rh日和(仮)

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映画『ドライブ・マイ・カー』を観た感想 原作を継承しつつさらなる発展

ドライブ・マイ・カー インターナショナル版

 映画『ドライブ・マイ・カー』を観た。とても印象深い映画だった。心に強く残った。とてもいろんなものが心に浮かんでとてもまとめきれないので、簡潔に感想を書こうと思う。

 ただ原作通りに再現するのではなく、制作スタッフの意向や、役者の立ち振舞い、さらに演技をすることで映像として生まれた「なにか」を一本の映画に混ぜ合わせ、さらに発展、進展させようという意図が感じられ、それが成功していた。

 原作からの改変が多くあるが、おおむね上手く収まるべきところに収まっていた。映画としての見せ方を重視したのか、あるいはドキュメンタリー的を取るために手を加えたのかはわからないが、原作を読んでいたおかげで「ここはこうくるか」という楽しみ方ができた。

 原作は主に主人公である家福の傷を中心にストーリーが進んだが、映画では運転手みさきのそれにも焦点が当たっており、別種の深い感動を生んでいた。

 それから大変下世話な感想だけれど、もしタバコ関係のクレームが入らなければ、例の場所がアカデミー賞受賞作のロケ地になっていたかもしれないと考えると、ちょっと皮肉なものを感じた。

 女のいない男たち、という原作からのテーマ。そして演技によって生まれる「なにか」というテーマ。そういったことに興味がある人もない人も、一度見てみてほしい。