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PS4版『Iconoclasts』をプレイ レンチ片手に少女が世界を救う2Dアクションゲームの名作

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ゲームソフト | Iconoclasts | プレイステーション

 PSプラスで1月のフリープレイになったPS4用ゲーム『Iconoclasts(アイコノクラスツ)』をプレイした。ハマりすぎてセーブデータが100%になるまでやりこんでしまった。どうしても見つからなかった宝箱1個とボス関連をのぞいてすべて自力で。おかげで寝不足である。switchやSteamでも配信されている。

www.jp.playstation.com

 スウェーデンを拠点に活動する製作者によるインディーゲームだそうで、ジャンルとしては2D探索型アクション。いわゆるメトロイドヴァニアに近いがストーリー展開によって特定のマップから出られなくなったりするので、より演出重視のゲーム性と言える。

 グラフィックはフルドットで美しく高精細。開発に7年かけたというだけのことはある。特にキャラクターの動きが滑らかで生き生きとしている。個人的なお気に入りは落下攻撃後の決めポーズ。開発に7年かけたというだけのことはある。随所にレトロ感を取り入れたBGMも秀逸で印象に残る。。

 アクションはシンプルかつ爽快。探索パートではスタンガンとレンチを駆使して進んでゆくのだが、敵を倒すことよりも謎解きがメインで発想力が問われる。アクション性はそれほど要求されないので操作が難しくて進めないことは無いハズ。

 ボス戦はなかなか歯ごたえがあり、相手の動きを観察して対処していく冷静さが求められる。この手のアクションはそこそこ経験がある自分だが、難易度スタンダードでも1回目でクリアできたボスは半数くらいだったと思う。ただ、難易度が高いというより攻略法を見つけるのが難しいだけのいわゆる「初見殺し」ではないかと感じる敵もいた。


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ゲームソフト | Iconoclasts | プレイステーション
 そしてなにより本作の素晴らしいポイントは、重厚なストーリーや世界観、キャラクターの作り込みだ。多数のキャラが登場し、過去の因縁が絡み合い、複雑なドラマが紡がれる。まるで長編小説1本を読んだ後のようなプレイ感だった。

 舞台は「ワン・コンサーン」という組織が支配する階級社会。「アイボリー」という燃料で動く機械を使って人々は生活しているが、それが枯渇し世界は滅びかけている。

 主人公の少女ロビン(謎のU字型ポニーテールが特徴)はメカニックとして機械を修理し人々を助けているが、ワン・コンサーンに属さず活動しているため組織のエージェントに狙われる身。そんな彼女が冒険の末に世界の秘密を解き明かし、そして世界を救う物語が描かれる。

 ジャンルとしてはディストピアSFで、話が進むほどダークな展開が増えてくる。敵も味方も傷つけ合い、死んでいく。それぞれのバックボーンが描かれているため一層心に刺さる。特に全編を通じて最大の敵としてとして立ちはだかるエージェント・ブラックの生き様は壮絶の一言。

 それでもロビンは愛するものを守るため戦い抜く。キュートでパワフルなスーパーヒーローである。

 そんな殺伐とした世界でも登場人物たちはユーモアを忘れない。ミナ・エルロ・ロイヤルといった仲間たちは人間味にあふれており、互いに軋轢を抱えながらもロビンを信じ続ける。

 なにより、顔の区別もつかないモブキャラである敵組織の兵士たちがやたらとポンコツで不真面目なのがおかしい。そんな彼らとゲーム内で戦うとその辺にいるモンスターよりずっと強かったりするのも面白いところ。

 個人的に少々違和感を感じた点としては、ロビンはドラゴンクエストなどと同じタイプの無口な主人公なのだが、何があろうと戦い続ける姿にターミネーター(1作目の方)的な不気味さを感じないではなかった。彼女がなぜここまで強いのかの理由づけも無いし。PVで筋トレしてるシーンはあるけど。

 あともうひとつ、セリフの日本語訳がいわゆる「翻訳調」で読みにくい部分がいくつかあった。意味が通らないほどでは無かったけれども。翻訳を担当したパブリッシャーのホームページはやたら気合入ってるが、ストーリーが重要なゲームなのでそこはちゃんとして欲しい。

 ドット絵のおかげでわりとマイルドにはなっているがゴア表現もある(CERO B)ので、そういった表現が苦手な人も注意。


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ゲームソフト | Iconoclasts | プレイステーション
 本作のストーリーのテーマは「自由」である、と断言していいだろう。

 ロビンは人々を管理しようとする組織と戦うだけでなく、愛ゆえに彼女を縛ろうとする亡き父や兄の思いとも向き合うこととなる。

 もうひとりの主人公と言えるミナが暮らす海賊の社会は、男女の交わりと出産を神聖なものとみなす宗教を持つが、彼女はサンバというガールフレンドがいる同性愛者だ。ロビンの兄エルロは家族を失い復讐に囚われ、ロイヤルは自らの「母」と会うため組織を裏切る。

 人は社会という大きな共同体だけでなく、(現実に置き換えれば)会社や学校と言った小さな集団、そして家族のような小さな共同体に属する。そういった様々な種類の共同体は、個人に恩恵をもたらすと同時に、個人を縛る。道徳や法律や暴力、あるいは絆のような目に見えない形で。

 登場人物たちが自由を求めて戦う姿からは、製作者の思いが濃密かつ細やかに伝わってくる。そういった熱い作品を作れるのはインディーズゲームならではなのかもしれない。


 ポップな外見に反してヘビィなストーリー。軽快なアクションと重厚なシナリオは間違いなく名作と呼ぶにふさわしい一本。こういうのがあるからゲームはやめられねぇ、とオッサン口調でひとりごちたくなる。こんな名作をフリープレイで配信してくれるPSストアにも頭が上がらねぇ。

 ストーリーにはいくつか謎が残っており、その後が気になるキャラもいるので、ぜひ続編を作ってもらいたいところだが、引き伸ばしで薄味になりがちな海外ドラマなどの例を見ると完成度の高い一作として後世に残るほうがいいのかもしれない。どっちにせよあと7年くらいなら余裕で待てる。最後にもう一度言うけどエージェント・ブラックはホントにカッコいい。激推し。