『FINAL FANTASY VII REMAKE』をクリア。元々はPSプラスエクストラで未プレイのFFシリーズをやるつもりだったのだけれど、フリープレイで貰ったFF7リメイクが途中で止まっていたので、先に片付けておくことにした。
クリアした感想だが、まずもって良く出来たゲームであることは間違いない。
原作と比較してあらゆる要素がリッチになっている。グラフィックの強化、キャラクターの掘り下げ、ムービーシーンの迫力、コマンドとアクションを融合させたバトルシステムなど。
特にミッドガルのスラム街の作り込みは素晴らしい。PS4版なのでテクスチャの粗さが気になる箇所があったが、それを補って余りあるオブジェクトの多彩さによって猥雑なムードが演出されている。
システム面などで細かい粗はあるが全体の良さをスポイルするほどではない。
ただ元々自分はFF7というゲームに対してあまり興味が無かったのだけれど、本作をプレイしてもその辺の事情はほとんど変化がなかった。なんでそんなにFF7に関心がないのか自分でもわからない。FF6とFF8はかなり好きなんだけど。
その辺の事情は以前プレイを中断した頃にも記事にしていた。いいゲームだけど別に好きではない、というのがFF7に対する今のスタンス。
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リメイク版である本作をプレイしていて気になったのは明らかな引き延ばしが多かった点。
原作のミッドガル脱出までを1本のゲームに作り直した都合でストーリーの本筋自体は結構短く、その分目的地までの道のりを遠回りさせられるシーンが多々あった。
単に道のりを伸ばせば良いものを、追加シーンをわざわざ「本来は通れる道が封鎖されている」「穴に落ちて本来の道に復帰しなければならない」みたいな展開にしたせいで、無駄に徒労感が生じてしまっている。原作にも同じような展開があり、それを引き継いでいるため、徒労感が倍増したと言うべきか。ミッドガルという限られた空間が舞台である以上仕方ない面はあるにせよ。
しかも追加シーンに重要なイベントや斬新なギミックがあるわけでもなく、あっちのスイッチを押して道を作って、向こうに回り込んで、また別のスイッチを押して……といったような特に新味のないパズルを解かされるばかり。終盤で宝条の実験台にされる展開があるが、プレイしている自分も知能テストをやらされる動物の気分になった。
とはいえ「レベルを上げれば誰でもクリアできる」のがRPGの最大の長所であるため、歴史に残る大作FF7のリメイクに誰でもできるレベルのパズルを配置するのはゲームのデザインとしてそれほど間違っていないと考える。ただ自分にとっては特に楽しくなかった、というだけの話。
なぜ追加シーンでプレイ時間を引き伸ばす必要があったのか? それは一本のフルプライスの作品として成立させるためだろう。せっかく買ったのに5時間位で終わってしまっては不満感が残ってしまう。
しかし例えば『メタルギアソリッドⅤ グラウンドゼロズ』のように、本作を前日譚的な立ち位置の中編として本作を製作する選択肢もあったはずだ。そちらの方がゲームとしてのバランスは良くなっただろう。特に捻りのない猫探しの依頼なんかをやる必要は無かったハズ。
それをしなかったのは「FFらしくない」という判断があったからではないか。デカいことをブチあげてワッショイワッショイお祭り騒ぎするのがFFというブランドのアイデンティティだから。あるいはもちろんリメイクを標榜したほうが売上が見込めるからという理由もあっただろう。
さらに細かいことを言うと、「リメイク」を標榜しておいてストーリーが途中で終わるのは見ようによっては誇大広告と捉えられかねないのではないか。
今時そんな人はまずいないだろうが、もしネット等のあらゆる事前情報を遮断して本作を購入してプレイした人がいたとしたら、ミッドガルを出たところで終わってしまって騙されたと思うかもしれない。
フィーラーの存在が明らかに原作FF7のストーリーを前提としていることを鑑みるとで本作はリメイクというより、原作FF7から続く「続編」と呼ぶのが最も適切なのではないか。
ちょっと違う話かもしれないが、Steam版の『ドキドキ文芸部!』は「公式のゲーム説明と実際の内容が異なるから」という理由だけで無料タイトルとして配布していた。それがプレイヤーへの誠実さというものだろう。少なくともFF7も単なるリメイクではないことがわかるタイトルにするべきだったのではないか。
そのフィーラーにしても、物語上の必然性というより、単に制作スタッフの「原作とは違うストーリーを作るぞ」という決意表明以外の存在意義が、少なくとも自分には感じられなかった。
「自分の運命を自分で切り開け」というテーマ自体は全く悪くない。しかし終盤まで原作のシナリオをなぞらせておいて、最後に急にそんなテーマを挟み込まれても、唐突過ぎて説得力が感じられない。
そもそも今作のクラウドたち(エアリス除く)がフィーラーと戦う理由がよくわからなかった。「エアリスがそっちの方が良いって言ってるから」と「見た目がセフィロスだから」くらいだろうか。あまつさえバレットを救うなどの援助をしてくれたのに。
ぶっちゃけた話、旧作プレイヤーの注目点はエアリスの末路にほぼ絞られているわけで、「フィーラーを倒さないとエアリスが原作通りになる」みたいな下りが必要だったんじゃないか。実際は戦い始めてからようやく最中にフワッと断片的なシーンが見えるだけだった。
あと個人的な予想だが、もともと本作は実は続編の明確な予定が無いまま制作されたのではないだろうか。ストーリー上には一見すると様々な伏線があったように見えなくも無いが、ただヒキを作っただけで具体的なストーリーの展望は示されていない。エンディングも見ようによっては今後のストーリーをどうにでもできるようなものだったし。
売上が好調だったおかげで続編が発表されたものの、もしダメだったらしれっと「最初から単発作品でした」と言っていたのかもしれない。
そういった諸々もあり、結局本作をプレイしてもなおFF7という作品にのめり込むことはできなかった。
あくまでもゲームとしては全体的によく出来ているし、面白みを感じた箇所も結構あった。
しかし諸々の「大人の都合」を随所で感じてしまった。もし自分が子どもの頃に遊んでいたら何も気にせず遊べていたのかもしれない。大人になるって悲しいことなのね……。
むしろ先日配信された『シアトリズム ファイナルバーライン』の体験版をプレイする方が、そのようなノイズが無い分純粋に楽しめた。ようやく「更に戦う者達」の超絶をクリアできました。