を試したりもしたけれど、結局オーバーウォッチ2をプレイするために買ったアナログスティックの高さを出すシリコンカバーをつけてエイムしやすくした。まさかこんなところで役立つとは。


 PS版だとFF7とのコラボステージがプレイ可能らしい。メインミッションが終わったらプレイしてみよう。

 個人的にはデスストランディングとのコラボが見てみたい。時雨で錆びた設備を洗う感じで。


 ここ3日は深夜までプレイしてしまい、流石に生活が壊れてきたので、1日1時間くらいに抑えてのんびり進めていきたいところ。抑えられるか……?

『ウォッチドッグス レギオン』をクリアした感想 良質なロンドン観光とやや単調なステルスアクション

 『ウォッチドッグス レギオン』の本編ストーリーをクリアした。

 メタスコアやユーザーレビューの評価が低いタイトルなのは知っていたが、UBIsoftのオープンワールドゲームは毎回マップの作り込みが素晴らしく、観光ゲームとしてだけでも遊ぶ価値があるだろうと思って購入した。

 事前の評価に流されず、自分の目でどんなゲームなのかを判断したくなったので、レビューの細かい内容などは一切見ずに最後までプレイした。

 その上でクリア後の感想として、総合的に見て「評価が低いのも納得」という感想だった。

↓前作のプレイ記事
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やや単調なステルスアクション

 根本的なゲームシステムやゲームの流れが地味で単調で工夫が感じられない、というのが最大の理由。

 ハッキングステルスアクションとして前作からあまり進化していない。

 格闘、射撃、スパイダーボット、ドローン、トラップなどを駆使して敵を倒して進んでいくのだが、見栄えも含めてやっていることが前作とほぼ同じ。

 ドローンの種類が増えているのが大きな変化点だが、リアルな挙動を再現したせいか、操作性が悪く敵を狙いにくい。近未来という設定なんだからリアルよりもゲーム性を優先して欲しかった。



 また本作の中だけで見ても、ゲームが進行してもやることが序盤から終盤でほとんど変わり映えしない。

 キャラクターのスキルである「スパイダーボット(潜入型)」が高性能すぎて、これに頼りきりになってますますゲームが単調になってしまった。

 ステルス状態になって敵を一撃で倒せる上に、敵に見つかりそうになっても即回収すれば戦闘状態に移行しない。

 回収後にもう一度スパイダーボットを投げればクールタイムを無視して再びステルスが発動可能になる。実質常時ステルス可能に近く、緊張感がほとんど無い。

理不尽な戦闘パートの強要

 そんな難易度ヌルめのステルスアクションが基本のゲーム性なのだが、後半のミッションになると「敵拠点で目的物をハッキングした瞬間に敵が現れ戦闘になる」というパターンが出てくる。

 こちらがどこに隠れていても構わずサーチしてきて強制的に戦闘状態になる。ハッキングの時間が終わるまでその場を離れることができないので逃げることも不可。
はっきり言ってこのゲームの戦闘はあまり面白くない。操作性の悪いTPSでしかない。ハッキングでドローンなどで戦おうとすると自キャラが無防備になってしまうので直接戦闘を矯正される。ハッカーらしさも薄い。

 主観への切り替えもできないためエイムもやりにくい。カバーして物陰に隠れていても敵ドローンは平然と回り込んでこちらを撃ってくる。潜入では優秀だったスパイダーボットも戦闘ではまるで役に立たない。

 格闘アクションもあるが、これが本当に地味。

 攻撃・ガード崩し・回避の3つをやるだけ。敵の攻撃モーションが見にくくて回避が困難。ちょっとしたスローモーション以外はエフェクトも出ない。今時のゲームとはとても思えない地味さ。

 敵が固くてなかなか倒せないのもストレス。ポカポカ殴り合っている様は、ハッキングアクションをやっているという感覚がまるで無い。敵が複数のときは妨害で倒すこともできないし。



 今作は特定の主人公キャラクターがおらず、ロンドン市民を任意でスカウトして仲間に加えられるシステムになっている。

 様々なスキルを持つキャラクターをミッションごとに使い分けることを想定して作られているのだろう。

 しかしそのシステム上、1人のキャラクターが使えるスキルの数がかなり少ない。他オープンワールドゲームのように、レベルを上げるほど主人公のスキルが増えていって万能になる、ということはない。

 にも関わらず、上記のようにゲーム後半のミッションではステルスパートと戦闘パートが1ミッション中に連続する。

 なのでステルス寄りのキャラだと戦闘で苦労するし、戦闘寄りのキャラだとステルスで苦労する。かといってミッション中にキャラクターを切り替えることもできない。もはやゲーム性が破綻している印象すら受ける。

 ミッションによっては1回敵にやられた後で交代することもできるが、プレイヤーとしては釈然としない。

 そもそも戦闘が始まるのが毎回突然で、ミッション前の予告などもない。急に敵がわらわら集まってきて戦闘させられるのは初見殺し以外の何ものでもない。ストレスしか感じなかった。おかげで軽く胃を痛めてしまった。

 最終盤のミッションでは人間の敵が無限に湧くステージも存在する。ファミコンのゲームじゃないんだからそういうのはやめて欲しい。敵も味方もロンドン市民で名前もあるって設定なのに。

 ミッションによっては強制戦闘を避ける方法もある。プレイヤーキャラは貨物ドローンで高空に待機、ミッション目的をスパイダーボットでハッキング、ハッキング後スパイダーボットで敵弾が届かない位置に逃げる、という感じで。

 しかしこれをやるとCPUの思考ルーチンの穴を突いてズルをしているようで、あまり楽しい感じはしない。むしろ「ちゃんとゲーム作れよ」と思ってしまう。



 貨物ドローンの強力さも問題で、屋外のミッションはとりあえず貨物ドローンに乗って飛んでおくだけで有利になってしまう。わざわざ発着場に行かないと呼び出せないのが不便。

 オープンワールドゲームで簡単に空を飛べるようにしてはいけないということを制作者はわかっていないハズがないのに、今作では最初からほぼ無制限に空を飛べてしまう。

 移動にも便利なのだが、便利すぎて飽きてしまうので途中からあまり使わなくなった。

あまりうまく機能していないスカウトシステム

 市民をスカウトするシステムもあまり上手く機能しているとは言い難い。
プレイする前は、ミッション中にそのあたりにいる市民に操作を切り替えて、ミッションを有利に進められる、みたいなゲーム性を予想していたのだが、全然そんなゲーム性ではなかった。

 まずスカウトするために毎回ランダムミッションをクリアしなければならない。あの退屈なステルスミッションを、キャラによっては2つの拠点に対して1回ずつやる必要がある。

 キャラもランダム、ミッションもランダムなので、キャラに対して思い入れが湧きにくい。

 仲間のボイスはおそらく数種類の声をピッチ変更で水増ししているらしく、高い声や低い声が不自然で耳障り。

 どのキャラでイベントを進行してもフルボイスで喋ってくれるのは、純粋にスゴいし頑張って作ってるなとは思うのだけれど。

 仲間のスキルもそれほど強力ではないものがほとんどで、わざわざロードを挟んでキャラを切り替えるよりも、今使っているキャラでそのままプレイしたほうが手っ取り早いな、となりがち。

 そもそもどのミッションでどのスキルが有効なのかは実際にミッションをプレイしてみるまでわからない。

 例えば「ハッキングが得意なキャラに交代したいな」と思っても、敵エリア内ではキャラ切り替えできないのでわざわざエリアを出なければならず面倒。特定のスキルが無いと突破できない場面はほぼ存在しないので、じゃあこのままでいいか、となるのは必然と言える。

 市民全てが主人公になりうる、というコンセプトは、非常に斬新で可能性のあるものだったと思う。

 しかしゲームシステム面だけで見れば、単に主人公がランダムキャラクターになっている、という以上の効果は果たしていない。

 むしろただ主人公のキャラクター造形する労力を惜しんだのではないか、と邪推すらしてしまう。

 システム全体に「プレイヤーをこういう遊び方で楽しませよう」という意図があまり感じられない。

 どちらかというとむしろ「既存のシステムに新しいシステムを加えて、なんとかそれなりに遊べるものをこしらえました」という苦心がうかがえる。そしてUBIsoftのオープンワールドゲームはシリーズ作品を重ねることにだいたいそうなっている印象。



 他の細かいストレス要素だと、イベントの前後の会話によるストーリー説明がテンポが悪い。

 会話中も自キャラを操作することはできるのだが、次のミッション地点が表示されないので、実質ただの待ち時間でしかない。後半は会話シーンを飛ばすことが増えてしまった。

ロンドン観光ゲームとしては史上最高峰

 ひとしきり悪いところを言ったので、良いところも書いていこう。

 まずロンドンの街並みのグラフィックは大変素晴らしい。

 現代的な街並みをリアルに描いたゲームとしては同社の『ディビジョン』シリーズなどがあるがそれに並ぶクオリティ。

 バッキンガム宮殿、ビッグベンなどの観光名所も再現されている。

 ただ美しいだけでなく、小説「1984」的なディストピア+ネットワーク技術による支配体制によって荒廃している様も描かれている。デモ隊の活動。体制批判のストリートアートなど。

 場所によってはいわゆる「夜の街」もある。さすがに中には入れないが。

 ミッションとは特に関係のない路地裏までもが、ただのコピー・アンド・ペーストではなく個別に作り込まれていて、ただ散歩するだけでもなかなか楽しい。

 本編のミッションとは無関係に、各地にある配送ロッカーで配送ミッションを受注できる。時間制限のないものを選べば、ロンドン市内を観光するのにちょうどいい。

 ただ、マップの各地にコンプリートアイテムを配置してプレイヤーに「ゴミ集め」みたいなことをさせる、オープンワールドゲームのお約束は、さすがにもう無くしてもいいんじゃないかと思う。テキストや音声ならまだ許容できるが、お金をいちいち拾うのはだいぶ虚しい。じゃあ拾うな、という意見もあるかもしれないが、だったら最初から置くな、と言いたい。

 ステルスアクション自体は上記の通り退屈だが、敵拠点のステージのデザインはそれなりに変化に富んでいて工夫を感じられる。おそらく建築関係などに造形の深い人が作っているのだろう。



 ストーリーはサイバーSF的な作品にありがちな展開ではあるが、それなりに楽しかった。

 ゲームシステム的に感情移入しにくかったプレイヤーキャラだが、イベントシーンの会話のおかげで多少は親しみを感じられるようになった。

 巨大なコンピューターの内部でファンの風やヒートシンクの熱を避けてドローンで進むシーンはなかなか印象的だった。

 ちなみに同じロンドンが舞台の同社のゲーム『アサシンクリード シンジケート』へのリファレンスがいくつか出てくるが、さすがにプレイしたのが昔過ぎてあまり覚えていなかった。

まとめ

 いいところもあるんだけど、根本的なゲームシステムが地味かつ薄味で面白くない。それが今のところの感想。

 積極的にプレイをオススメはできないが、かといってプレイしない方がいいと言うほどでもない。

 もし本作が2015年くらいに発売されたゲームだったらそこそこいいゲームだと評価されていたかもしれない。

 しかし本作は2020年発売。同じオープンワールドで比べても『Horizon Zero Dawn(2017)』『Marvel's Spider-Man(2018年)』『DEATH STRANDING(2019年)』の後に出たゲームと考えるとかなり厳しいものがある。同年には『Ghost of Tsushima』も出ているし。

 なにより前作(2017年)からの進歩が乏しいのが寂しい。

 ロンドン観光ゲームとしてはおそらく史上最高のゲームなので、それ以外の部分にあまり期待しなければ誰にでもオススメできるとは思う。自分もこのゲームでだいぶロンドンの地形を把握できたし。

 そうでない場合はわりと人を選ぶゲームであることを理解した上で購入したほうがいい。ステルスアクション好きで本作がシリーズで初めてのプレイならアリかも、といった感じ。

『ウォッチドッグス レギオン』を「プレイする前」の感想

 PS4の『ウォッチドッグス レギオン』を購入。中古で880円。

 帰り道、ふと、これをプレイしたら「『ウォッチドッグス レギオン』を未プレイの自分」は地球上から消え去るんだな、という考えが脳内に去来した。普段はそんなこと無いのに。

 せっかくなので本作を「プレイする前の感想」を書いてみたいと思う。需要は無いだろうけども。


 ウォッチドッグス レギオンについて知っていること。

 まず悲しいことではあるが、各種レビューの評価はあまりよろしくないらしい。Amazonレビューなどもチラ見したことはある。

 UBIソフトのオープンワールドゲームは当たり外れがあるが、ハズレの方だったのだろうか。

 ロンドンが舞台。『アサシンクリード シンジケート』と同じ。しかし本作の舞台は架空の近未来で、ハッキングをモチーフにしたアクションゲーム。

 本作のマップが、サービス終了した無料FPS『ハイパースケープ』に流用された、という話をどこかで見た気がするが、ソースが見つからない。

 前作『ウォッチドッグス2』はプレイ済み。それなりに面白くはあったが、強烈なインパクトがあったとは言い難い。『1』は未プレイ。

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 本作には固定された主人公はおらず、そこらへんを歩いている市民を自由に選択して操作できるらしい。前作まではカメラや自動車をハッキングで操作できたが、今作は「人間」をもハッキングできる、というイメージだろうか。

 しかし主人公がいないことがストーリー的な弱さの原因になっているのかもしれない。パッケージ画像が豚のマスクの人物なのも、匿名性を表しているのだろうけれど、あまり吸引力を感じない。

 とはいえUBIの技術によって緻密に作られたロンドンの街を散歩できるだけでも、880円は格安。というかそれが無ければ買わなかった。

 いや、もしかしたら自由に散歩しにくいゲーム性になっているのかもしれない。それで評価が下がっているのかも。うーん。そういうことをちゃんと調べてから買うほうが損はしないんだろうけど、わからないからこそのギャンブル感も買い物の醍醐味。


 UBIと言えば、新作の『アサシンクリード ミラージュ』は原点回帰になるらしい。どうせ原点回帰するなら1をリメイクして欲しかった感はある。アルタイル、カッコいいし。

 いい加減、現代編のストーリーを完結させてほしい、とちょっと前までは思っていたけど、最近はもはや完結させる気が無いんだろうなと諦めの境地に入ってしまっている。

 オープンワールド作品に関してはマンネリの極地みたいになりつつあるUBIソフトだが、なんだかんだでターゲット層をうまく絞った作品を継続的に作り続けている感はある。

 新作の無料FPS『エックスディファイアント』は今夏終わりにサービス開始予定だったが、延期。UBIの他タイトルに登場する勢力が集合するクロスオーバー作品らしいが、果たして「デッドセックが出てる!」とテンションの上がるプレイヤーが少なくとも日本にどれくらいいるだろう。アサクリが出たらさすがに話題になるだろうけど、FPSだしなぁ。

 キャラでプレイヤーを集められない日本で流行らせるなら、ゲーム性で勝負するしかない。6対6の対戦となるとライバルは『ヴァロラント』か。どうなるだろう。


 話がウォッチドッグスからだいぶ逸れてきたのでこのくらいにしよう。プレイ後の感想も多分書く。