Steamウィンターセールで買ったゲームその3、『ABZU』を紹介したい。海外ではPS4、Xbox Oneでも配信されているらしいが日本未配信の模様。
あの『風ノ旅ビト』のクリエイターが制作した、という売り文句だっただが、恥ずかしながら全く知らなかった。どうやらPS3で発売されたダウンロード専用ゲームで、一部のプレイヤーに非常に高い人気があったらしく、後にPS4にも移植されたとのこと。
本作は海中を泳いで進んでいくゲームなのだが、とにかく海中の景色がキレイ。
陰影の用い方、適度にカートゥーンっぽいデフォルメの効いた魚や珊瑚礁、カメラワーク、どれをとってもすばらしく、思わずウットリしてしまう。
クラシック調のBGMも大変クオリティが高く、海中のミステリアスな雰囲気に実にマッチしている。
ゲームは黒服・黄色ヘルメットの主人公が突然海に放り出される場面からスタートするのだが、言語的なストーリー説明は一切ない。なので日本語対応していないが問題なく遊べる。
彼(彼女?)は泳ぎが得意で、なぜか無呼吸でどんどん泳いでいける。ゲームオーバーも無い(多分)ので、魚達に導かれて、ひたすら海中を進んでいくことになる。
基本操作はかなり単純で、前後左右への移動とカメラ操作、そしてダッシュボタンと調べるボタン。ダッシュの使用頻度はかなり低いので、やることと言えば泳ぎ進みながらなにかありそうな場所を調べていくだけである。謎解きの難易度も特に高くはない。
もうひとつ、魚をつかんで引っ張ってもらうという操作があるのだが、こちらも攻略上の必要性はほぼ皆無。雰囲気を味わうためのものだろう。イルカにつかまってスイスイ泳いだり、亀に捕まって竜宮城気分を味わうのはなかなか楽しい。
よってゲームとしての自由度や攻略性はかなり少ないのだが、次々に現れる新鮮で美しい光景の連続によって、まったく飽きずにラストまでたどり着くことが出来た。
海中には石像のようなものが各所にあり、その上に座って瞑想することができる。
瞑想を開始すると、カメラが魚にフォーカスし、その魚の名前を見ることが出来る。さながらお魚図鑑である。名前が英語なのであんましよくわかんなかったけど。
また、フォーカスする魚は左スティックで変更することができるので、実質的にマップを把握するのにも利用できる。
さらに海底で故障している小型ロボット(ガンダムのボールみたいなやつ)を助けてあげると、進めない道を開いてくれる。コイツラが何者なのかは、言語的な説明が無いため謎である。
さらにさらに、海底にあるサンゴ礁の塊のようなポイントを調べると、そこにいなかった魚を新たに「解放」することができる。この行為が何を意味するのかもやはりプレイヤーが想像するしかない。
リアルな海中や水生生物だけでなく、古代遺跡のような建物や、機械仕掛けの物体の内部、はたまた光で形作られた非現実的な神殿など、ファンタジー要素もふんだんに出てくる。
進むほどにこの世界の謎のようなものが徐々に明らかになっていき(何度も言うように言語が皆無なので想像で補う必要はあるが)、ラストには大きな盛り上がりを迎える。
ネタバレ防止のために詳細は控える、っていうか言語レスなので僕の文章能力では到底説明できないのだが、映像と音楽のみの演出でここまでの盛り上がりを作り上げたのはスバラシイ、ということだけは言っておこう。
美しい景色を味わいたい人、のんびり泳ぎたい人、魚が好きな人、『ICO』や『ワンダと巨像』のような雰囲気のいいゲームが好きな人にオススメしたいゲーム。ボリュームはかなり少なく、急いでプレイすれば2時間かからないと思うが、このゲームでしか味わえない優れた体験が確実にある。主観視点にしてVRでプレイできたらもっとスゴそうだな、とも思った。メチャクチャ酔いそうだけど。