「第1回 Crazy Raccoon Cup Street Fighter 6(CRカップ ストリートファイター6)」の参加選手が発表された。期待が高まりすぎて上手く言葉にできない。いつになく「熱語り」になっているのでご注意いただきたい。
格闘ゲームは自分にとって特別なものだった。
波の上下はありながらも、ずっとプレイし続けてきた。
そして同じようにずっと格闘ゲーマーをフォローしてきた。最初のプロ格闘ゲーマーが誕生する前から。
自分にとって格闘ゲームのトッププレイヤーは特殊な存在だった。
雲の上の偉人というほどではない、でも自分には決して届かない特別な力を持った人たち。それが自分の目に映り続けたトッププレイヤー達だった。
近くて遠い存在だからこそ、今まで上手く言葉にできなかったのかもしれない。
その方面の歴史に詳しいわけではないが、かつて格闘ゲームというジャンルは、おそらく日本における対戦ゲームの頂点だった。参加者でも、通算賞金額でも。
元々ハードコアなゲーム性により、プレイヤーを選ぶゲームではあった。
それでも『ストリートファイター4』を契機に大会を観戦する「動画勢」が生まれたことでなどもあり、人気は保たれた。
でもある時期から、FPSの後塵を拝するようになった。
おそらくバトルロイヤルゲームの流行が決定打とだったのだろう。
対戦ゲームをプレイしたい若者は、ボイスチャットしながらワイワイ遊べるFPSをやる。
誰も1対1で、実力だけが勝敗を決する、息苦しい格闘ゲームなんてやりたがらない。
そんな諦念が格ゲーファンの中に流れていた。
そんな流れを変える一撃を、すなわち『ストリートファイター6』を、カプコンは放った。
動画配信ブームを作ったストリートファイター4に勝るとも劣らないスタートダッシュを切ることに成功した。
ゲームクリエイターの方々の名誉のために言うと、初心者がプレイしやすいよう工夫が凝らされた格ゲータイトルはこれまでの数多く存在しており、それらはゲーム界全体に轟くほどではないにせよ、一定の成果を収めてきた。
スト6の成功は、それらのタイトルの成功や、あるいは失敗の礎の上に建っている。
なにより、スト6は「今までとはなにか違うかもしれない」という雰囲気を醸成し、実際にその期待にかなりの程度で応えてきた。
さらなるブームを作り出せるかどうかは、今後の戦略にかかっているだろう。
そんなスト6が、ゲーム配信というひとつの大きな界隈のいわば中心地と言えるCRカップの種目に選ばれたことに深い感慨を抱かずにはいられない。
戻ってきたか。真ん中に。格闘ゲームが。
果たしてスト6で生まれたこの勢いがどんな形を取るのか。まだ決まっていない。なにもかも。そんな未来への期待と不安を抱かせてくれている。初めてプロ格闘ゲーマーが誕生した時と同じくらいに。
そしてその最初のプロ格闘ゲーマーである「ウメハラ」が、あるいはそのウメハラと最後のスト4世界大会決勝を戦った「かずのこ」が、かずのこと、ある時はチームメイトとして、またある時は海外大会決勝で何度もぶつかった「どぐら」が、3D格ゲー界から渡ってきて名を上げ、長らくウメハラのチームメイトだった「ふ〜ど」が、現役選手としてCRカップに参加している。
アツくならないわけにはいかない。そして必ずアツい戦いを繰り広げてくれるだろう。