rh日和(仮)

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『ポポロクロイス物語 ~ナルシアの涙と妖精の笛』をプレイして思った、名作ゲームのスマホゲー化について

 『ポポロクロイス物語 ~ナルシアの涙と妖精の笛』をプレイした。普段このような課金制のガチャシステムのあるゲームは基本的にやらないのだが、ポポロクロイス物語の続編ということで手を出してみた。

 ポポロクロイス物語は、もともとかなり昔の漫画が原作なのだが、プレイステーションでゲーム化されたRPGソフトで知った人が圧倒的に多いだろう。自分はオリジナルの1(無印)・ポポローグ・2をPlayStationでプレイした、いわゆるリアルタイム世代なので、かなり愛着のある作品だ。

一般的なスマホゲーに近いシステム

 本作のシステムはガチャ・課金・スタミナといったシステムの典型的なオンラインスマホゲーム。パズドラやモンストをちょっとやっていたことがあるが、それらとだいたい同じと考えていい。

 戦闘システムは、3×3のマス目に敵と味方が配置され、昔のファイナルファンタジーのATBのように各キャラの行動ゲージが溜まったら攻撃できる、というもの。少なくとも序盤はオート戦闘だけでサクサク進める。

 ストーリーはクエストごとのデモシーンとして見る形。正直スマホゲーということでほとんど期待していなかったのだが、思っていたよりはポポロクロイスっぽい。

 牧歌的な雰囲気、ピエトロとナルシアのイチャつき、ジルバに言い寄られるピエトロとそれに嫉妬するナルシア、などなど。

 ただグラフィックが特に特徴の無い3Dポリゴンなので、1から2にかけての温かみのあるドット絵に親しんだ人にとっては、少々平凡に感じるかもしれない。

 登場キャラクターは1、ポポローグ、2からがメインで、オリジナルキャラも多数。

 スマホゲーのお約束として女性キャラの露出度が高いが、さすがにナルシアはちゃんと服を着ているので安心(?)。ミニスカ履いてるけど。

旧作ファンが感じるであろう違和感

 本作のスマホゲームとしての出来がどうなのか、ということについての判断は差し控えさせていただく(官僚的答弁)。

 そもそも普段こういうタイプのゲームをやらないので、他と比較自体が不可能なのである。普段寿司を食べない人間に、ネタや握りの良し悪しがわからないのと同じこと。

 ここで考えたいのは、かつてプレイステーションのポポロクロイスシリーズに慣れ親しんだ人々が、本作で初めて課金型オンラインスマホゲームに触れた時に、どのようなことを感じるか、という問題。

 一般的なRPG(あるいは「かつて一般的だった」と言ったほうが正しいか)のシステムしか知らない人が本作をプレイした場合、まず間違いなく多数の疑問を抱くことになるだろう。

 なぜ、キャラクターをガチャで集める必要があるのか。

 なぜ、同じキャラクターが複数仲間になるのか。

 なぜ、ストーリーに登場する味方と戦闘で戦う味方が別なのか。

 なぜ、サブストーリーの遠い大陸の見知らぬ国の出来ごとなのに、主人公のピエトロ王子が戦闘に参加出来るのか。

 なぜ、キャラクターの強化を合成によって行うのか。

 なぜ、キャラクターとキャラクターを合成するのか。

 なぜ、細切れのストーリーを見るために、ただ眺めるための戦闘を挟まなければならないのか

 などなど、あらゆる疑問が浮かぶはずだ。

 そして、ゲーム中にはその疑問に対する明確な回答は全く用意されていない。せめて世界観的になにかそれらしい説明をつけて欲しかったが、それも無い。

誰のためのゲームなのか

 別に自分はスマホゲーのシステムが悪い、と言いたいわけではない。そもそも旧作だってRPGやドット表現というゲームの「お約束」に則って作られたわけだし。

 ただ事の良し悪しとは別として、ある一定数の旧作ファンが違和感を抱くことは間違いないだろう。果たしてどれくらいの人数が、その違和感を乗り越えてプレイし続けるだろうか。

 かと言って現代のスマホゲー世代に対して、ポポロクロイス物語というコンテンツがどの程度訴求力があるだろうか。

 そう考えると本作をずっとプレイし続けるのは、「スマホゲーならなんでもやる」という特定の限られた層だけになってしまうのではないか。

 まぁそういう層の中から少しでも、ポポロクロイスって面白い、と思う人が出てくれれば、ゲームとしては成功なのかもしれない。


 本作に限らない話だが、「あの名作ゲームが復活!」という話が出た時にファンが期待するのは、オリジナルに近いゲーム性を、最新のゲームハードでプレイすることだろう。制作スタッフだってそれを望んでいるかもしれない。

 しかしもちろん現実問題としてそれは難しい。大人になればそれくらいのことはわかる。

 最新ハードで売れるゲームを作るためには、単純にお金がかかる。しかもそれがどの程度売れるかもわからない。そうなれば当然予算は下りない。

 でも新しいゲームを作りたい。じゃあどうすればいいか、という話になった結果、既にシステムが出来上がっていて、かつ一定の需要が見込めるスマホゲームにしよう、という結論が会議によって出されるのだろう。経済の論理としてそれは正しい。

 でもその結果作られるゲームは、イマイチ誰に向けたものなのかわからなくなってしまいかねない。誰が悪いわけでもなく。

 まぁそもそも20年以上前に第一作が出た作品とその最新作のシステムを比較してとやかく言うなんて「老害乙」と言われたら返す言葉もないんだけども。


 なんてことを書いていたら、初代のポポロクロイス物語をやりたくなって、PS3を引っ張り出してゲームアーカイブスでプレイし始めてしまった。やっぱりドット絵ってイイネ。細かいイベントまで作り込んであって楽しいし。

 何年、何十年と経っても、面白いゲームは面白いままだ。いちゲーマーとしては、そういうゲームが増えることを願って止まない今日このごろである。あと最初のブタ貯金箱は取っちゃだめなやつ。