rh日和(仮)

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ホロライブ二次創作格闘ゲーム『Idol Showdown』をプレイした感想 ホロライブ愛と格闘ゲーム愛に満ちた本格格闘ゲーム

 ホロライブをモチーフにしたファンメイドの二次創作格闘ゲーム『Idol Showdown』をプレイ。予想より遥かによく出来ていたので感想を書く。同人格闘ゲームの中でも出色の出来だろう。

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 同人ゲームであるため非営利。つまり完全無料。キャラクターのボイスにはメンバー本人のものが使われている。すでにメンバーが配信でこのゲームをプレイしているため、公式ではないが公式の許諾は得ているものと思われる。



 まず操作性が良い。格闘ゲームはコマンド入力やヒットストップなどの細かい仕様によってプレイヤー体験が大きく変わる。おそらく製作に独自のノウハウが必要なのだろう。

 その点、本作は自分が今までプレイしてきた格闘ゲームと比べてなんら遜色のない、快適な操作性になっている。

 ちゃんと「手触り」が良い。不満が無い、とかいうレベルでなく、充分に優れている。この辺は実際プレイしないとわからない部分。



 システム面も既存のものを取り入れつつ、独自性を出している。

 攻撃ボタンを弱から強へ順番に押してキャンセル、ゲージを消費した強力な必殺技、いわゆるストライカーキャラを呼び出せる「コラボ」、相手のコンボを中断して反撃できる「バースト」など。ゲージを使った強力なコラボの名称が「オフコラボ」なのがVTuberならでは。

 必殺技コマンドは現時点でレバー四分の一回転の前後と、下下入力のみで、かなり簡単。

 昨今の格闘ゲームによくあるワンボタン必殺技も搭載。レバー+必殺技で4種類の技をコマンド無しに出せる。

 ワンボタン必殺は強度を選べない、コマンド必殺技を出すと「スーパーチャットゲージ」が溜まり、必殺技を必殺技でキャンセルできる「スーパーチャットキャンセル(スパチャキャンセル)」を使用できるなど、コマンド入力にもメリットが設けられており、ワンボタンの下位互換にはなっていない。



 キャラクターの個性がかなり強いのも良い。

  • 飛び道具や突進技を備えたスタンダード系のラッシュキャラ「戌神ころね」。
  • ランダムで「SSR必殺技」が発動し性能がアップする「白上フブキ」
  • ムキロゼを駆使したセットプレイが強力な「アキ・ローゼンタール」
  • 銃や手榴弾で遠距離から攻撃主体の「獅白ぼたん」
  • 技にややクセがあるが苛烈な攻め性能を持つ「星街すいせい」
  • 投げパワーキャラで空中ダッシュと飛び道具も持った「桐生ココ」
  • 刀によるリーチの長さと対空性能が光る「百鬼あやめ」
  • 設置技とAちゃんのアシストでテクニカルに立ち回る「ときのそら」

 少なくとも初期の8キャラにいわゆるコンパチ感があるキャラは全くいない。



 二次創作ゲームだけあって、ホロライブへのリスペクトと「原作再現」は実に素晴らしい。

 実は自分は2020年頃にホロライブを知ってしばらく追いかけていたのだけれど、そこかしこに配信のエピソードを元にしたネタが散りばめられているのがわかる。おそらく自分の知らないネタもたくさんあるだろう。

 特に有名であろうさくらみこの「マグマ事件」がアシスト技になっており、非常に賑やか、かつ性能も高い。

 ドット絵のクオリティも見事。そもそもドット絵の格闘ゲームが現代においてはロストテクノロジーに近いことを考えると、令和の時代に完全新作でこれほどのものが見られること自体わりと奇跡的。自分のお気に入りは百鬼あやめの前歩き。ゲージ必殺技にカットイン演出が用意されており豪華。

 ステージ背景も作り込まれており、本作未登場のホロライブメンバーのネタも多数。

 のみならず、過去の格闘ゲームへのオマージュも多い。白上フブキの立ち強攻撃がカイ・キスクの6HS(GGXXACのもの)になっているあたり、製作者はかなりディープな格闘ゲーマーに違いない。アキロゼのドリルキック、桐生ココの敵を持ち上げるコマンド投げなどはもはや様式美。

 戌神ころねの2Pカラーが猫又おかゆ風だったりするあたりも、キャラクターもの格闘ゲームによくある手法。

 トップメニュー画面には前回の設定を引き継いで即座にトレーニング画面に移行できるショートカットが用意されている。ガチ勢のニーズを完全に理解している。



 チュートリアルモードが搭載。手厚い内容とはいい難いが、一通り基本操作を学べるだけでも同人ゲームにしてはかなり親切。

 一人用モードとしてCPU戦やトレーニングモードの他、ランダムなマップでアイテムを獲得しながら敵を倒していく「Virtual Frontier」モードが搭載。

 同人格闘ゲームで、ただ対戦するだけでない一人用のモードがあるのがスゴイ。イベントシーンにホロライブメンバーが登場。購入イベントや休憩イベント、UI周りは「ローグライトカードゲーム」を参考にしている模様。

 オンライン対戦モードは現状、ルームを作成して1対1で戦ういわゆるプレイヤーマッチのみ。他のゲームでいうランクマッチやカジュアルマッチに相当するものは無いが、今後アップデートで搭載する可能性はある、とのこと。最近の格闘ゲームでは標準になりつつあるロールバック方式も採用している



 自分は実はまだオンライン対戦を一回もやっていない。PCのスペック不足で60フレームが安定しないので。要求スペックはかなり低めなので、単に自分のPCが古いせい。

 にも関わらず、トレーニングモードだけでも楽しくて、半日潰れてしまった。「星街すいせいの前強攻撃はディレイをかけるとしゃがみ強攻撃に繋ぎやすくなる」とか「中波動スパチャキャンセルからめっちゃ減る」とか「同技補正が2回までなのでしゃがみ強攻撃を足払いに変えるとコンボが伸びる」みたいなことを検証するだけで遊べてしまうのが格闘ゲーマーなのである。

 ワンチャンこのゲームのためにパソコン買い替えようかと思い始めている。もちろん前から常々買い替えたいとは思っていたけど。

 ゲームバランスに関しては、配信開始直後なのでおそらくヤバい要素も見つかるだろうが、アップデートで対処してくれれば問題ない。実際、配信初日にリアルタイムで数回アップデートが入っている。



 ホロライブ愛と格闘ゲーム愛に満ちた、本格格闘ゲームに仕上がっている。重ねて言うが、まさかここまでちゃんとしているとは思わなかった。ナメててすいませんでした案件である。

 初心者向けの格闘ゲームかと言えるかはやや微妙なところで、一撃のダメージが低い、いわゆるコンボゲーム的な傾向は多少ある。システムもそこそこ複雑。空中行動が弱めなので地上戦主体なのはわかりやすい要素だが、逆に硬派でとっつきにくいとも言える。

 しかしこれだけクオリティが高ければ、昔『東方』シリーズの同人格闘ゲームが人気を博し、そこから格闘ゲームを始めた「東方勢」が生まれたように「ホロライブ勢」が生まれる可能性も十分ある。多少難しかろうが面白ければやる人はやるのである。未来のプロゲーマーが生まれる、かも。