rh日和(仮)

モノ、ゲーム、PCなどについてのブログ。

初めてサム・ライミ版映画『スパイダーマン』三部作を観る

スパイダーマン (吹替版)


 久しぶりにAmazonプライムビデオを覗いたら『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』がプライム会員見放題に追加されていた。

 それを観る前の予習として、旧作のスパイダーマン映画を通して観ることにした。まずはサム・ライミ監督の三部作から。これまでテレビなどでチラッと観たことはあったが、通してしっかり観るのは初めて。


 正直に言うと、今まであまりスパイダーマンというヒーローそのものに強い魅力を感じてはいなかった。

 どちらかと言えばアイアンマンのような大人の、というかオッサンのヒーローのほうが好みで、その対極に位置するスパイダーマンの良く言えば等身大、悪く言うと子供っぽいノリは個人的な好みからは外れている。

 しかしそれはそれとして今回見たサム・ライミ版三部作。映画としての見どころの多さ、満足感は高かった。

 そのキモは観る人の心を動かす画作りの上手さであって、だからこそ1のキスシーンの美しさ、2の電車を止めるシーンの迫力、3のピーターがヴェノムを引き剥がそうとするシーンの切実さなど、語り継がれるような名場面が多いのだろう。


 一方で観ていてなにかと「ん?」と思うシーンも多い、いわゆる「ツッコミどころ」も多かった。

 世界中から総ツッコミを受けたヒロインMJの軽薄っぷり。自分は別に「女性は貞淑たれ」的な価値観とは程遠いので、そのこと自体はまぁそういう人なんだなとなんとか受け入れられるのだけれど、それはそれとしてピーターがそこまでしてMJを追いかけ続ける動機が最後までわからなかった。

 単純に人間関係の面で見ても、ピーターとMJの間に特別な精神的繋がりを感じられない。二人が幼なじみであることと、ピーターがMJに一目惚れしたというセリフは出てくるが、それだけの理由でピーターはMJ一筋なのだろうか。

 ストーリー的に見ても、別にMJが居なくても、ベンおじさんとメイおばさんがスパイダーマンとして戦い続ける動機を全編通して備給し続けてくれるので、MJのストーリー的な存在意義が薄い。せいぜい「好きなオンナ」止まり。

 ただ恋愛描写に関してはピーター君の方にも至らない部分は多数見受けられる。一番よろしくなかったのは3のグウェンとのキス。どう考えても恋人の前で別の人とやるべきではない。しかしその後でMJが「あれは私達のキス」みたいなことを言ったのには思わず吹き出した。こいつら、両方めんどくせぇ。

 最終的な感想としては、ピーターもMJもどっちもどっちのお似合いカップル、という評価に落ち着いた。一生その感じでやっててほしい。


 その他にも、まずピーターがクモに噛まれてスーパーパワーを手に入れたことに何の疑問も持たず、サクサクとヒーロー活動を始めるのもちょっと疑問。尺の都合があるにせよ、もうちょっとなんでそうなったか調べようとかしてもよかったのでは。3ではシンビオートについて教授に聞いたりしてたのに。あまつさえムキムキボディを鏡で見てウットリしたりしてるし。

 ピーターのMJ寝取られ描写も、あまりに頻度が高すぎてもはや様式美みたいになっている。それだけMJが軽すぎることの裏返しではあるのだけれど。

 その度ピーターはヤケになって闇落ち、するとなんだか学業(仕事)も人間関係もちょっと上手く回りだす。しかし本当に「大切なもの」を思い出し正道に立ち返る、というのがこのシリーズの基本的なパターン。そう考えるとあっちこっちフラフラするMJの存在も必要なものに思えてくる。思えてくるか?

 3序盤で超人パワーを身に着けた親友ハリーがピーターを急襲する。しかし本気でピーターをヤる気ならヘンテコな格好で肉弾戦を仕掛ける必要はなく、友人のふりして近づくなどいくらでもやりようがあっただろう。逆に父親のコスプレをしてまで形式に拘るのであれば、正々堂々と挑戦状でも送りつけて実力を示すべきだったのではないか。

 3でMJにフラれたピーターが悪ぶった振る舞いをする一連のシーンはもはや良質なギャグでしかない。ワルになってまでやることが、ミルクとクッキーを食べつつアパート大家の娘とふざけ合いながら恩師と電話。文字にするとますます意味がわからない。ヒーロー映画を観るお子様への最大限の配慮が伺えた。ダンスシーンは「Bully Maguire」という海外ミームにもなっている。


 しかしサム・ライミの経歴を見ると、そういうコメディなのかシリアスなのかよくわからない、なんともいえない「ないまぜ」な感覚が、彼の監督としての作風なのかもしれない。というのは本やラジオからの受け売りなのだけれど。

 三部作を通してみると、そういうツッコミどころの多さも、個人的には80~90年代の少年ジャンプ的な勢い重視の雑さにも近しいものが感じられて、むしろ愛着めいたものが湧いてきている。


 次は『アメイジング・スパイダーマン』2部作を観て、ノーウェイホーム、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』まで観ていく予定。あと『スパイダーマン:スパイダーバース』もプライムに入っていたから観なくては。しばらくはスパイダーマン漬け。こうなるとPS4のゲームもオマージュがありそうだから再プレイしたくなってくる。

【PS4】Marvel's Spider-Man Game of the Year Edition

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