rh日和(仮)

モノ、ゲーム、PCなどについてのブログ。

スト6日記 「モダンとクラシックのランクマッチは分けるべき論」について考える

【PS5】ストリートファイター6

 『ストリートファイター6』の話。

 モダンジェイミーを使ってランクマッチをしていたら、ありがたいことに「モダン使うな」みたいな名前の人からフレンド申請を頂いた。わざわざプレイヤーネームを変えて送ってきたのだろう。PSID出てるのによくやる。ブロックしたからもう対戦することは無いのだけれども。

 それにキレているとかそういうわけでは全然なく、むしろいい機会なのでネタにしてやろう、という気持ちで、改めてモダンについて考えてみたいと思う。



 ダイヤモンド帯でランクマッチしていると、対戦相手から「モダンに対する怒りの波動」を感じることがそれなりによくある。

 何度対空しても前ジャンプしてくる。何度無敵技で返してもラッシュしてくる。龍尾脚を連打するケン。明らかにモダンに対して理不尽を感じているのが伝わってくる。



 以前Twitter(当時)で「クラシックとモダンでランクマッチを分けろ」という意見を見かけた時は、「それじゃあランクマッチの価値が薄れるだろう」と否定的に考えていた。

 しかし実際にモダンキャラを使ってこれだけの「モダン嫌い」を目の当たりにすると、ランクマッチの隔離機能は必要なのかもしれない、と思い始めている。

 モダンを使っている側としても、相手がちゃんと対戦してくれなければ、いくら勝っても楽しくないし、練習にならない。

 モダン嫌いの意見として「モダンは楽して勝っている」というものをがある。一見するとただの嫉妬に見えるし、実際に嫉妬も含まれているだろう。

 しかし事実として多くのプレイヤーにとってはモダンの対策をするのが難しすぎるという問題は存在している。



 モダン対策の正攻法は、通常技の数が少なく、アシストボタンの仕様によりとっさに出せる通常技にも制限があるというモダンの欠点を突くこと。

 具体的には「地上戦」をしかけるのが得策

 しかし格闘ゲームの「地上戦」はかなりの高等なテクニックおよび戦術である。

 単純な操作難易度や反応速度の話だけで言えば、実は地上戦はそれほど難しいテクニックでは無い。

 例えば相手が足払いを空振ったのを見てからこちらの足払いで反撃する、というだけなら(地上戦における「差し返し」というテクニック)練習すれば誰でも狙えるハズ。

 しかし地上戦の難しいところは、足払いだけでなく、相手のあらゆる技に対しての対処法を事前に用意しておき(「この技はあらかじめ技を置いておいて潰す」とか「この技は間合いを調節して出させないようにする」とか)、読み合いの中でその対処法を適切に出していかなければいけない点にある。

 それらの攻略法はキャラクターの性能やプレイヤーの能力によってまちまちなので、言語化や理論化がしにくい。

 その存在が見えづらく、知らない人はそもそも存在自体を知らない。それが地上戦の難しさに拍車をかけている。



 特に詳しい訳ではないが、今度はがんばってボクシングで例えてみよう。

 格ゲーにおける「コンボ」はボクシングにおける「フック」や「ストレート」などのパンチの打ち方。

 格ゲーにおける「対空」や「ガード」はボクシングにおける「ブロック」や「スウェー」などのディフェンス技術。

 いずれも基礎的な技術であり、基礎的な練習によってある程度身につくもの、なのだろう。多分。

 なにより技術としてわかりやすい。趣味や健康のためにボクシングをやっている人にとっては、「こういうことをやりたい」と考える部分なのではないだろうか。

 しかし格ゲーにおける「地上戦」は、ボクシングに例えるなら「次の対戦相手はこのパンチが強力なので、そのパンチをディフェンスして反撃する練習をする」みたいな高次元のレベルの話になってくる。

 プロボクサーの「練習」とは、むしろそのレベルのものが基本なのかもしれない。

 しかし例えば趣味や健康のためにサンドバッグ打ちやスパーリングをしている、というレベルの人であれば、そこまでの練習はしたくないし、そもそもしようとも思わないだろう。



 同じようなことがモダンとクラシックにおいても起きているのだと思う。

 ちょっと趣味で格闘ゲームをプレイして楽しみたい、と思っているのに、ランクマッチでガン待ちするモダンと対戦させられる。対処法もよくわからない。

 こっちは仕事のストレスを解消でもしようとしているのに、なにかボタンを押すたびにモダンに反撃される。全然気持ちよくない。

 そういう人に対して「地上戦をやれ」と言うだけなら簡単だ。

 でも大半の人はゲームに「楽しさ」「面白さ」を求めているのであって、地道に練習して上達したいとは限らない。そういうのは実生活だけで十分だ、と考えてもなんらおかしくはない。

 「ちゃんと対戦すれば勝てる」という意見は競技としてのゲームにおける一つの正論ではあるが、「ゲームなのに楽しくないのはおかしい」という意見も娯楽としてのゲームにおける別の正論。そして大多数の人にとって格闘ゲームは競技である前に娯楽なのである。

 モダンと対戦しないほうが楽しめるという人が一定数いるのであれば、ランクマッチの隔離機能をつけてもいいのではないかと思う。使いたくない人は使わなくていい形式にすれば、他の人には関係ないんだし。



 モダンには、初心者を増やした、という非常に大きな功績が間違いなくある。また上級者にとっても、これまでと違う新しい操作系で格闘ゲームをプレイする楽しさを与えてくれている。

 しかし「モダンへの対策が大半のプレイヤーにとって難しすぎる」という点だけに関して言えば、悪い方向に働いてしまっていると個人的には思っている。