rh日和(仮)

モノ、ゲーム、PCなどについてのブログ。

格闘ゲームには「精神的なチュートリアル」が必要なんじゃないか

【PS5】ストリートファイター6

 なんだろう。風。吹いている。確実に。格闘ゲーム流行の風が。

 という古のコピペから記事を始めてしまう古の私。わからない人はお父さんに聞いてみよう。この言い回しも古いなぁ。

 格闘ゲームが流行りそうな気がする。『ストリートファイター6』の発売によって。

 というのはほぼ間違いなく自分の観測範囲からそう見えているだけなんだろうけれども。例え自分の見る範囲だけでも流行るとしたら喜ぶべきこと。「大流行り」はしないとしても「中流行り」くらいはしそう。ちゅうはやり。

 古の格闘ゲーマーがいつも考えているのは「どうすれば初心者が挫折せずに続けられるか?」である。未来を憂うのがいにしえピーポーの定め。

 最近の格闘ゲームは初心者向けのチュートリアルも充実している。しかし上達するための心構え、すなわち「精神的なチュートリアル」も必要なんじゃないか、とふと思った。ますます発想がいにしえ掛かっている。



 対戦ゲームは一人用のゲームとは設計が違う。

 一人用のゲームは正しい操作をすれば「成功」できるように作られている。成功とはステージクリアやアイテムの取得、ゲーム全体のクリアなど。

 しかし対戦ゲームは正しい操作をしても失敗することがある。

 というかそもそも「正しい操作」が存在しない。なぜなら入力すれば勝利できる操作方法が存在したら対戦が成立しないから。

 言い換えれば、「正確な入力」は存在するが、「正しい戦術」は存在しない。コンピューターゲーム以外のあらゆる対戦ゲームやスポーツがそうであるように。

 ものすごく大雑把に言えば、あらゆる操作に長所と短所があり、いかに長所を押し付けるかが対戦ゲームのセオリー。


 そして対戦ゲームは知識が重要。相手の行動への対処を知っているか知らないかで大きな勝敗差がつく。

 格闘ゲームは特にその要素が特に強い。相手の行動ひとつに対応できないだけで敗北しうる。


 これらのことをわからずに対戦すると何が起こるか。

 「何をやっても正解できないし、そもそも正解がわからない。相手はよくわからない行動をしてきてその対処方法もわからない」という認識になる。

 はっきり言ってそんなゲームはクソゲー。さっさと辞める方が真っ当な考え方。

 格闘ゲームはこの理不尽に、1人で立ち向かわなければいけない。知り合いとの対戦であれば正しい操作を教えてもらえる可能性はあるが、オンライン対戦では自分で気づかなければいけない。そりゃ廃れるって。



 できないことをできるようにする。わからないことをわかるようにする。それが格闘ゲームの対戦であり攻略。

 ただ対戦するだけじゃ上手くならない。他の対戦ゲームと同じように。

 もちろんただ対戦するのを楽しんでもいい。というか全てはそこから始まる。

 ただ「オンライン対戦やったけど勝てなくてやめた」という悲しい事故を減らすには、そういうことを精神的なチュートリアルで教えた方がいいんじゃないか。

 ストリートファイター6の一人用モードにそういう要素があればいいなと思う。

『ファイティングコマンダー』に十字キーカバーを瞬間接着剤で接着した話

 格闘ゲーム用コントローラー『ファイティングコマンダー』に十字キーカバーを瞬間接着剤で接着した。使ったカバーは『アンサー』のもの。↓参照。

rhbiyori.hatenadiary.jp

 主に斜め入力をやりやすくするために装着した十字キーカバー。これまで厚手の両面テープで貼り付けていたのだけれど、使っているうちにだんだん粘着力が落ち、くっつきが甘くなっていく問題があった。末期には肝心の斜め入力がやりにくくなるという本末転倒な事態に。しゃがみガードをミスってしまうのでわりと致命的。

 じゃあ接着剤でくっつけてしまえばいいのでは? どうせカバー外さないし。

 ということに気づいたのが昨日。このコントローラーで5年以上格ゲーをプレイし2代目使用中の今になって気づくのはあまりに遅すぎる。ガイルのしゃがみ歩きより遅い。

 完全にカバー有りの操作に慣れきっているので、接着するデメリットはほぼ無いはず。ネジを外して分解清掃することもあるがカバーを接着しても分解に問題ないことは知っているし。せいぜい他のコントローラーにカバーを移植できないことと、十字キーとカバーのスキマを掃除できなくなるくらいしかデメリットがない。



 というわけで百円ショップの使い切りタイプの瞬間接着剤(ゼリー状)を買い、現在使っている両面テープを剥がし、キレイに拭き取ったあとで接着。

 十字キーカバーの裏面はデュアルショック4の形状に合わせて凸凹しているのでファイティングコマンダーにフィットするかどうか不安だったが、上下左右および中央の5点に接着剤を乗せて押し付けることで、一時間後にはガッチリ固定された。さすが瞬間接着剤。


 肝心の操作性だが、両面テープのクッション性が無くなったためかなりタイトな入力感になった。想定通り。

 今まで無意識にクッション性を前提として操作していたためか、使い始めはしゃがみガードが出にくいなどの違和感があったが、しばらく『ストリートファイターV』のランクマッチをしていたらすぐに慣れた。カバーが外れる不安無しにプレイできるのがとても快適になった。


 なおファイティングコマンダーの最新機種はPS5にも対応している『OCTA』。こちらは十字キーが円盤型になっているので十字キーカバーを取り付ける必要がそもそも無いはず。自分は持っておらず家電量販店でカチャカチャ操作したことしかないが、かなり動かしやすそうだった。次買うならコレを選ぶ。っていうか旧型は遠からず廃盤になるだろう。

 もし『ストリートファイター6』をやるならパッドではなくキーボードでやってみたいなぁ、などと思っている。そのためにはゲーミングパソコンが必要。せめてPS5版がキーボードに対応してくれたら視野に入るんだけど、多分無いだろうなぁ。

なぜ格闘ゲームにおいて「フレーム」が重要なのか 有利不利、確定反撃などについて解説

【PS5】ストリートファイター6

 とある動画を見ていたら、なぜ格闘ゲームにおいて「フレーム」が重要なのかについて一度アウトプットしておきたくなったのでしておく。

 なるべく初歩的なことだけに絞ってまとめた。一応、書きたいことは大体全部書けたが、より読みやすくする努力が必要だなぁ、と思う一方、「多分動画とかでもっとわかりやすくまとめてる人がいるんじゃね?」と想像するとその努力が辛く苦しいので、そのまま載せることにする。前も同じようなことを書いた気がするがそういうのも気にしない方向で。

フレームとは時間の単位

 フレームという言葉自体はただの時間の単位であり、それ以上でも以下でもない。なので何も身構えなくていい。

 ほとんどすべての格闘ゲームは毎秒60回の情報処理および映像切り替え*1をしている。

 これを秒間60フレームと呼ぶ。

  • 60フレーム=60/60秒=1秒
  • 6フレーム=6/60秒=0.1秒
  • 1フレーム=1/60秒=約0.016秒。

 とても簡単な計算。

 1フレームを略して「1フレ」と言ったり、あるいは「1F」と表記する。

 格闘ゲームは1秒間に60枚の紙芝居やパラパラマンガのように動いていると考えていい。あるいは動画編集などをしたことがある人はすぐに理解できるだろう。

 ある1フレームにおける状態は、前の1フレームにおけるお互いのキャラクターの状態と、プレイヤーの入力によって決定される。

 たとえばお互いのキャラが離れた状態でプレイヤー1がパンチボタンを押すと、キャラクター1が次のフレームからパンチの動作に入る。

 しかし必ずしもコントローラーのボタンを押した瞬間に攻撃が出るわけではない。

 キャラクターそれぞれの技には「ボタンを押してから攻撃が出るまでの時間」が決まっている。

 「ボタンを押してから攻撃が出るまでの時間」のことを「発生フレーム」とか、単に「発生」と呼ぶ

 例。ストVのリュウの立ち中パンチは発生5フレーム。紙芝居で言えば、ボタンを押してから紙5枚目で攻撃が相手に当たるイメージ。

 同じように「ボタンを押してから技が終わるまでの時間」を「全体フレーム」と呼ぶなど他の用語があるが今回は割愛。


 フレームを言葉で説明するのはかなり難しいので、もうここまででチンプンカンプンになっている人もいるだろう。なので早くも1回要点をまとめておく。

  • フレームは時間の単位
  • 格闘ゲームは1秒間に60回動いている。なので60フレーム。1フレームは1/60秒=およそ0.016秒
  • キャラクターの全ての技は、ボタンを押してから技が出るまでの時間が設定されている。これを「発生フレーム」と呼ぶ
  • 例えばリュウの立ち中パンチは、ボタンを押してから5フレーム後に技が出るので、発生5フレーム。

格闘ゲームでは「有利フレーム」「不利フレーム」がものすごく重要

 で、なぜ格闘ゲームでフレームが重要なのか? というと、それは主にキャラクターが行う行動の「有利フレーム」「不利フレーム」がものすごく大事なゲームだから。結構長くなるがそのことを説明していく。

 攻撃をガードしたキャラクターは一定時間動けなくなる。この状態を「ガード硬直」と呼ぶ。

 同様に、攻撃がガードされずにヒットしたときもやはりキャラクターは一定時間動けなくなる。この状態を「ヒット硬直」と呼ぶ。ちなみにほとんどの場合ガード硬直よりもヒット硬直のほうが数フレーム長い。

 なおヒット硬直は他にも「やられ硬直」とか「のけぞり」など、いろいろな呼び方があって若干統一されていないが、この記事ではヒット硬直と呼ぶ


 そして全ての技にはパラメータとして「ガード硬直」と「ヒット硬直」が設定されている。特別な場合を除き硬直が長くなったり短くなったりすることはなく、常に一定。

 例。リュウの立ち中キックのパラメータは、

  • ガード硬直=-2フレーム
  • ヒット硬直=+2フレーム

 となっている。数値がプラスだとガードおよびヒットさせた方が先に動ける。逆にマイナスの場合はガードおよびヒットさせた方が後に動ける。

 トレーニングモードのフレーム表示をしたときに出る数字は、ガード硬直またはヒット硬直のフレームを表している。

 なおストリートファイターVの具体的なフレームの数値は全て「SFVノート」などのWebサイトにまとめられており、今回もそちらを参照している。数値が間違っていたら自分の転記ミスです。

 硬直がプラスの状態を「有利フレーム」あるいは単に「有利」「有利フレ」と呼ぶ。

 逆にマイナスの場合「不利フレーム」あるいは「不利」「不利フレ」と言う。

 具体的な使い方として、
 -リュウの立ち中パンチはガードさせて2フレーム有利
 -リュウのしゃがみ強パンチはヒットしても7フレーム不利
 などという。

 この有利、不利という用語は、おそらく格闘ゲームが存在する限り未来永劫使われるハズなので、ぜひ頭に叩き込んでおきたい。


 自分のキャラが1フレームでも有利な状態で、自分のキャラと相手のキャラが同じ発生フレームの技を出すと、100%有利な方、つまり自分が勝つ。

 例えばお互いのキャラがリュウで

  • 自分のリュウが相手に立ち中パンチ(ガードされて2F有利)をガードされる
  • すぐに自分のリュウと相手のリュウがお互いに立ち中パンチを出す

 という流れがあったとすると、必ず先に自分のリュウの立ち中パンチが相手にヒットする。

 要するに早く動けるほうが出した技が先に当たる、というだけの話で、ものすごく当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれない。

 しかし他のジャンルのゲーム、例えばスマブラの場合、ガードさせられた側がガード硬直中にジャンプしたり、さらにそこから別の技を出したりできるなど、行動の選択肢がかなり多い。なので細かいフレームが「紛れる」ことが多い。

 一方格闘ゲームは、ガード中のキャラクターはごく一部の行動を除くと完全に動けなくなってしまう。

 なので、今自分のキャラが有利フレームなのか不利フレームなのかが勝敗を大きくするのだ。基本的に上手いプレイヤーは、なにか技をガードするたびに「今は有利か不利か」を常に判断している。そうしないと、自分が不利なのに技を振ってしまって相手の技を喰らうから。逆に、不利なのにあえて技を振ったりすることもある。それがいわゆる「読み合い」。

有利不利を知れば「確定反撃」が当てられる

 もうひとつ、非常に重要な概念として「確定反撃」がある。

 例。リュウのしゃがみ強キックはガードされて-11Fも不利。めっちゃ不利。「大幅不利」などと呼んだりする。

 なので近距離でしゃがみ強キックをガードされると、その後に相手が最速で出した攻撃を確実に食らってしまい反撃される。

 これを「反撃が確定している」とか、「確定反撃を当てる」などという。

 ガード硬直やヒット硬直のフレームを知ることで、確定反撃を当てて確実にダメージを奪うことができる。ゆえにフレームの理解が強さに繋がる。

フレームを知れば自分でコンボを作れる

 コンボを決めるためにもフレームは非常に重要。

 技をヒットさせられて動けないとき、つまりヒット硬直中はガードが不可能。なのでヒット硬直中に次の攻撃を喰らうと、それも必ず連続してヒットする。それが「コンボ」。

 例えばリュウの立ち中パンチはヒット硬直が6フレームなので次に出す発生6フレーム以内の技は連続ヒットしコンボになる。だから「立ち中パンチ→立ち弱キック」などが連続ヒットしコンボになる。

 なお、発生が10F以上の竜巻旋風脚を立ち中パンチの後に連続ヒットさせることができるのは「キャンセル」というテクニックを使っているからなのだがその説明は省く。

 ヒット硬直のフレームを理解すれば、自分で次に当てる技を考えることが可能になり、トライアルモードにある以外のコンボを決めることもできるようになる。



 以上のことをまとめると、フレームを知ることで、自分が有利なのか不利なのかを知ったり、確定反撃を当てたり、自分でコンボを考えることができるようになる。

 他にも「ガード硬直フレームを利用して投げを最速で当てる」「無敵技の発生フレーム前にジャンプ攻撃を当てることで安全に起き攻めできる」などのテクニックが、フレームを知ることでより深く理解できるようになるのだけれど、それらはかなりの応用編なので追々理解していけばいい。

 実際のところ、上位のプレイヤーでさえ細かいフレームの数値を全て頭に叩き込んでいるわけではなく、「この技は有利or不利か」「この技をガードしたらどの技で反撃が確定するか」「この技をヒットさせたら次にどんな技が連続ヒットしコンボになるか」といった情報のうち、より優先度の高いものを、知識として自分および相手キャラクターごとに覚えている。 

 そしてその情報を確かめるためにフレームの数値を利用している、といった感じ。だから「格闘ゲームはフレームを覚えなきゃいけないから大変」などと気負う必要は全くない。知りたい情報を一つずつ覚えていけばいい。

*1:ここ数年で、PC版の格闘ゲームは60フレーム以上の映像出力に対応したタイトルが増えている。しかしキャラクターの動作を決める情報処理は依然として60フレームのものがほとんど。

スト6ベータの配信を見ていたらドライブゲージシステムがすごく面白そう

 『ストリートファイター6』のβテスト(と、オーバーウォッチ2)の配信を見すぎてスーパー配信中毒状態。

 配信を見ている限りだと、スト6新システムの「ドライブゲージ」システムがすごく面白そう。


www.youtube.com

攻撃や防御で個性を出せるドライブゲージ

 ドライブゲージを消費して攻撃や防御、コンボなど様々な行動ができる。相手の攻撃を受け止めつつ前進して攻撃する「ドライブインパクト」。発動中は相手の攻撃を自動でガードしドライブゲージを回復できる「ドライブパリィ」。従来のEX技に相当する強化された必殺技「オーバードライブ」など。

 特に斬新のはドライブゲージが試合開始からマックスであるという点。従来の格闘ゲームは、戦って溜まる特殊なゲージを消費して技を発動する、というものが多かったが、スト6は試合開始直後からドライブシステムをフルに使用できる。

 同じゲージを攻撃にも防御にも使えるということはプレイヤーそれぞれがゲージの使い方で個性を出せるということでもある。

 前作『ストリートファイターV』にも「Vシステム」という類似のシステムがあるが、スト6のドライブゲージは試合中に使える回数がかなり多いため、より個性を出しやすくなっているように見受けられる。

従来のシステムの問題点を解消

 またストVのVシステムはやりこみが極まってくるほど「いかに強力なVトリガーを相手に当てるか」が試合を大きく左右してしまうため、やや同じような展開になりがちという意見が主に上位プレイヤー達から多く聞かれた。

 ストVの「Vシステム」、さらにスト4の「ウルトラコンボ」などは、明らかに逆転要素として用意されたシステムだった。逆転システムは実力で落ちる側でも勝ちを拾いやすくなるメリットがあるものの、「たまたま強い技を1発当てて勝つ」という展開はゲームに慣れてくるほど理不尽さを感じやすいというデメリットもあった。

 それに対しドライブゲージシステムは最初からマックス。負けているのにゲージが溜まって逆に有利になる、というような理不尽さが無い。

 「個性の出しにくさ」「試合の単調さ」「露骨な逆転要素の理不尽さ」といった従来のシステムの問題点をドライブゲージシステムは解消している、ように見える。少なくともベータ版の配信を見る限りでは。

新たな駆け引きとやりこみ要素

 ドライブゲージは攻撃を当てたりガードさせると増え、逆にそれらを受けると減る。ゲージが0になると一定時間「バーンアウト」という弱体化状態になりドライブシステムも使えなくなってしまうため、ピンチに陥ってしまう。いかにドライブゲージを減らさず相手から奪うかという駆け引きが生じる。

 バーンアウト状態が終了するとゲージが全回復するのだが、これがスト6の逆転要素として機能している。ただ溜まったゲージを使うだけの逆転要素とは違い、「ピンチをなんとか耐え凌しのぐことで逆にチャンスが生まれる」という流れになるため納得性も高い。

 他にも、ドライブインパクトひとつとっても、相手の発動を見てからやりかえす上達要素だとか、お互いが打ち合った時の演出がド派手でわかりやすいだとか、いい点が多く見つかる。

 あくまで動画を見ているだけの意見だけれど、もうストVからスト6に移行してもいいんじゃないかとすら思う。それだけシステムの練り込みを感じる。実に発売が待ち遠しい。

基本無料の格闘ゲームの可能性、および格闘ゲームがコミュニティに受け入れられる条件などについての随想

 基本無料の格闘ゲームはヒットするだろうか? ということ始めてからダラダラといろんなことを考えてしまったのでここに置いておく。



 現在開発中のLOLの格闘ゲームが基本無料だ。それがヒットすれば後追いするところも出てくるかもしれない。

 ただ後追いが出るとしても日本ではなくアジア圏のメーカーになるだろう。ゲームに力を入れている中東あたりから来る可能性もあるのだろうか。

 そうなった場合、格闘ゲームの基本無料化どうこう以前に、それらが既存の格闘ゲーム的な文脈をどれほど継承したものになるかが気になる

 今自分が漠然と「格闘ゲーム」と言っている時に、それが含んでいるのは、「ストリートファイター2を起源とした、アーケードシーンを経由した格闘ゲーム」を意味している。

 自分はゲーセン勢ではなかったし、ストリートファイターシリーズこそ至高だと考えているわけでもない。

 それでも自分が格闘ゲームのことを思う場合、それはスト2ライクのことであるし、ゲーセン文化やEVOといった大会文化と無縁ではない。

 例えばLOLの格ゲーが大人気になったとして、おそらくPC版がメインハードとなるそれを自分はどこまで格ゲーと認識できるのか。

 あるいは全く別の新規メーカーがLOL格ゲーライクな格ゲーを作ってそれが人気になったら?



 という仮定は実際のところあまり意味のないものなのかもしれない。

 なぜなら自分にとっての格闘ゲームは、「既存の格闘ゲームコミュニティに受け入れられているもの」のことだから。

 それがどれほど格闘ゲームの歴史と伝統に忠実なゲームだったとしても、既存の格ゲーコミュニティで対戦が起こっていなければ、格闘ゲームとして受け入れられない。

 それはある種の保守性かもしれないし、そのような構造がストシリーズを長らく「覇権ゲーム」たらしめていた側面はある。

 とはいえそれが、対戦相手が存在しないと成り立たない、対戦ゲームである以上、仕方ないことでもある。すなわち、流行ったゲームが良いゲーム、という傾向が1人用ゲームよりもずっと強い。



 どのような格闘ゲームが既存コミュニティに受け入れられやすいか。

 まず「初動でコケない」ことが大事。最初のバージョンの出来が悪かったり、大きなバグがあると、悪評が定着して人が減ってしまい、その後いくらアップデートなどで改善されても人が戻ってこない。

 既存のゲームに似た要素があるほうがプレイヤーは受け入れやすい。自分の観測範囲だとスト系、KOF系、アーク系、マブカプ系、メルブラなどなどの派閥がゆるく存在し、相互に行き来しながら、続編や、既存タイトルに似た要素を持つ新作へ移り渡っている印象。時に異なる派閥のプレイヤー群が同じゲームに集まり、より大きな盛り上がりになることもある。

 逆に言えば、既存の格闘ゲームとの差異が大きすぎると既存プレイヤーはなかなか移住してこないか、しても定着しにくい。新しいからこそ全く別の勢力がそこから現れることもあるのが面白いところではあるが。

 初動の失敗をある程度ブランド力でカバーできることもある。ストVの初期はお世辞にもいい出来とは言えず、あれが新規タイトルだったら結構マズかったと思われるが、プロシーンが引っ張ったおかげもあって持ち直した。

 一方ストリートファイタークロス鉄拳は、大きなネームバリューがあったにも関わらず、初期の問題点のせいもあってメインストリームにはなれなかった。おそらくスト勢にとってはストⅣという「戻る場所」があったこと、2D格ゲーだったこともあって鉄拳勢があまり呼び込めなかったことが要因だろう。




 だいぶ話が逸れたが基本無料の話に戻ろう。

 格闘ゲームが今流行りの基本無料対戦ゲームのように、スキン課金で成り立つゲームとしてリリースされるビジョンはちょっと見えない。

 ただそれも既存の仕組みに慣れすぎた先入観のせいかもしれない。もしかしたら若者がメカ豪鬼スキンとかを引くためにガチャを回す時代が来ないとも言い切れない。果たしてそれが望ましいことなのかは別として。

 おそらくもうすぐ出るストリートファイター6も、さすがに基本無料にはならないと思われる。でも特に根拠はない。おそらくまだ価格は発表されていなかったハズ。淡い期待を持ちながら発表を待ちたい。

格闘ゲームの遅延問題がある程度解決するかもしれない話 GGSTのPS5版とPC版(60fps)の遅延差がほぼ同じに

www.guiltygear.com

 PS5版『ギルティギア ストライヴ』がアップデートによって入力遅延の軽減がなされた。有志の方が入力遅延を検証した結果が以下のツイート(問題があれば消します)。

 PS5版(4K60Hz)の遅延が2.75フレーム、Steam版(1080p60Hz)の遅延が2.50フレームと、ほぼ同じ値になったようだ(いずれも最頻値)。

 Steam版を120Hzや240Hzに設定すればさらに1フレームほど遅延が減るようだが、そこまで高フレームレートの環境を用意するにはPC、モニター共に費用がかかる。

 つまりそこそこのスペックのPCを用意するよりPS5を買ったほうが高いコスパで快適にギルティギアをプレイできるようになったと言っていいだろう。



 近年、格闘ゲームにおいて家庭用ハードの入力遅延が問題になってきた。特に『ストリートファイターV』などのタイトルは、ハイスペックPCでプレイすることにより最大で3~4フレーム遅延を少なくすることできたため、「高価なパソコンを持っていない人は不利になる」という不公平が存在していた。

 しかし今後発売される格闘ゲームがギルティギアと同等に遅延差を最大でも1フレーム程度に抑えられるのだとしたら、不公平感はかなり少なくなる。

 大会を志向するようなトッププレイヤーは引き続きハイスペックPCで対戦するかもしれない。しかしこの程度の遅延差であれば今後はPS5で大会が開かれるようになり、トッププレイヤーもPS5をメインにプレイするようになるかもしれない。

 そうなってくれれば遅延問題はほぼ解決と言えるが、現状最大にして唯一の問題点が、ご存知の通りPS5の流通量の少なさ。そこはソニーさんにがんばっていただくしかない。

 PS4版の不利が明確になってしまったことによってPS5を入手するまで対戦する気があまり起こらなくなってしまったという問題もある。そのためだけにPS4Proを買う気もしないし。そこはがんばって入手するしかないんだろう。

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『EVO 2022』をネット観戦 3年ぶりのオフライン開催

 世界最大規模の対戦格闘ゲーム大会『EVO 2022』がアメリカ・ラスベガスで開催された。オフラインでの開催は2019年以来3年ぶり。

 コロナ禍で制限されていた大規模なオフライン大会。いわばその復活の一番乗りとなる、格ゲー界の歴史的にも重要な大会となった。

 アメリカ西海岸の時間に合わせて起床する感覚を懐かしみながら、例年通りネットで観戦をした。ちなみに全然関係ないこぼれ話だが、同じ日に近くでレッド・ホット・チリ・ペッパーズのライブがあり道路が渋滞していたそうな。



 まず『グランブルーファンタジー』部門を観戦。2020年に発売し、ちょうどコロナ禍の直撃を受けたため今回が初のオフラインEVOの種目となった。

 ベスト8には日本国内の大会で活躍していた選手が揃い踏み。結果はgamera選手(日本)が優勝。立ち上がりにやや苦しんだが徐々に持ち前の安定感を取り戻し、誰よりも使い込んだジータでEVOグラブルVS部門で初の王者となった。

 ままならない状況の中で大会運営を続けコミュニティを守り続けた公式の努力を見てきたので、その意味でも感慨深い大会だった。



 次に『ドラゴンボールファイターズ』部門も少し観戦。日本の選手で唯一ベスト8に残ったフェンリっち選手が5位タイの結果。

 優勝はフランスのwawa選手。発売から5年経つタイトルで、様々な選手の入れ替わりがあった中、長らくトップクラスで活躍していたので、納得の結果だった。改めてヨーロッパでのドラゴンボール熱の高さを感じた。



 時間の都合で後からちょっとチェックしたが、『ストリートファイターV』部門では日本のカワノ選手が優勝。ホームの声援を受けながら圧倒的な攻めでウメハラ選手、ときど選手、ガチくんといった日本の強豪選手を下してったアメリカのiDom選手を、ギリギリまで追い込まれながら決勝で下した。


 決勝後、次回作『ストリートファイター6』の新キャラクター「キンバリー」と「ジュリ」が発表。やはりスト6は何度見ても画面がカッコよくて期待大。この時代に露骨なAKIRAのパロディをやるあたりも一周回ってストシリーズらしさを感じる。



 そして最後の『ギルティギア ストライヴ』部門もみっちり観戦。こちらも初のEVOオフライン種目採用。

 ベスト8の直前に新キャラ「ブリジット」が参戦発表。GGACPRから数えておよそ10年ぶりのプレイアブルキャラクター化。「男の娘」という言葉が一般になる直前にいわばその先駆けとしてブームになった(ピクシブ百科事典調べ)キャラが令和にまさかの復活。

 日本からの参戦が少なかったこともあり、ベスト8に残ったのは日本在住で韓国出身のDaru選手のみ。しかし世界中の選手が一同に介する大会がほぼ初めてだったこともあり見どころが多かった。

 ストライヴはオンライン対戦の快適性が高かったため、特にアメリカを中心にヒットした。今回のEVOでもエントリー人数が全タイトル中最多となり最終種目となった。

 ベスト8にはドラゴンボールファイターズやスマブラで結果を残してきたLeffen選手(スウェーデン)、長年GGシリーズの大会に参加し続けてきたHotashi選手(アメリカ)やPepperySplash選手(カナダ)など、様々なバックグラウンドを持つ選手が揃う顔ぶれとなった。

 決勝はハッピーケイオスを使うUmisyo選手(アメリカ)とメイを使うSlash選手(サウジアラビア)が激突。情報の交流が少ないがゆえに前評判の不明だったSlash選手は非常に高い反応速度と堅実な立ち回りを見せる中、高度な操作技術が要求されるハッピーケイオスを正確に使いこなしたUmisyo選手がウィナーズのまま優勝。GGSTから頭角を表したUmisyo選手はオーバーウォッチの元プロという噂もあるが真偽は不明。今後の活躍に注目したい。



 総じて今回の大会はコロナの影響で参加人数が絞られたこともあり、そのタイトルが流行っている地域の選手が優勝するケースが多かったように見受けられる。今後さらにオフライン大会が活発になれば強い国の選手同士のぶつかり合いももっともっと見られるようになるだろう。

 やっぱりゲームのオフライン大会を観戦するのは楽しい。セルのイントロに合わせた観客のシャウトも見られたし(感染対策的にOKなのかは不安だけれど)。2023年のEVO Japan開催も発表されたので、前年同様観戦に行こうかなと考えている。

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