よかったところ
- 筆絵風のグラフィック
- 画面に絵を描くことで物を斬ったり木に花を咲かせたりできる斬新な「筆しらべ」システム
- 日本の神話、伝説、昔話などを下敷きにした壮大なストーリー。終盤の展開は感動必至
- 敵も味方もどこか憎めない愛嬌のあるキャラクター。推せる
- 主人公のアマテラスがとにかくかわいい。わんこ
- 3種の神器を付け替えて自由度の高いアクションバトルが楽しめる
- 広大なマップを探索でき、探索するほど強化できるRPG要素
よくなかったところ
- ストーリーの目的が変化することで生じる微妙なねじれ
- 探索は慣れてくるとちょっとダルい。ひたすら宝箱を開けたりクローバーに丸を描くだけなので後半は飽きてくる
- 戦闘では特に雑魚戦のテンポが悪くなりがち。主に、やられモーションに筆しらべを当てるとアイテムが出てくるシステムのせい
- 戦闘の難易度がとにかく低い。低年齢でもクリアできるよう配慮したと考えれば許容はできる
- 終盤になるほどストーリーが一枚絵で表現されることが多くなり、CGデモが少なくなる。容量か制作期間などの事情があったのだろうか
そんなわけでPS4版『大神 絶景版』をクリアしました。今回はなんとなく最初に感想を箇条書きしてみた。
確か夏のPSストアセールで買って積みゲーしていたのを、ちょっとずつ進めてようやく全クリアにこぎつけた。
和風の世界観を全面的に押し出した3Dアクション。特にアートワークが素晴らしい。トゥーンレンダリングの一種らしき筆絵風のグラフィックは世界観に完全にマッチしている。
犬を操作する本格アクションゲームというのも他になかなか無い。しかも神谷英樹氏が得意とするスタイリッシュなバトルが楽しめる。
そういったゲームとしての外見だけでなく、「筆しらべ」システムや、日本神話を中心に日本の様々な物語を大胆に取り込んだストーリーなども含め、とにかく全てが斬新で、2020年現在に至ってもその新鮮さは色あせていない。
最初に挙げたように、細かい難点はちょこちょことある。
戦闘がとにかく簡単な割に、探索やミニゲームがやや冗長なため、アクションパートに関しては100点満点とは言い難い。
特にカメラワークに関しては近年のゲームに慣れているほどストレスだろう。当時はカメラ操作が自由な三人称視点が一般的ではなかったので仕方ない。
ストーリーに関して言うと、ゲーム開始時の冒険の目的が、途中からちょっとずつ路線変更していくため、一貫した印象がやや薄くなってしまっている。
- 序盤「サクヤを助けて世界を元通りにする」
- 中盤「とにかく悪い妖怪を倒す」
- 終盤「アマテラスの出自に関わる話」
みたいな感じ。おそらくストーリー制作の過程で二転三転があったのではないか。わかる人向けに言うとドラクエ6現象。
プレイ開始からクリアまでに少々時間がかかったのもこれが原因。ストーリーの大きな山場を超えたと思ったらまた新しい話が始まるので、その都度休憩する形に自然となった。
しかしそれらの難点はゲーム全体から見れば些末。誰もが楽しめるし、誰にでもプレイして欲しい名作。PS4だけでなくPCやSwitchにも移植されているし。
個人的に素晴らしいと思ったポイントは「アマテラスがしゃべらない」こと。
名前からも分かる通りアマテラスはかなり高位な神様なわけだが、そんな彼女(英語版では「She」らしいので)の考えがプレイヤーに筒抜けだと、「この先どうなるんだろう」というハラハラ感が減じてしまう恐れがある。
アマテラスの言葉をほとんどの人がわからない設定になっていることで、先の読めない展開を作ることに成功している。絶妙。
ちなみに自分はこのゲームを「マーヴルVSカプコン3」という格闘ゲームで最初に知った。以前やった逆転裁判と同様に。
必殺技が神器や筆しらべを再現しているので、若干のネタバレ感があったが、「次はどれが出てくるんだろう」という特殊な楽しみ方が出来たし、改めてマヴカプ3の原作再現度の高さを知り感動することができた。
ストーリーの好みで言うと、こういう自己犠牲ばっかり出てくる話は必ずしも好きな方じゃないんだけど、ラストはやっぱり感動してしまった。
逃げてた人が逃げずに頑張るのって、なんかグッと来るじゃん。スサノオの話もそうだけど。
続編を匂わせる終わり方だったけど、果たしてどうなるか。版権がややこしそうだから厳しそうだけど是非作っていただきたい。