なぜならPCの方が「入力遅延」が少ないからです。
数年ぶりに『ストリートファイターV』をプレイしている。PC版は持っていないのでPS4で。
PCでプレイしたほうが有利なのは知識としては知っていたが、実際にプレイするほどPS4の辛さを感じる。
反撃が入れにくい。対空が出しにくい。なにより「今のはPC版だったら失敗しなかったかもしれない」と感じながらプレイするのが精神衛生上あまりよろしくない。本当にPS4のせいで上手くいかなかったのかは検証しようが無いが。
なぜPC版のほうが有利なのか? 単純にPCの方がマシンスペックが高いためフレームレートが安定するという要因もあるが、もっと重要な点がある。それはPC版の方が「入力遅延」が少ないこと。
ゲームのボタンやレバー(方向キー)の入力信号は、まずコントローラーからハードウェア(PC or PS4)に伝えられ、ハードウェア上で走るソフトウェア内で処理された後ディスプレイに表示される。
-コントローラー→ハードウェア(PC or PS4)→ソフトウェア(ストVなど)→ディスプレイ
ハードウェア上で信号を変換したり、ソフトウェア上で処理を実行したりするのには時間がかかる。これを「入力遅延」と呼ぶ。英語だと「input lag」。
入力遅延は格闘ゲーム的な言い方をすれば数フレーム以内の極めて短い時間だが、電気信号を利用しているあらゆるデバイスには入力遅延が存在する。ましてビデオゲームはそれなりの量の情報処理を行うので入力遅延と無縁ではない。
そしてその入力遅延はPS4よりPCの方が少ないとされる。これは主に海外の検証者によって報告されてきた。なので具体的にどこの誰が言っていたかは正直言ってよく知らない。だが今のところ反証が出てきていないのでおそらく事実なのだろう。
具体的にPS4の入力遅延はPCと比べて「3~4フレーム前後多い」とされている。20分の1秒、と言うととても短く感じるが格ゲーマーなら3フレームの重要さを身に染みてわかっているだろう。わかりやすい場面で言えば、これまで中攻撃で差し替えししていたのが大攻撃差し替えし可能になる。
さらに厄介な話として、最新ハードであるにも関わらずPS5はPS4より入力遅延が大きいという報告が上がっている。同じタイトルでもPS5上でPS4バージョンのソフトを起動することでPS4上でプレイするのと同じ水準まで遅延を減らせるらしい。現状PSハードで最も遅延が少ないのはPS4 Proであるとのこと。以上をまとめると、
-(遅延が少ない)PC<PS4Pro<PS4=PS5(PS4版ソフト)<PS5(遅延が多い)
となる。最近、PS5の入力遅延を減らすためにゲーム開発者が動いているというニュースが流れたが、遅延の原因がハード側、つまりPS5側にある場合はソフト側の工夫ではどうにもならないのではないかと素人ながら考えてしまう。果たしてどうなるだろう。
もうひとつの要因として「PC版で高フレームレート対応のディスプレイを使うと遅延が軽減される」という報告もある。
これに関しては検証しにくく原理も不明な部分が多い(遅延が減るとしても1フレーム未満なハズ)だが、体感で明らかに遅延が減るという声が多数あり、実際にプロゲーマーも高フレームレートのディスプレイを使用している人がほとんど。
身も蓋もない言い方をすれば、今の格闘ゲームのオンライン対戦は「ハードにお金をかけられる人ほど有利」な状況になってしまっている。高フレームレートでゲームが動くPCとディスプレイを揃えると20万円はゆうにかかるので。
格闘ゲームの普及という観点から見れば明らかにマイナスだが、そうなってしまっているものはそういうものだと受け入れるしか無い。他のスポーツや趣味と比べれば、べらぼうにお金がかかるというほどでもないし、PCは他の用途にも使えるのでまだマシかもしれない。
いずれにせよゲーセンで100円入れれば誰でも平等に戦える時代は去ってしまったわけで、寂しくもある。って自分は言うほどゲーセン通った勢でも無いんだけど。