rh日和(仮)

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Apple ARCADEのRPG「FANTASIAN」をプレイ

FANTASIAN

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 Apple ARCADEで配信中のRPG「FANTASIAN」をプレイしている。iPadを買った先月からちょくちょくプレイしてるんだけど、どんなことを書くべきか迷っていた。

 「ファイナルファンタジー」の生みの親である坂口博信がプロデューサー、音楽を植松伸夫が努めている。伝説の布陣の再来だ。

 インタビューによると「ファイナルファンタジー6」を強く意識して作られた作品とのことで、ストーリーやキャラクターは全くの別物だが、ゲーム体験としてかなり似た部分がある。そのへんは実際にプレイして確かめてもらいたい。

 ことさらに取り上げるほど斬新なシステムが搭載されているわけではないが、RPGとしてのゲームバランスは手堅くまとまっていて、程よい難易度の戦闘を楽しめる。

 ジオラマを取り込んだ背景はかなり新鮮で本作ならではの強みと言える。この時代にあえて手作りでマップを作るという発想がスゴい。新しいのにノスタルジーを感じさせるあたりがクラシカルなRPGと実にマッチしている。

 3Dキャラクターであるにも関わらず、セリフ量がドット絵時代レベルの少なさなので結構な違和感がある。今どきボイスが無いのも逆に珍しい。

 しかし少ないセリフの中に「引き算の美学」や「侘びの境地」とでも呼びたくなるような風情が確かに感じられる。ベテランクリエイターならではといったところ。

 なにより音楽が良い。FFっぽさはそれほどでもないのでそれを期待している人向けとは言えないが、どの曲もこぢんまりとした雰囲気に合った温かみがある。

 イベントシーンは3Dキャラクターによるアニメーションとサウンドノベル風のものの2種類があるのだが、後者の出来が思いの外よく、最初は「なんでサウンドノベル?」と思っていたが美麗なイラストも相まって気がつけばすっかり引き込まれていた。



 不満点としてはまず移動がiPadだと非常にやりにくい。実際に行きたい場所をタッチするシステムなので大画面に全く向いていない。戦闘は操作が左右に分割されて多少はやりやすいんだけど。

 基本はiOS用のコントローラーでプレイしているが、こちらはマップのカメラ視点が切り替わるたびにスティック移動の方向がおかしくなる。プレステ時代のRPGのような現象。そんなところを昔懐かしい感じにして欲しくはなかった。

 ゲームのテンポがやや悪い。移動速度が微妙に遅く、戦闘も倍速機能が欲しい。

 ボス戦は戦闘は後半になるにつれて、特定の装備やスキル構成で対策をすると難易度が大きく下がる、という形になっていく。なので一回戦って対策を調べてからロードし直して再戦するのがセオリーとなる。しかし令和のRPGでそれをやるのが楽しいと言える自信はあまりない。ボスの弱点等をあらかじめ教えておいてほしいが、ゲームテンポを考えるとそれも難しいところではある。



 某漫画で「FFは3とか4とかそれくらいのファンタジーがちょうどよかった」みたいなネタがあったが、そういう人に是非プレイしてもらいたい作品。いずれボイス入りの完全版などが別ハードで出そうな予感はあるが、Appleとの契約がどうなっているかわからないので早いうちに遊んでおくに越したことはないだろう。