人気漫画「鬼滅の刃」を原作としたアクションゲーム『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』が先日発売された。
そのPvP対戦において「村田」というキャラクターが最強であるという説が挙がっている。YouTubeでバズった動画が主な情報源だろう。今現在であればYouTubeを「村田」で検索するだけで複数動画が出てくる。
しかし、オンライン対戦のランキング上位のプレイヤーによると村田は最強どころか最弱と言える評価を受けている。
【どぐら&KOGの格ゲーパワハラ会議】にて、
— AMTRS|小路KOG (@kkkog) 2021年10月28日
かずのこさん(@kazunoko0215)とKOGが作成した『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』のキャラランクを公開しました。
炭治郎と煉獄さんが最上位な理由も語ってもらっています。
配信アーカイブはこちら
(キャラランクは2時間45分辺り)https://t.co/Jn83UJJdjB pic.twitter.com/a4emxXfPRB
このランクをつけた二人のプレイヤーはいずれも格闘ゲームのプロプレイヤーで、かつ一人はキャラランク作成時点で本作のオンラインランキングトップ10付近に入っており、実際の対戦の様子もYouTubeで配信していたが、ランクトップ層同士の対戦において村田が使用されることはほぼ皆無だった。もうひとりの格闘ゲームプロとの間でも「フロントの竈門炭治郎とアシストの竈門禰豆子を組み合わせた戦法が最強」という意見でほぼ一致している。
なぜこのような評価の差が生まれてしまうのか、について考えたいところなんだけど、その前に断っておかなきゃいけないのは、コレを書いている僕自身が『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』を全くプレイしたことがないということ。
なのでこの記事はあくまで「なぜ多くのプレイヤーとオンライン対戦上位プレイヤーとの間でキャラ評価に差が生まれたか」について考えたいだけで、実際にどのキャラクターが強いのかについては問いません。というかどのキャラが強いのか、僕にはまったくわかりません。そんな自分がなぜこんなことを書くのかというと、書かなければ何が起こったのかが忘れ去られてしまうかもしれないから。
なぜ「村田最強」が喧伝されるに至ったか。理由はわりと明白で、参戦キャラの中で劇中の設定的に最弱とされる村田がゲーム内で最強だったら話題として面白いからだろう。
実在する競技としての格闘技においては身長・体重が多いほうが絶対的に有利で、だからこそ階級制度があるわけだけれど、多くの対戦アクションゲームにおいては大型のキャラは動きが鈍重でむしろ弱く設定されている事が多い。小さいキャラや女性キャラが現実で強いはずの大きいキャラを倒したほうが意外性があって楽しいからだろう。
だからYouTubeの動画がバズり、「鬼滅の刃のゲームって、村田が最強らしいよ」という口コミが広がる。話のネタとしてその方が面白いから。
もう一つの理由は普通にゲームを楽しむプレイヤーと勝ちにこだわるプレイヤーとの間ではキャラクターの強さの評価に差が生じがちなこと。
オンライン対戦でトップ層になるほどのプレイヤーはただ長時間ゲームをプレイしているだけでなく、勝つためにあらゆる可能性を考慮して最も効率のいいプレイを目指している。なのでごくフツーにゲームを楽しんでいるプレイヤーとの間でキャラ評価に差が出るのはむしろ自然なことだ。
以前自分は軽い気持ちで3DSのスマブラに手を出し、数多のガノンドロフ使いにボッコボコにされまくったが、トッププレイヤー層による評価だと3DS/Wii Uのガノンドロフの評価は最弱に近いらしい。しかしそんなことはスマブラ始めたての自分には全然関係のない話だった。
そう考えると多くのプレイヤーにとってアシストゲージを回復してアシストをたくさん呼ぶという村田の戦法が強いのであれば、事実として村田は最強なのかもしれない。例えばゲーム攻略サイトに設置されているユーザーによる「最強キャラ投票」などでは村田のランキングは上位に位置している。多数決が常に正しいとは限らないがそれもひとつの物の見方ではある。