『League of Legends』『VALORANT』などのタイトルで知られるRiot Gamesが開発する基本無料の格闘ゲーム『Project L』。
EVO2023で操作方法やキャラクターなどの新情報が多数発表された。2キャラ同士で戦う2on2システムになるとのこと。
どうも自分が知る限り、過去の2on2格闘ゲームはメジャーになりきれなかったイメージがある。古い作品についてはわからないが。
3on3では『Ultimate Marvel VS. Capcom』や『ドラゴンボールファイターズ』など一定の成功を収めたタイトルがあるが、2on2では良くて「好きな人は好き」というレベルに留まっている印象。
ここで言う2on2は、単に2キャラを操作するだけでなく、
- 2キャラが個別の体力バーを持つ
- アシスト攻撃やラウンド中の交代システムがある
といった要素を持つもの。『X-MEN VS. STREET FIGHTER』あたりがこのシステムの初出なのだろうか。
自分がリアルタイムで存在を認知したもっとも古いタイトルはおそらく『タツノコ VS.カプコン(2008年)』。プレイしたことは、ゲーセンで数回あるか無いか。
まずタツノコファンとストシリーズのファンが被っている印象があまり無い。海外では人気なのだろうか。
家庭用ソフトがWiiでリリースされたのも、マニアックな格闘ゲームとファミリー向けなWiiの方向性が合っていなかったのではないか。
しかし超巨大なゴールドライタンを対戦で使えたり、VS.シリーズには珍しい(もしかすると唯一の参戦かも)スト3のアレックスが出てきたりと、なかなか面白い要素はあった。
闘劇のタイトルにも一度選ばれている。大鷲の健がひたすら飛び道具を撃っていた記憶。
そして『ストリートファイター X 鉄拳(2012年)』。公式の略称は「ストクロ」。
つい先日も、EVO壇上で当時のプロデューサーがネタにするほどの、いわゆる黒歴史作品。
稼働直後に大量のバグが発見され、対戦バランスも不安定だったことが、失敗の最大の要因だろう。かなりの勢いでプレイヤーが離れていってしまった。
アップデート後はバグもなくなり、ちゃんと遊べるバランスになった、という噂をどこからともなく伝え聞くが、実際にそのバージョンをプレイした人はどれだけいるのだろうか。
カプコンはストクロを、当時主流だった『ストリートファイター4』の後継作品にしたがっていたようだが、ゲーム性が大きく異なる2on2の格闘ゲームを実質続編にしようとすること自体に無理があったのかもしれない。
ストクロの失敗により急遽スト4のアップデート版である『ウルトラ~4』が作られることになった、と言われている。
そう考えると、正式続編の『ストリートファイターV』がクオリティに問題のある状態でリリースされてしまったのも、ストクロのしわ寄せで開発期間が限られてしまったせいかもしれない。まさに負の遺産。
まぁプラスに考えれば、スト6が開発期間を非常に長く取った結果、大成功作品になったのは、ストクロという反面教師があったからかもしれない。
いずれ「しくじり先生」あたりに出て内情を洗いざらい話してもらいたいものである。
『マーベル VS. カプコン:インフィニット(2017年)』。MVCシリーズの最新作としてリリースされた。
しかし映画の権利の影響かX-MENキャラが参戦しなかったこと、3on3から2on2になりシステムが大幅に変わったこと、ジェムシステムが尖りすぎていたことなどにより、あまり成功したとは言えない作品。ストクロと似たような事情を感じさせる。
初年度すらEVOのメインタイトルに選ばれず、その後も一度も採用されていない。一方前作であるUMVC3は、2023年にもEVOメインタイトルに選ばれるほどの人気を保ち続けている。
自分も前作ファンだったので一応購入し、DLCのモンスターハンターを購入する程度にフォローしていたが、熱心に対戦するには至らなかった。
開発スタッフの「キャラクターはファンクション(機能)に過ぎない(ので出せないキャラは似たような性能の別キャラを出せばいい)」という開き直りとも取れる発言によって炎上してしまったこともあった。
『BLAZBLUE CROSS TAG BATTLE(2018年)』。『ブレイブルー』のキャラに加えて、『ペルソナ4U』『UNI』『アルカナハート』、さらに海外のCGアニメ作品『RWBY』のキャラが参戦するという、大型クロスオーバー作品。
攻撃ボタン2つというシンプルな操作体系や、攻めが非常に強力で自由度が高いシステムなど、ゲーム自体の評価はそれなりに高い印象。
ただシステムの独自性が非常に強く、画面も対戦内容もハチャメチャなため、マニア向けな格ゲーという印象はあった。
当時はブレイブルーシリーズがまだ継続中であり、ゲーム性の違いも大きかったため、プレイヤーの移行があまり進まなかったようである。
他にもプレイヤーがキャラ数を最大3キャラまで選択できる『スカルガールズ』などもあるが割愛。
なぜ2on2格ゲーは主流になれないのか。
まず既存のシリーズを2on2にしたタイプの作品の場合、既存のプレイヤーがゲーム性の変化についていく難しいのかもしれない。
またストクロ以降の2on2格ゲーは「アシスト攻撃を出した後、出てきたアシストキャラがそのまま操作キャラになる」といった独特のシステムが多く、観戦する側としても状況が把握しにくい感がある。
シンプルでわかりやすい格闘ゲームをやりたいなら1on1でいいし、人気キャラが複数登場するお祭り的作品であれば3on3で多くのキャラを動かしたい。そう考えると2on2はどっちつかずになりがちなのかもしれない。
あるいはProject Lは「面白いのにメジャーになりきれなかった2on2格ゲーへの新たな挑戦」なのかもしれない。はたして歴史を塗り替えるヒット作になれるのだろうか。